62 噂の…
今日は61話も投稿しております!
まだ読んでいない方は先にそちらをご覧ください。
「んん〜〜ぅ! よく寝た……」
早朝、私は目が覚める。
横ではテアが眠っている。起こさないようにゆっくりと支度を始める。
ちょっとしたパンを食べながら、セリとシーナが来るのを待つ。
しばらくすると、2人が転移してくる。
まったく。プライベートもクソもないよほんと。
なんならシーナは私の隣の隣の部屋にいるでしょうよ。廊下でノックしてよ。
どうして2人揃ってダイレクトなの。
「あーもうっ! おはよ!」
「おはよう」
「おは〜っ」
気配を感じたのか、テアも起きてくる。
それを見たシーナがテアを抱きしめる。
「おはよ〜っテアちゃん」
「むぅ。朝から元気なやつじゃ」
「もう。おはようって言われたら、おはようって言うのよ?」
「おはよう」
「ん〜〜っ! かわいすぎるわ!」
シーナが悶絶している。
確かに今のはかわいい。それは認める。
けど転移して直接部屋に来るのを認めたわけではないからね。
「そろそろ出る時間?」
「もうすでに発表されているわ」
「えっ、早くない?」
「今日の日が登る前には貼り出されていたみたいね。お母様もイヤイヤ仕事に行ったわ」
「みんなそんな時間から大変だね…………」
私も教師をしていたけど、さすがにそこまでブラックではなかったよ。
そんなことを話しながら発表会場に着く。
会場には、すでにクラス分けも指定されている。
Sクラスは5人×2クラス。
Aクラスは20人×3クラス。
Bクラスは20人×4クラスだ。
そしてSクラスは、成績順にS-1、S-2クラスに配属される。
A,Bクラスには、入学時点で同クラス内での成績優劣はないらしい。
そして私たちはS-1クラスだ。まぁ予想はしていたが……。
魔術学院 第1学年 S-1クラス
1. 326
2. 324
3. 325
4. 679
5. 108
と記されてあった。
上から、私、セリ、シーナの順だ。
「やっぱり。なんで? 首席はセリでいいじゃん」
「リンの上なんて、わたしが嫌だわ。こっちから願い下げ………ブフッ」
「ちょ、ちょっと……セリっ…くふっ……思い出しちゃうじゃない……やめ……ブフッ」
こいつら。あとでたっぷりと言い聞かせてやらないとダメだ。
「う〜んっと、これはもっと特訓が必要みたいだね!」
私は2人にとびっきりの笑顔を向ける。
「う………」
「そ、それは……」
「ははは! それでよいんだぞ〜。きみたち」
「だ、だってあれは面白すぎるって!」
「だってもクソもありません!」
そんなことを言いながら、私たちは入学手続きへと向かう。
手続き自体は簡単に終わった。
やたらと長ったらしい誓約書を読まされ、そこに魔力を流せば終わった。
国が管理している学院だ。そんな騙すようなことは書いていないだろうと思い、適当に飛ばして同意しておいた。
私は首席ということで、手続きの際に「入学式で簡単な挨拶をお願いします。30秒程度で構いません」と言われた。
まぁ大人を経験してから子供の姿に戻ったせいか、コミュ力もついてきたし、30秒くらいならいいかなと思い承諾した。
また、S-1クラスの第3次席までは学費免除、第4,5次席は半減になり、S-2クラスは2割免除らしい。
お金の心配は必要なかったってことね。
そんな訳で、教科書や制服、諸々の必要な道具を受け取り、入学式まで待つことになった。
今は近くのカフェのようなお店で待っている。
なかなかの広さだ。大きめの食堂くらいある。
そんな中、さっきからずっと気になっていることがあった。
「私たち、めちゃくちゃ見られてない?」
「あぁ〜。なんか昨日絡まれちゃってさ……追い返したら余計目立っちゃって……」
「な……なにがあったの……」
どうやら昨日、テアを合わせて3人で食事をしていたところ、学院の上級生に絡まれたらしい。「こんな弱そうな女たちが会場を破壊した?」「ハッハッハッ! 笑わせるなよなぁ!」「それにこんな見たこともねぇペットまで連れてやがる! 金持ちのボンボンかぁ?」「先輩! 俺たちがちょっとわからせてやりましょうよ」などと言われた上に、手を出されかけたらしい。
なんでも、会場にいた人たちが噂に噂を重ね、話がだいぶ盛り上がっていたようだ。それを見たSクラスの上級生がお灸を据えにきたらしい。
そして言うまでもなく、手を出される寸前にボコボコにして、返り討ちにしたと。
その光景を見ていた他の受験者や学院生までもが、セリとシーナのことを「例の取り巻き」と呼び、テアのことを「例の猛獣」と呼んでいるとのことだ。
「ハッハッハッ! なにそれ! あんたたち取り巻き扱いされてんの?」
「リンも笑ってる場合じゃないわよ? あなた、破壊魔って呼ばれてるわよ」
「ちょ、な、なにそれ! 私何も破壊してないんだけど!?」
「あの面接官の言ったことが影響しているの…よ……フッ」
いつまでこのネタで笑ってんのよ。
「だから何やら、わたしたち恐れられてるみたいでさ。ご覧の通りってわけよ」
「なるほどね……これはみんなと仲良くなるのに時間がかかるわね」
「ほんとうよ。わたしたち何もしていないのに……」
何もしてないわけじゃないけど、恐ろしいことなんて何もしてない。
せっかくの学生生活を満喫しに来たのに、始まる前から避けられていては友達すら作ることは難しい。
仲良くなるどころか、知らないところで反感を買って、昨日のセリたちみたいに喧嘩を売られるなんてのも嫌だよ。
本当に幸先悪すぎるよ……
すると、シーナが口を開く。
「まぁみんな、気を取り直して学生生活を楽しみましょう!」
「そうしよ! わたしも楽しみ〜!」
セリも意外とノリノリだ。
「こうなったもんは仕方ない。全力で楽しもっか!」
「「はい! マイマスター!」」
「だからそのマイマスターってのやめてよ!」
もうまもなく入学式の時間みたいだ。
いよいよ学院生活が始まりそうですね。
早速と問題児扱いになっておりますが、これ以上のゴタゴタを起こさず、無事に学院生活を送ることができるのでしょうか。
夕方頃に63話投稿します〜!




