49 覚悟
今日は2話投稿になります。
48話をまだ読んでない方はそちらを先にご覧ください!
その日の夜。
ベッドに入る。
テアがいつも通り、私の肩の横に寝転んでくる。
「ねぇテア」
「そろそろかと思ったぞえ」
「どうおもう?」
「妾の決めることではないが、妾はあの2人なら問題ないと思っておる」
「まぁ、2人はある程度のことは知ってるし。そこに私の過去が増えたとて、特に問題はないのかもしれないね」
「リンはそういう心配をしているのではないじゃろ?」
「………」
「妾にもその気持ちはわかるんじゃ」
「私たちって、普通の人から見れば、恐ろしい存在だって、思うの。だって世界が違うってことは、普段私たちが体感していたことがこの街にとっては初めてで、脅威で、恐ろしいと思うの」
「ふふ。さすがの妾もリンが雷を放った時はびっくりしたぞ」
「そ、それは! 原理はテアにも教えたじゃん!」
「そうじゃったな。妾も使えるようになった」
「そうだったの!? すごいじゃん………って! そんな話をしている場合じゃないってば!」
「そうじゃったの」
「もう……」
2人が私の過去を聞いた時、恐れたり、避けられたり、裏切られたと思われたりしないだろうか。
私が心配している事はそれだ。
別に私が教えたことを誰かに話そうが、別に問題はない。遅かれ早かれ誰かが発見するだろう。
けど、私は2人に黙ってきた。
私が、この世界にとって、普通の人間ではないということ。
私は本当は何歳なんだろう。自分でもわからない。
見た目は14歳に戻っているけど、心は大人だ。
いや、心と行動は多少ガキになっているような気もするけどさ。
いつまでも田舎者だと誤魔化しておくのも、心が痛む。肝心な時にそういった嘘が原因で困ることだってあるかもしれない。
「リン。あまり難しく考えすぎんほうがよい」
「でも……」
「リンは友を失いたくないのじゃろ? 本当の友というのは、その程度のことではいなくなったりはせん」
「うん……」
「サリナを見てみぃ。16年もほったらかされておったのじゃぞ?なのにあれほど泣きじゃくってむしろ余計に想っておった。そういうものなんじゃよ」
「そうなのかな……」
「転生したことまでいう必要はあるまい。前世の記憶があることだけ言えばよかろう。あの調子では転生ということすら理解できんとも思うしの」
「うん。わかったよ。ありがと」
「構わん。今日はゆっくり休むがよい」
「おやすみ」
そういうとテアは私の腕の中に入ってくる。かわいいよ。癒される。ありがとう。
安心感に包まれながら、私は眠りにつく。
翌日、今日は地底湖ではなくシーナの部屋に来ている。
そう、私の過去を話すためだ。
ふぅ……。
緊張する……。
もしものことがあれば…………。
「今日は2人に話があるの……」
私が発した言葉、深刻な表情に、2人はお互いに顔を見合わせている。
わ、私だって、覚悟を決めたんだ。
今更ビビってどうする。
大丈夫だ。私。きっと、だいじょ─────
「なになに? リンが未来から来たって話?」
「ひゃいっ!?」
セリ! あなた何を言っているの!?
私の横でテアが笑っている。
「セ、セリ!? なに言ってるの!?」
「えっ?」
だめだ! 話にならねぇ!!
「ちょっとシーナ!!」
「え!? 逆に違ったのかしら!?」
シーナまで何を言っているの!?
「ふふふ。この様子じゃ心配なさそうじゃの」
落ち着け私。リラァックス!
未来から来た…? いや違うのか? 合ってるのか? 私のいた世界って未来なの? いや同じ時間軸なの??
あーダメだ……なんっっにもわからん。
昔カミサマがなんやら長ったらしい話をしていたけど、あん時何か言ってたっけ……?
私が1人で考えていると、セリが目の前に迫ってくる。
「ちょっとリン! どっちなのよ!」
「わたしたちはリンが未来からやって来たという方が安心するのよ?」
「えっ、えっと……」
「リンにはな。前世の記憶があるのじゃよ」
「「未来じゃなくて前世だったの!?」」
「ちょ、ちょっとテア!!!」
「ふふふ。いつまでも、うじうじしている方が悪かろう」
「うぅ………」
「リンの前世って、わたしたちがいるより前の時代ってことでしょ?確か200年前はみんなもっと強かったんだよね。………って!!!」
「「もしかして!?」」
セリとシーナがお互いに目を合わせる
「「え、英雄!?」」
「ちがーーーーーーーうっ!!!!!」
全力で否定した。なんでよこの子達。あなたたちにはあのバカのこと教えたはずでしょ!
セリには、シーナが話したいとのことで、自分の置かれていた状況、そしてあのバカ英雄のことを教えていた。
すると、セリとシーナが笑い出す。
「アッハッハッハッ!」
「ふふっはははっ!」
「ちょ、ちょっと! 何笑ってるのよ!」
「冗談よ、もう。リンったら」
「まぁけど、本当に安心した」
「なんで? みんなは私が怖くないの?」
「怖い? まぁ確かに最初リンに会った時は怖かったわよ。いきなりタイガーを蹴っ飛ばすわ、無詠唱で何属性も魔法を使うわ、収納魔法は特大だわ、さらには転移までしてくるんだもの。怖いわよ」
「わたしは目が覚めた時の優しいリンしか見ていませんから、怖くないわよ?けど、この間の大嵐のような魔法は怖かったわ」
うー。私の過去の失態たちだ。
「だけど、リン。それ以上にわたしたち、今は友達だよ」
「それぐらいのことで怖がっていては、今回の特訓なんてしていないわ」
「うんうん。むしろ未来の知識が得られて、2人で喜んでいたぐらいよ ………って、泣いてるの!?」
私の目には涙が浮かんでいたらしい。
涙で前が見えないとはこのことだ。
「ちょっとリン! あなたサリナさんみたいになるつもり!?」
「わ、わたしのお母様が何かしたの!?」
「こ、この間うちの母さんに抱きついて泣きじゃくって……」
「あ、あぁ……リンから聞いたやつね……ごめんなさいね。うちのお母様は肝心なところで泣き虫なのよ」
「てことはシーナも泣き虫だったりする?」
「しないわ! 絶対ないから!」
「うそー! だってこの間、リンの風魔法受けた後ちょっと泣いてたじゃん!」
「あ、あれは!! あれは風でゴミが目に入って! しかたなく……そ、その……」
「あっはっはっはっ!! シーナもサリナさん譲りなんだね」
「ち、違うから…! もう! セリの馬鹿!!」
「馬鹿は英雄だけにしといてって」
「ブフッ! そのネタは面白いからやめてちょうだい。不意に笑ってしまうわ」
「「あっはっはっはっ!」」
あれ? 私の感動どこ?
何やら私の覚悟は笑い飛ばされ、無事に前世の記憶があることを伝えられたよ。
どうやらセリとシーナは、最高の友達だったようです。めでたしめでたし(?)
総合評価100Pt超えました。ブックマークも30件突破です!
まだまだ、世の中の売れている作品さん達と比べればわずかな数字かもしれませんが、自分にとってはとんでもなく貴重で、大変な励みになっています。
これからも、より多くの人たちにご愛読いただけるように頑張って参りますのでよろしくお願いしますっ!




