29 14歳×ドラゴン
久々の外だ〜〜!!
私とテアは洞窟を抜けて、森の中に出た。
転移魔法を使えばすぐこれたが、風情というものもある。
それに、テアと一緒に歩くのは全く嫌なことじゃない。
「うーん。どうやって帰ろっかな。私走るから、少しの間私の中に入っておく?」
「まぁそれもよいがな。リンは空を飛んだことはあるかえ?」
「ないに決まってるよ?」
「ふふふ。なら、妾の背中に乗ると良い」
するとテアは、私が背中に乗れる程度まで大きくなった。
「テアすごいね」
「じゃろ? さっき見せたのが本来の大きさなのじゃが、あれより小さいのはいくらでも小さくなれるんじゃ。まぁ、乗ってみるがよい」
言われるがままにテアの背中に乗る。
ぬぅ〜〜! 一生ここで過ごしたい!!!
「私、重たくない?」
「リンほどの可愛い女の子じゃ。重さなんてまるでありゃせん」
「も〜! テアったら! そこまでいくと逆に失礼よ!!!!」
「ふふふ。一応、背中も乗れるのじゃが。妾の頭の上まで登ってきても構わんぞ?」
「いいの?」
「もちろんじゃ。そのほうが景色もよく見えよう」
そういうことなので、私はテアの頭まで上がる。
ツノがある。
あれ? こんなの生えてたっけ?
「あぁ、ツノは普段は隠しておるでの」
「これに掴まっとけばいいってこと?」
「そういうことじゃ。ちなみに、ツノを持ってなくとも、その上で寝てようが何をしてようとも落ちはせんのじゃ」
「すごいっ!! 寝ちゃったらごめんね?なんかすごい居心地が良くて……」
「構わん。リンも疲れておるだろう。存分に休むとよい」
しかし実際に飛んでいるところは気になる。
「じゃあ行くぞえ」
「うん!」
テアの翼が広がる。綺麗。
その直後、みるみる木が小さくなる。
うわぁ〜。すごい。
「ねぇテア。すごいよ」
「じゃろ?」
「すごいよ!!」
実際に、私が飛んでいるわけじゃないけど、飛んでいる気分だ。
すごい。
10分ほど飛んでいると、街がみえてくる。
街?
デューセル?
……… あっ。
「……テア。あの街に行ってちょうだい」
「よかろう」
えっと、ごめんなさい。
どう考えても1時間以上経ってるよね。
とりあえずノインさんのところに行こう。
シーナのことも気になる。
街が見えてきた。馬で何時間もかかった道のりが20分もかかっていない。
「テア。あの街で1番大きな屋敷に行ってくれる?」
「このまま行ってよいのか?」
「うーん。それもそうか。けど、テアのこと黙っておくわけにもいかないしね。家族なんだし」
「リン………よいのか?妾がいけば人間たちはきっと恐れてしまうぞ?そうなればリンにだって……」
「いいよ! べつに。だって家族なんだし」
私には家族と生きてきた経験が、ない。
だから何が家族なのかもわからない。けど、今はテアと一緒にいたい。
私が今まで感じたことのない気持ち。きっとそれが家族としての気持ち。
だとしたら、今のテアに対する感情は、紛れもない。
「それに、あそこの街にはきっと私もテアも友達になってくれる人がいっぱいいるよ。もしテアのことをバカにしたら、私が代わりに怒ってあげるから! 大丈夫だよ」
「リンがそこまで言うのじゃ。信じるしかないの」
私とテアはノインさんの家の庭に降り立った。
「ノインさーん!」
とりあえず呼んでみる。
すると、何やら警備員らしき人が慌てて屋敷に入っていった。
「あ、テア。ちょっとちっさくなっててくれる? いきなりそのサイズはさすがにみんなびっくりすると思うし」
「妾もそう思っておった」
そう言って小さくなったテアが私の肩に乗る。
それから間も無く、ノインさんとカイルさんが慌てて屋敷を出てくる。
よし、あれをするぞ。
─────っスゥゥゥッ
って待て! テアが肩に乗ってるじゃん!
ここで土下座すればテアに迷惑がかかる。
なんてことを考えているうちに
「リン…! リンなのか!?」
「ノインさん……その……」
えっ?
ノインさんが……
泣いている???
え?私と再会できたのがそんなに嬉しかったの?
