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31 新事実の嵐


 私がこれから話すことは内緒にしてもらうという約束のもと、みんなに事の詳細を話した。


 しかし、カミサマのことは話していない。

 テアが全ての真相を知っていたという手筈になっている。あとはだいたい同じだ。魔人化の詳細、あのバカが開発した魔法陣の効果、そしてテアが私のような実力者を待っていた事、最後に


 私とテアが魔法陣を破壊するために、魔力を人類に分配した事。


「ということなんです」

「まったく………そんなバカな話………もしこの話をリン以外の口から聞いていれば、全く信じなかっただろうな」

「信じてもらえるとは思っていませんが、少なくとも魔法陣がシーナを蝕んでいたのは事実だし、それを破壊したことでシーナは元に戻りました。その事実だけで十分だと思います」

「リンはかっこいいのね。わたしが男だったらリンに惚れているところだったわよ」


 シーナが私に微笑みかけてくる。

 そんな可愛い顔で見つめられたら倒れちゃうよ。


「だから、みんなテアのことを責めないで欲しい。過去にあった魔人化事件は、英雄の仕業だった。嘘だと言われても反論する気もないし、私はテアを信じているから」


 もちろん、カミサマの話なんてできるはずがない。もし私がテアに騙されていたならカミサマも私を騙していたことになる。

 もし騙されていたら、もうこの世の全てが信じられなくなる。

 それほどに私は信頼している。


 まぁ実際、カミサマは私を都合のいいように使ってきたけど、別に騙していたわけじゃない。いや、騙していた?

 とはいえ可愛いもんだ。裏切るなんてものではない。


「テアは200年前から1人ぼっちだったんです。私はテアと一緒に生きると決めました。この街の皆んなにテアが恐れられ、非難されるようなことがあれば、この街を出ていく覚悟もあります」

「俺にそれを保障することは難しいかもしれん」

「それは理解してます。私が全て公表すれば問題ないと思うんですけどね、そうするとパニックのようなことが起こってしまいそうだから」


 そう、私がこのことを内緒にしていて欲しいということは、テアのことも伏せて欲しいということだ。


 都合良く「このドラゴンはみんなの味方です」と言って信じてくれるわけがない。

 今の今まで封印されていた、恐ろしいモノなのだ。


 とはいえ、もちろん今のサイズのまま、大人しく暮らすつもりだ。

 テアもどうやら大きくなる気はないようだし。


 けどもし、あのペットは何? とかあの魔物は? なんてことになれば、うまく誤魔化せなければ問題になるかもしれない。


 異世界生活は思いのほか不自由だ。


「なんでこんなに可愛いテアちゃんを怖がるのかしら? わたしにはさっぱりわからないわ」


 どうやら、シーナはテアにメロメロのようだ。

 やっぱりシーナは私と分かり合える気がするよ!


 ちなみに、テアを抱っこさせて欲しいとのことだったので、今テアはシーナの腕の中にいる。

 どうやらテアもシーナのことは気に入っているらしく、嫌がっている様子もない。


 むしろ尻尾が揺れている。可愛いね。


「とにかく。避難させている民衆は帰宅させておいた」

「素直ですね」

「まぁ、訓練と言っておいたからな。初めからドラゴンが来るなんて言えば素直に従ってくれない民衆も出てくる可能性がある」


 たしかに。パニックになって森に逃げたり家から出てこなかったり、その方が大変か。


「それにしても避難訓練と言うだけでみんな参加するなんてすごいですね」

「まぁそれは、この近くにドラゴンが封印されていると言うことだけは皆知っているからな。その時に備えて訓練は不定期に行っていたんだ。しかし実際に出たとなれば、さっきも言ったが、話は別だろ」


