46 家族の姿
なんとか泣き止んだサリナさんは、無事にカレーを食べることができた。「あなたこんなに美味しいもの作れたの!? どうしてわたしにあの時作ってくれなかったのよ!」と言っていたが、セルニアさんの力もある。
セリの学院入学についてだが、サリナさんがイリアさんに溺愛してしまっているため、娘の入学など、ほぼ強制的に決まったようなものだ。
セリ本人は「そ、そんな! わたし魔法なんてほとんど使えませんし……」と言っていたが、サリナさんは「そんなことはどうだっていいのよ! そんなものそのうち使えるようになるわよ!」と、まともとは思えない発言をしていた。
イリアさんとセルニアさんからも許可が降りたが、どうやら、家から娘がいなくなるのは相当寂しいようだった。
これはセリに転移魔法の特訓をつけるしかない。自宅から通えればみんなハッピーだ。
よし、次の課題が決まったぞ! セリの転移魔法習得だ!
無事に話はまとまり、入学が決まった。試験は一応受けてはもらうが、どうにかしてくれるらしい。
そんなことしていいの? 大丈夫なの?
そして今から、ノインさんのところへと向かう。もちろん、シーナに会うためだ。
サリナさんも、月に何度か時間を見つけては王都に来ていたそうだが、治ってからは忙しくて時間がなかったらしく、今回が初めてになる。
転移魔法で行くかと聞いたが、さすがに屋敷の中からわたしが出てきたら大問題だわ。と言っていた
仕方なく歩いて行くことにする。
その道中、サリナさんがこんな要求をしてきた。
「ねぇリンちゃん。セリちゃんに特訓をつけておいてくれない?」
「試験ですか?」
「えぇ。さすがの私でも、不正だと思われるような入学はさせてあげられないわ。だから、セリちゃんに何か特訓をつけてやってほしいのよ」
「それなら、さっき考えてました。転移魔法なんてどうですか?」
「そ、そんなことできるの? もう2週間ほどしかないのよ?」
「まぁ、やれるだけやってみます。どちらにせよ、そこらの人よりかは魔法が使えるようにしときますよ」
「うふふ。楽しみね。シーナも一緒に特訓してあげてくれない?」
「あの、シーナは……えっと………」
「どうかしたのかしら?」
「私が、魔力を注いだときに、もうあんな思いはしてほしくないと……9割程度まで魔力を込めたんです………」
「ということは…? 普通の人が50%で2500くらいだから……シーナは90%で8100?」
「そうなります……」
「3倍以上もあるじゃないの!!」
「なので、多分私の次に優秀になると思います。だからセリと一緒にするのは……」
「それならセリちゃんも9割込めることはできないの?」
あれ? 確かにそうじゃん。その手があった。
私の魔力は腐るほど余っている。セリにその魔力を込めたところで私はすぐ自然回復する。
ということはセリも脳筋の仲間…?
私たち脳筋トリオ…?
「サリナさん。その方法採用しましょう」
「うふふ。楽しみにしてるわよ」
そんな話をしていると屋敷についた。兵士さんが「サリナ様!?」と戸惑っていたが、すぐに屋敷の中へと通された。
シーナの部屋の前にくる。
「シーナぁぁ!!!」
「お母様!? ど、どうして!?」
「どうしてって、可愛い娘に会いに来たのよ!」
「リンも一緒ってことは……そういうことですのね」
「そういうことよ!」
サリナさんがシーナに抱きついている。
改めて元気なシーナを実際に見て、サリナさんがまた涙している。
家族かぁ……。いいなぁ。
『妾がいるんじゃぞ? 忘れるでない』
『テ、テア……』
「テアぁぁぁ〜〜!」
「な、なんじゃ!」
サリナさんがシーナを抱いて泣きじゃくっている横で、私もテアを抱いて涙……は出なかったが、感動に包まれた。