「え、えぇっとノインさん…」
「リン! 無事だったか…! 本当に心配かけやがって。街のものにはとりあえずこの街のシェルターに入るように指示してある。今王国から兵が来ている頃だ」
「あぁっと、皆さん無事みたいで、よかったです。それとその……兵のことなんですけど……」
「なに、問題ない。俺も戦うつもりだ。なぜかこの歳になったにも関わらず、過去にないほど力がみなぎってきてな。火事場のクソ力というやつか」
そんなセリフまで訳してくれるのね。この世界は。
「えっと……」
「それに、シーナの透明化が…っ! 止まってな………っぅ…!!! くっ!! すまない!!!」
ノインさんが泣き始めた。
あぁ、シーナの透明化が無事に止まってたのね。だから泣いていたのか。
なんか悲しい……
「シーナさんの様子を見せてもらえますか?」
「もちろん構わない」
「じきにシーナやクレアたちもシェルターに向かわせる予定だ」
「えっとその事なんですけど……」
「なに、リンもシェルターに行ってもらうことになる。後は我々で対処してみる」
「あの………」
「どうしたのだ? それに……そのちっさい動物…? はなんだ?」
あれ?ノインさんドラゴン知らないの?
もしかして、私の元いた世界ではドラゴンなんてビジュアルも常識だったけど、この世界じゃ御伽噺の世界だからビジュアルとかはあんまり言い伝えられてないのかな?
写真とかもないし……
「えっと、私の家族のテアです。あそこの洞窟に封印されてた、ドラゴンです」
「ん?」
「えっと、皆さん避難されてるんですよね?」
「んん? あ、あぁ」
「なら、今ここにいる人以外はこの街は見えていないということですよね?」
「そうなるが」
「じゃあ、ここにいる皆さんの間だけの秘密にしていてほしいんですけど。いいですか?」
「リンの頼みだ。構わん」
よし。
ノインさんたちが、私の言葉が飲み込めていないのか、困惑して立ち尽くしている。
「ねぇテア。私に初めて見せた時の大きさになってくれない?」
「あのサイズにか? 妾も怖がられるのはあまり好きではなくての、あのサイズになるのは心を許したものだけと決めたのじゃ」
「うー。でもテアがそう言うなら仕方ないか。じゃあちょっと大きめになってくれない?」
「まぁ、リンのお願いじゃ。元の大きさになってやろう」
そう言うとテアは、100メートル超えのドラゴンになった。
「「「「 !? 」」」」
そこにいる全員が絶句する。
テアのあまりの圧に、戦闘態勢を取ろうとする者さえいない。
いやぁかっこいいよテア。
『テア、私はその姿好きだよ。かっこよくてすき』
『そう言ってくれる人間はリンだけじゃ』
『ありがとうね。もう戻ってきていいよ』
テアがちっこいサイズにもどる。
ちなみにおっきくなる時、地面から少し離れて空中にいた。地面に立つとその場所がえらいことになるので、テアなりの配慮なのだろう。
「ということなんで、ドラゴンの脅威はありません。私の家族になったので」
私はテアの頭を撫でる。
テアは人前で撫でられることを恥ずかしがりながらも、嬉しくしているようだ。
尻尾が激しく揺れてる。かわいすぎるよ。
「えっと? ノインさん? カイルさん?」
てかさっきからカイルさんずっと無言じゃない? どうしたの?
「もう俺はリンが何をしても驚かんと決めた」
「同意だ」
カイルさんの言葉に、ノインさんが同意する。
「うむ? その声は、確か妾の部屋に偵察にきておったガキンチョではないか」
「ガ、ガキンチョ……っ!?」
「お主も中々に面倒な役を押し付けられたのう」
「あぁっとカイルさん。あまり気にしないでください。この人(?)、こう見えても私たちより遥かに生きているので。私なんてテアからしたら赤ちゃん以下の年齢ですし」
「リンよ。乙女の年齢を揶揄するのは妾とて悲しくなるぞ」
「ごめんね? テア。よしよしするから許して?」
「………ゆるす」
あぁ、気持ちいい。
やば、ノインさんとカイルさんがドン引きしてる。
「あ、えっとノインさん、とりあえずシーナに会わせてもらえますか? 治っていることは間違いないんですけど、何せ私しかシーナを眠りから覚ますことができないので」
「か、かまわん」
「ありがとうございます!」
私を見るみんなの目が、なんとも言えない。
遠目にその光景を感じながらも、シーナの元へと向かう。




