45 食が繋げる輪
時刻は夕方前。
サリナさんを連れてイリアさんのお店へ転移した。
ここのお店は2階建てで、1階が厨房と客席、2階に寝室やお風呂がある。
私は2階の空いてる部屋を使わせてもらっていて、私がここに帰ってくる時は基本転移で、2階から帰ってくる。自分でやっといて不思議な話だ。
今日もサリナさんを連れて2階からやってくる。
「人様のお宅に伺うのに2階の部屋から出てくるなんて、ほんとこの世の中に何が起こってるのかしら」
「ま、まぁそのうち慣れますよ」
「転移魔法ねぇ……」
「どうかしました?」
「いえ、なんでもないわ」
2階から降りてくる。
今日も大忙しだったようで、片付けに見舞われているイリアさん達がいた。
「ただいま〜」
「あら、リンちゃん。お帰りなさい」
「リン! 聞いてよ! 今日もオープン前から大行列が出来ててさ、ほんとに始まる前から倒れるかと思ったよ……」
「おねえちゃん、げんきがたりない」
「うぅ。セアにそう言われると………」
「リンおねえちゃん! おかえりなさい!」
セアはいつ見ても可愛いねぇほんと。
「そうだ、疲れてるところ申し訳ないんだけど、お客さんが来ていて。ここのカレーをぜひとも食べてみたいって。まだカレー余ってる?」
「もちろん。余っているわよ。最近では多めに作っておいて、次の日新しく作ったものと一緒にするのよ。それで、お客様は?」
「えっと、この人です。サリナさんっていいま………… ?」
サリナさんとイリアさんが顔を見合わせている。
「……あ、あなた…イリア?」
「サリナ……?」
えっ。
この2人って面識あったの!?
「リ、リ、ッ! リ、リアァァァァ!! うわぁぁぁぁぁあん!!!」
「ちょ、ちょっと! サリ!! やめてったら! 苦しいわよ!」
「リアぁ………っぐすんっ……あなたどこに……どこにいっでだのよ……ぐすんっ…ほんどに……しんぱいしだんだからぁっ……」
「サリ! ちょっと落ち着いてよ! リンちゃん達が見てるのよ!」
「うぅっ…そんなのわたしたちには関係ないじゃぁあん……」
え? あんな強気のサリナさんが泣きじゃくるほどの再会なの!?
国王とタメなのに、庶民のイリアさんを前に号泣って! サリナさん得体が知れんわ!!!
「あ、あのお2人って、お知り合いだったんですか?」
「え、えぇ。学院時代の同級生よ」
「ちょっとリア! わたし達は同級生なんてもんじゃないでしょ! ちゃんと説明してよ!」
「もう……まったく………。ごめんね。リンちゃん。サリナとは昔からずっと一緒でね」
どうやら、サリナさんとイリアさんは幼馴染みたいなものらしい。
「そうね。あれは8歳ぐらいの時かしら。サリナが近所の悪ガキに虐められていてね。わたし、その時からちょっと魔法が使えたのよ。それでちょちょいと追い払ってやったら、わたしにベタベタとくっついてきてね。懐かしいわね」
「ちょっと! そんなひどい言い方しないでよ! わたしは一生リアについて行くって決めたんだもん!」
だもんって。あなたいくつよ。
「それで学院に一緒に入ってね。その時からサリナも魔法の腕がどんどんあがってきてね。何せ、ずっと魔法の練習をしていたの。わたしはちょっとサボっちゃって。あっという間に追い越されちゃったわ」
サリナさん、こう見えて意外と努力家だったんだ……
なんか見る目が変わったよ。
「それで卒業して、しばらく一緒のパーティーで冒険者をやっていたんだけどね。それが解散した後、今の旦那にまんまと言いくるめられちゃって。最初はお別れしに行こうと思っていたんだけど。ほら、サリって泣き虫だから。泣かれたら困るでしょ?」
「うぅ…! リアの馬鹿!! あんぽんたん!!! 筋肉馬鹿!!」
筋肉馬鹿は違うでしょうよ。
「ほら、今だって泣いているわよ。変わらず泣き虫なのね。サリ」
「うぅううう〜〜……リアァァ〜…」
ダメだ。サリナさん今日はもうダメだ。
これはダメなやつだ。
知らないお姉さんが自宅でボロ泣きしているのを見て、娘達はどんな気分なんだろうか。
『平和じゃの』
『テアはそれしか感想がでてこないの?』
『感慨深いの』
『あんまり変わってなくない?』
『まぁ、なんでもよいではないか』
まあ、こうして再会もできたんだしなんでもいいか。
16年ぶりの再会に、サリナさんはイリアさんに抱きついて啜り泣いているのだった。
ほっこり回です




