40 メイドさん(?)
でっか……。
私は今、王城の前にいる。
これはさすがに城だわ(?)
グレンさんがいたことにより、難なく城の中へと入る。
どうやら私のことは一部のものにしか知らされていないらしく、兵士の中ではグレンさん達3人しか知らないそうだ。
グレンさんとは別れ、代わりにメイドさんのような方に道を案内される。
それにしてもただのメイドさんにしては、グレンさんがやたらとかしこまっていたような……
「それではこちらで待っていてくださいね」
メイドさん(?)はそう言うと、なぜかついてくる。
私が座ると、目の前のソファに座った。
うん?
「えっと…あなたは……」
「あら、ごめんなさいね。そしてありがとうね」
「え?」
「私はサリナ。いつもうちの旦那が手紙に書いて送ってくるからどんな子なのか気になってね?それに娘もお世話になっているみたいだし。何よりあなたがシーナを助けてくれたんだって言うじゃない。感謝の気持ちを伝えずにはいられなかったのよ」
「シーナ?」
「あら? わたしの勘違いかしら?」
「えっと、シーナさんが娘さん? ということは………」
え?
「ノインさんの奥様!?」
「うふふ。そうよ。いつもうちの家族がお世話になっているようで感謝するわよ」
「い、いえ……そんな感謝されるようなことは……」
「娘の命を助けてもらったのよ? 感謝しない方がおかしいわよ」
「それはそうなのですが……」
「そうね。敬語はやめてくれるかしら? シーナの友達なのでしょ? 私のことは友達のお母さんという認識で構わないわ」
「い、いきなりそう言われましても………」
友達のお母さんにだって敬語は使うよ。
「それにテアちゃんのことも、ノインから聞いているわよ」
「妾のことかえ?」
「えぇ。リンちゃんには申し訳ないけど、私もシーナの家族だから。聞く権利はあったわよね?」
「もちろんです。ということはノインさんから全て聞いたんですね?」
「えぇ。手紙でだけどね。もちろん、内緒にしておくから安心して」
「よろしくお願いします」
「けど、面白い話があったら、聞かせてね?」
「そ、そんな簡単に面白いことなんて起きませんよ…‥」
私の脳内に、さっきの鹿の姿が浮かぶ。
いやいや。そんな話をすれば、これまでの私の行動全てについて根掘り葉掘り聞かれるような気がする。
「リン。さっきのことは話さんで良いのか?」
「さっきのこと?」
「ちょっ! テア! それは!」
「リンちゃん? それはなぁに?」
うっ。そんなにまっすぐな瞳で私を見ないで!
「そ、それは……実はさっき………」
しぶしぶ私はさっきの出来事を話す。
「どうしてそんなことになっているのに私の元へ連絡がきてないのよ!! もう! これだから騎士の筋肉馬鹿!!!」
なんか、自分の脳筋まで言われている気持ちになる。ごめんなさい。
「そ、それは私がお願いして、街の人たちを避難させたりで、兵士さん達も忙しくて…‥」
「それにしてもよ! 1人ぐらいいなくなっても問題ないわ!」
「まぁそれはそうなんですけど…」
とは言っても、私とテアがいれば、なんなら全員いなくても問題なかったんだけどね。
「テアもいたので、そんな大きな問題じゃないかと思いまして」
「あら? テアちゃんも強いのね。2人の魔法を一度は見てみたいものね。こんなに可愛い女の子達がすごい魔法を使えるだなんて。この世界もまだ捨てたもんじゃなかったわ」
「なら、こういうのはどうですか?」
私は青い炎を出してみる。水素と酸素を十分に加えた炎だ。
「こ、これは!?」
「炎ですよ」
「あ、青い炎…? 炎は普通赤色なんじゃ……」
「試しにそこにある紙切れを燃やしてみますか?」
「え、えぇ……」
そこに置いてあった紙を燃やす。当然白紙だ。そこまで私はぶっ飛んでない。
すると、青い炎が紙に写り、紙は赤くなって燃え、灰になる。
「一体どういう……」
「サリナさんは、どうやって炎、あるいは火ができるか知っていますか?」
「どうして…? それに理由なんかあるの?」
ふーん。やっぱり。
異世界ものの定番だ。やっぱり水素や酸素やといった化学的な概念が何一つ解明されていない。
「まぁ簡単に言えば、空気を燃料にして火ができるんです」
「それなら世界が火の海になっちゃわないかしら?」
「まぁ正確に言えば、空気も、燃料の一部になるんです。空気だけでは火はできません」
「そ、そんなことどこに載ってるの? わたしも仕事上いろんなものを見てきたけど、そんなことが書いてあるものなんて見たことないわよ?」
「あはは………。ま、まぁ私の村での言い伝えというか……」
「どんな村なの? ぜひ行ってみたいわね。今度、いや今すぐ! 今すぐ行きましょう!!! さぁ!!」
「ちょ、ま、まってくださいよ!」
そんなことをしていると、扉が開いた。




