44 青春カムバック(?)
「それじゃあリンちゃん。ここの部屋を使ってちょうだい」
私は言われるがままに部屋に案内される。
「あの……国王様に許可を貰った方がいいんじゃ…?」
「そんなこと気にしていたの?それなら大丈夫よ。だってわたしの家だもの」
「えぇっと…サリナさんと国王様ってどんな関係なんですか?」
「まぁそれは色々ね。昔からの付き合いだったのよ」
すると思い出したかのように「あっ!」と、サリナさんが声を上げる。
「リンちゃん? あなた学院に来る気はない?」
「学院? 学校ってことですか?」
「そうね。学院と言っても、魔術専門の学院なの。そろそろ新年度だし、うちの娘のシーナも今年から入学予定なの。どうかな?」
「えぇでも私お金ないし……」
「お金ならなくても問題ないわ」
「だけど……」
「もう! 細かいことは気にしなくていいの! それに、シーナも1人でデューセルから来るから、友達がいた方が気持ちも楽でしょ?」
「ま、まぁそれはそうかもしれませんけど……」
「なら、決まりね! 細かい手続きとかは代わりにやっておくから、リンちゃんは入学の時に来てくれればいいわよ」
「え? えっと試験とかは?」
「リンちゃんにはそんなことしないわよ?」
「えっと?」
「細かいことはいいって言ってるでしょ!」
まぁどうせすることもなかったし。暇つぶしと思って行くのもいいかな……
それに、私は青春という青春をしたことがない。学院にいけばイケメンの男の子と…もしかしたり……!
んふ〜!
いけない。いきなり楽しみになってきた!
「あら。表情が緩みまくってるわよ? そんなに楽しみなのかしら」
いけねぇ! また顔にニヤケが出ていた。
「なら妾は適当に散歩でもしておこうかの」
「もちろんテアちゃんも一緒に来てもらうわよ?」
「「 は? 」」
私とテアが同時に困惑する。
「別に、リンちゃんのそばに居ればいいじゃない」
「えっと? 学院は動物とかの持ち込みが可能なんですか?」
「そんなものなんとかなるわよ」
「えぇっと? そんな簡単に……?」
「細かいことはいいの!」
なんでこの人やたらと私を学院に入れたがるの? まぁ優秀な魔法が使える生徒がいれば、他国にアピールできたりもするのだろうか……。
「それに、何も魔法だけじゃないわ。剣術や歴史、算術も習ったりするのよ」
「歴史……ってことは英雄………」
「うふふ。私も英雄を見る目が変わっちゃった。あれ英雄じゃないわよね本当に」
「ですよね……」
「とは言っても、英雄についてそこまで勉強することはないわ。だって資料も何もないんだもの。御伽噺を授業でしても仕方ないわよ」
それもそうだ。かといって真実を伝えれば、この国は何をやってるんだ! などと言われそうだ。やめておいたほうがいい。
そういえば、セリも私と同い年だ。
もしイリアさんやセルニアさんが許してくれたら、セリを学院に入学させるのも悪くないか。
もちろんお金の問題はあるが、私が気にしなくていいと言われている分、私がセリの学費を払えば問題ない。
一つ断られる理由があるとすれば、イリアさんのお店は連日大賑わいで、セリも労働の主戦力となってることだろうか。
まぁ、それに関しては頑張って代理で働いてくれる人を見つけてくれれば、きっと大丈夫なはず。
「あの、サリナさん」
「どうしたのかしら」
「私とシーナの友達で、セリって子がいるんですけど、あのお店の娘さんです」
「セリちゃんっていうのね。その子がどうかしたの?」
サリナさんは、私がイリアさんのお店にお世話になっていることも当然知っているので、あのお店と言っただけで通じた。
話がわかる人はいいね。
「セリも私とシーナと同い年で、私の命の恩人なんです。だから、もしサリナさんがよければセリも受験させてもらって構いませんか? もし合格すれば、セリの学費は私が払うので」
「構わないわよ。お金のことも気にしなくていいわ」
「いやそれはさすがに……」
「うーん。そうかしら? それなら、わたしをそのお店に連れて行ってくれない? もしそこのお料理が美味しければ、わたしが行った時にサービスしてくれればそれで問題ないわよ」
「えぇっと? 学費って年間どれくらいなんですか?」
「まぁ成績優秀なら免除もあるけど、基本的には金貨100枚前後よ」
私立高校の学費みたいなものってことね。
それほどぶっ飛んだ額には聞こえないけど、この国の貨幣価値からすれば十分に高い。
「それじゃいくらなんでも割りに合わないのでは……?」
「美味しいものはいくらお金を払ってでも食べたいものよ? リンちゃんはあまり食にこだわりはないのかしら?」
「そんなことはありません! その気持ち、めちゃくちゃわかります。私もセリのところのカレーめちゃくちゃ好きです」
「カレーね? あの少し辛い感じが堪らないのよね〜〜」
「サリナさんカレー食べれる人なんですか?」
「当たり前よ。辛いからとかヒリヒリするからとかいって食べない人が多いけど、わたしからすれば全く理解できないわ」
「めちゃくちゃわかります! 私もおんなじこと思ってました」
「どうやら、リンちゃんとは食の趣味も合いそうね」
「わたしはラーメンという食べ物が好きなんですけど、この国にはなかったんです。最初、セリの親御さんのお店をラーメン屋に改造しようと思ってたほどです。だけど、今はカレー屋が大成してて。正直、変に改造しなくて良かったですよ」
「らーめん? 初めて聞くわね。ほんとリンちゃんの村は不思議ね。今度絶対連れて行ってよ?」
「あ、あははぁ。いつか、ですね」
自分で蒔いた種をなんとか誤魔化しつつ、私とサリナさんはイリアさんのお店へ向かう。
そろそろ私にラーメンを作る時間をください。
今日は2話投稿の気分でした(?)




