34 カイルさんとの転移実験
カイルさんとノインさんには転移魔法がバレている。
よし。転移しよう。
そういや、人を転移させたことないけど、どうするんだろ。
ま、まぁ、カイルさん頑丈そうだし、多少失敗してもいけるっしょ。
そうと決まれば………
「カイルさん捕まっててね」
「な、なんだ」
「いっせーので!」
─────ということで執務室にきた。
目の前でノインさんとカイルさんが固まっている。
いや、そんな目で見ないでよ。
今すぐって言ったのそっちじゃん。
「すぐにきたよ」
「すぐすぎる」
すぐすぎるってなに。
「ま、まぁいい。早く来いと頼んだのは俺だったな」
「よくない。リン。転移魔法を使うなら言ってくれ。心の準備が必要だ」
「いやぁ何せ自分以外の人を転移させるのは初めてだったから、私も少し気が張っててね」
「な!? お前!? 俺を実験台にしたのか!」
うっ。してないと言えば………嘘になる。
「じ、冗談ですよ! さすがに頑丈そうなカイルさんにもそんなことはしないですって!」
「そ、そうなのか…ならいいが……今度からは言ってくれ」
「わかった」
ノインさんが呆れている。
脳筋のカイルさんには気づかれなかったが、どうやらノインさんにはバレたみたいだ。
「そんなことよりリン。国王から遣いが来てな。今すぐにリンを連れてこいとのことだ。いくら俺の言葉とは言え、さすがにあの内容は信じられん。書いていて自分でも目を疑ったわ」
いや何てこと書いたのよあなた。
「それで国王が自分のことをからかわれていると思っているらしくてな、国王もなんというかな………………ちょっと変わった人でな。俺とカイルの信用問題に関わる。頼むから王都に行ってきてくれ」
「えぇっと…私に行くメリットなくない?」
「そんな悲しいこと言わないでくれ……」
お、おっさんの泣き真似はさすがに厳しい………
「わかりましたから! そんな顔しないでください!」
「よし。頼んだ」
いや切り替え早くない?
「王都に行く前にこれを冒険者ギルドに持って行ってギルマスに見せろ。あとこれはお前さんが持っておけ。王都で怪しまれて捕まったら、これを見せれば話が丸く収まる。決して暴れたりするなよ」
いやとんでもなく非常識な女の子みたいだけど、私常識学んだから!
1週間も歴史のお勉強したのに! 理系の私が頑張って歴史の勉強したのに! その仕打ちは何よ!
「わかったよ……」
「リンならそう言ってくれると信じていたぞ。ハハハハ!」
「やっぱり行くのやめます」
「じょ、冗談だ」
もういいよ。絶対この借りは返してもらうからね!
「ちなみに王都ってどこにあるんですか?」
「本当にとんだ田舎もんだな……」
「私お腹すいたので帰ります」
「ま、ま、待て! 冗談だと言ってるだろう!」
いやもう私帰るよほんとに。
「すまない。リンとはどうも話がしやすくてな。こんな立場の人間相手によくそこまで話せるもんだ」
「私はノインさんの暇つぶし相手じゃないんですけど!!」
「まぁまぁ。許してくれ。今度は俺が何か言うこと聞いてやるから」
「ほんと? 貸し1つってことでいい?」
「構わん」
やったぁー!
美味しい出汁が出そうなやつ集めてもらおーっと。
「ちなみに王都に行く道は綺麗に舗装されている。そこを通っていけば着く。早馬で1日半と言ったところだ」
「テアに乗っていくからいいよ」
「テ、テラリア殿に乗るとさすがに目立つのでは…?」
「あぁ、それなら平気だよ」
「ま、まぁリンがそういうなら大丈夫なんだろう」
「任せてよ」
「ちなみに、女の子だし、一応護衛はいるか? なんならカイルにでも付き添わせて」
「冗談はやめろ。自分より強いやつを護衛するなど聞いたこともない」
「ハハハ。それもそうか」
この人たちほんとに色々と大丈夫なの?
自分たちの人生かかってるんじゃなかったの……呑気すぎるよ………
「じゃあさすがに冒険者ギルドに転移で行くと大騒ぎになりそうだから、そろそろ出るね」
「気をつけてな」
「暴れすぎないように」
2人して私をなんだと思ってるの。
そうして一度セリ達の元へと戻った私は、当分帰ってこれないかもという報告をし、冒険者ギルドに向かうのであった。
短いので2話投稿になりました!