 まぁそのほうがいいのかな。

 訓練という建前で皆んな参加できるのなら、変に実践と思わせるよりかは確実か。

 避難させて一つに集めてから事実を言った方がいいか。


 すると、ノインさんが少し重たそうに口を開いた。


「リン、英雄のことでお前に質問されただろう」

「あぁ、そんなことありましたね。忘れてました」

「その件だが、実はな……」


 どうやら、魔人化したことが王国の人間だったというのは、当時から分かっていたことらしい。


 それを国の偉いさん達が代々黙っていたのだ。


 だから、ノインさんも知っていたけど、その話は国王の許可がなければ話せなかったらしい。


「なんでそんな大事なこと黙っていたんですか!!!」

 

 いや、正直いってそれだけ言われたところで今回の結末には辿り着けなかったと思うけどね。けどまぁ一応強めに言っておく。


「す、すまない………別に黙っていたわけじゃないんだ。王国も、ただ黙って隠そうとしているわけではない」

「でも隠してたじゃないですか」

「ま、まぁそれは公表すれば反乱が起きてしまう可能性もある……」

「やっぱり」

「いや違うんだよ。これは私たちのような上に立つ人間への教訓なんだ。もし美味しい話があっても、………………だから………………そういうときに………けども……………………………………………


……………ということなんだよ」


 ごめん。途中から頭に入ってないよ。


「ま、まぁそういうことなら仕方ないですね」


 適当に誤魔化しておく。すると「分かってくれてよかったよ…」とノインさんが納得している。


 うんうん。平和が1番。


『ふふ。今なにも聞いてなかったじゃろ』

 

 やべ。テアにバレてた。


「しかしだな、この話、国王に報告する必要がある。それはなんとなくだがわかるだろ?」

「んーまぁそうなるかなぁとは思ってました」

「理由を挙げればキリがないが、あの地に封印されていた、まぁテラリアのことだが、あれは王国騎士団や宮廷魔術師団の者が継ぐ事になっているんだ。まぁ具体的に言えばカイルのことだが。その必要がなくなるだけでも報告しなければならん」


 うん? 王国騎士団とか宮廷魔術師団があるの?

 異世界定番の?


「えっと、王国騎士団って?」

「国を守る騎士兵だ」

「うん?」

「カイルは次期王国騎士団長だぞ?」


 はい?


「うん……? てことはカイルさんは王国の騎士兵隊の中で1番偉くなるってこと?」

「あぁ。親父に勝てんのにバカな話だ」

「まぁまぁ。リエルさんももう歳だろ。この間稽古をつけてもらったが、『思うように体が動かないようになってきた』と言いながら滅多撃ちにされたよ」

「親父も冗談を言うようになったか」

「まぁリエルさんは本当だと言ってたよ。歳には叶わんってね」


 私を放っていかないで?


「えっと、カイルさんの家系は王国騎士団の団長さんってこと?」

「まぁ、そういうわけでもない。実力があるやつから選ばれるんだが、何せ親父が団長だ。小さい頃からずっと稽古をつけられていたら、それなりの実力がついてしまってな」

「そんなカイルの剣を片手で、しかも素手で受け止めたなんて、そんな冗談言ってきたカイルを殴り飛ばしてやろうかと思ったくらいだ」


 私、次期王国騎士団長の剣を片手で止めてたの? そら大事になるわ。


「こんなガキンチョが王国騎士団の団長とは、この国はどれだけ平和なんじゃ」


 テアは煽りがお上手ね。


 ってシーナさん? 何気に頷いてるんじゃないよ。

 あんた今テアに見惚れすぎて思考回路が働いてないよ。


「全くだ。ガキンチョかどうかはわからんが、俺程度のものが団長などこの国は終わっている」


 カイルさんは精神面も思ったよりタフだった。


 気にした私が馬鹿だったよ。

登場人物や舞台設定などをまとめた回を0話として投稿しようかと考えてます。

今のところ登場人物も少ないですが、50話過ぎた辺りから割かし世界が広くなっていくので…


一応ネタバレになるようなことも含まれているかもしれないので、ネタバレ注意は大々的に書いときます

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