39 あの状況、再び
えっと、まずこれ邪魔だ。直しとこう。
私は収納魔法で例の鹿を片付ける。
「「「「「 !? 」」」」」
「なんだあの子は!?」
「ば、化け物!?」
「あれはなんだ!? 収納魔法か!?」
「そんなバカな! 30mはあるのだぞ!」
「そ、それに王国の兵士たちが大聖者様だとか言っていたぞ!」
「なんだって!?」
と、民衆からはこんな声が。
「な、何が起こったんだ…‥」
「あの魔法はなんだ……?」
「こ、国王陛下になんとお伝えすれば………」
「こ、これが大聖者…様……?」
「俺はこんなお方にカードを偽っているなど……なんて無礼を………」
と、門兵さんに兵士さん。
私はどうすればよかったの?
あんなでっかい鹿と接戦のフリして戦うなんて嫌だし、さっさと街に入りたいんだけど………
なんで何もしてないのに街に入れないんだよ……
あーもう!!
いや、何もしてないわけじゃないけどさ。
私だって自覚はあるけどさ……。
「そんなわけで、グレンさん。護衛は要りませんので、私もう行きますから!」
「大聖者様………この際もう護衛なんてものは必要ありません……。我々が護衛していただきたいくらいです。しかしながら……このことを国王陛下に報告しなければならず……」
「それなら私がしておけばいいじゃないですか。どうせ国王のところに行くので」
『リン。道案内は必要じゃろ? それに馬車に乗ればある程度移動は楽になる。森の中とはわけが違う。さすがに認識阻害の魔法を使うことはできんじゃろ』
『うーん…。それもそうか……。いちいち人気のない場所探すのも面倒だし、城の近くにまでそんなところがあるとも思えないか……』
『うむ』
それなら城までは案内してもらおうかな。
「グレンさん。あなた方も城へ向かうんですよね?」
「このことも直ちに報告せねばなりませんので」
「じゃあ、私も連れて行ってくれませんか? 護衛というよりは、道案内ということで」
「そういうことでしたら、お任せください!」
そういうわけで、グレンさん達と城へ向かうことにする。
だがここで問題が一つ発生した。
乗り物がない。
兵士さんはみんな馬に乗っているが、私の分の馬はない。
仮にあったとしても、乗れる自信もない。
グレンさんに2人乗りを提案されたが、ちょっとなんか嫌だ。ごめんなさい。
テアに乗る……のはさすがにダメなのかな……。
『そうじゃ、先の坊主の反応を見る限り、妾がドラゴンだと思わんかったんじゃろ? それなら、妾が多少デカくなってリンを乗せてやっても構わんのではないか?』
『うーんそうなのかな』
『まぁ多少目立つことになろう。妾は構わないが、リンは嫌なんじゃろ?』
『嫌というわけじゃないんだけどさ、何か面倒なことになってほしくなくて……。』
『ふふふ。リンは相変わらず面白いことを言うの』
『どこがよ』
『十分面倒になっておる』
うっ。返す言葉もない。
『そういうわけじゃ。いくぞ』
『ま、ま、まっ ………』
私の言葉など当然待つわけもなく、小サイズのテアが現れた。
小サイズといっても、私が乗れるくらいのサイズにはなる。
もちろん、周りにいたものは騒然とする。
うん。もうなんでもいいや!
手から雷出したんだから、動物ぐらいおっきくなるよ! 当然だね!
「これで解決じゃ。お主らもそれでよかろう?」
「グレンさんこれは!?」
「あ、あぁ。私がさっき見せられたものだ」
「まぁ、そういうわけで。できるだけ内緒にしておいてもらえると助かります」
「あ、あぁ。努力しましょう。ですがもう民衆に見られてしまっては…‥」
「ハハハ……」
ですよね。
「テアもういいよ! 行こ!」
「ふふふ」
「なんでちょっと上機嫌なの」
「それはリンと堂々と人前に居られるからに決まっているであろう」
「な!? そんな恥ずかしいこと言わないでよ!」
「ふん」
テア……すき………。
「大聖者様……そちらのテア…? 様は話すことができるのですか…」
「ご覧の通りです」
「妾は知能が長けていての。これくらい容易いことじゃ」
「な、なんと………」
「ごめんなさいね。だから内緒にしたかったんですけど……。困るでしょ?」
「い、いえ! すごく……その………カッコ良いです……!」
「ふん。当然じゃ」
はぇ〜。ドラゴンがかっこいいなんて、グレンさんももしかしてこっちの人間?
『いや、さっき妾が大きくなった時にはこんな反応ではなかった。きっと喋ることが珍しかったんじゃろう』
『あぁそっか…』
グレンさんに裏切られた。
いよいよ王都に到着です!
異世界といえば王都ですよね。ここから人がちらほら増え始めるので、前も言っていた登場人物一覧的なのを作ろうかと考えてます。




