255 後世に残すべき香り
恥ずかしながら復活いたしました。仕事の方が忙しく、こちらにほとんど手が回せませんでした、、申し訳ありません、、、
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます!マイペースになるかもしれませんが、今年も皆様を少しでもニヤっとさせられるよう頑張りたいと思います。
随分と期間が空いてしまいましたので、適当に復習すると「ドワーフの国→やったー!製麺機作れる!……しかし鉱山にガス→適当に誤魔化して解決しちゃおう!」です!
「んやぁ……どこ触ってんだよ……」
時刻は深夜。
美味しい晩ご飯にデザートを食べた後、カレナさんとフィリアの3人で、軽い世間話をしていた。
国王であるルナ様はと言えば、キッズなので就寝した。
うんうん。寝る子は育つってやつよ。
それはそうと、美味しいご飯をご馳走になったにも関わらず、世間話が弾みすぎて夜食にまで手を出してしまった。
みんなで食べれば怖くないってやつだ。
そのおかげか、はじめての国、堅苦しい王城の中という状況にも関わらず、これまでにないほどの快眠だ。
…ゴソゴソゴソゴソ
さて、そんな幸せに包まれている私の神聖なベッドに誰かが潜り込んできた。
…どうせフィリアだ。
旅の添い寝だけでは飽き足らず、まさか乙女のベッドにコソッと潜り込んでくるとは。
「だぁっ…! 喰らえっ…!」
体全体を使い、おもっきり締め上げた。
ふっ…ざまぁみやがれ。
ドタドタと音を立てて、苦しんでいる。
罰として、このまま翌朝まで拘束しておこう。
私の神聖な睡眠を邪魔した罪は重いよ。
唯一の懸念点は、変な性癖に目覚めないか、ということなんだけど……
うん、考えるのはやめよう。
「……ンちゃーん」
んーっ…
「リンちゃーん!」
朝っぱらから元気なやつだ……
「んー…もう朝ぁ…?」
フィリアが私を起こしにきた。
ったくこいつは、夜中に這ってくるわ、朝から元気すぎるわで……
…んっ?
………あれっ?
ゆっくり目を開けると、横には笑顔満開のフィリアが立っている。
それに私の顔ではなく、少し下の部分ばかりを見つめている。
なんか嫌な予感がする。
「あんた誰…?」
「そんなひどいこと言わんでもええやん」
「フィリアじゃないよね?」
「ウチがウチ以外の何かに見えるんか?」
おかしい。
フィリアは深夜、罰として私が拘束したはずだ。
フィリアの後ろを見てみると、これまた笑顔のカレナさんが立っていた。
いくら昨日の私の雑談が面白かったとはいえ、こんな朝まで引きずって笑っているわけはない。
恐る恐る手足に意識を集中させる。
……確実に誰か挟んでいる。
私が太ももで体全体を挟み込み、声を出さないように口元を手で覆っている。
……そっと、口元を覆っている手を離してみる。
「っはぁぁっ! な、なんなんだこの女は!」
朝からフィリアより元気な女の子の声が聞こえてきた。
私が体の拘束を解くと、女の子は勢いよく飛び上がり、カレナさんの後ろに隠れた。
そして私をまるで魔物を見るかのような目で見てくる。
やめてよ。そんな目で見ないでよ。
裁判したらきっと過失2割ぐらいで私が勝つよね? 大丈夫だよね?
「まぁ、おかえりなさい」
「かっ、母様! なんなんですかこの女は!」
……って、カレナさんが母様ということは、ルナ様の姉妹ってことか。
よく見てみると、顔の雰囲気が似ているような気がする。
体のサイズ感はルナ様とそこまで違わないけど、顔つきが少し幼い。その割にはルナ様より凛々しい顔をしている。
幼凛々しい(?) 。
「リンちゃんはよっぽど寝相が悪いのね」
「ちっ、違いますっ!」
「母様っ!」
「あら、そういえばリンちゃんには言っていなかったわね」
今にも泣き出しそうな顔で、カレナさんに何かを訴えている。その娘の訴えを軽く受け流しているカレナさん。
まさかの育児放棄?
「あの、こちらの可愛らしい女の子は一体……?」
可愛らしい女の子と言われ、私を見る目がより感情的なものになっている。
眼力すごいよ。
「この子はルアよ。ほらルア、リンちゃんに挨拶なさい」
「か、母様!わたしをからかっているんですか!?」
あの、ますますヒートアップしているよ。
しまいには、ルアの手に魔法陣のようなものが浮かんできた。
「って、ちょいちょいちょい! カレナさん!とめてくださいよ!」
「母様!こいつは何者なんですか!?」
もう何がなんやらわかんないよ。
いや、見知らぬ女を抱いて寝てたという事実だけはわかる。
「まぁまぁルアも落ち着いてな」
「う、うるさいわね! てかあんた誰な……ってフィリア?」
「い、今更気づいたん!?」
「フィリアっ! うぅ…っ!! 母様が……!変な怪物がっ……!」
んっ? 私は聞き逃さなかったよ?
誰が怪物だって?
「フィリアはその子と知り合いなの?」
「あぁっと、この子とはよく遊ばせてもらっててな。長い付き合いなんや」
「はぇ〜。…って関心してる場合じゃないや」
フィリアがよしよししてあげているおかげか、次第にルアは落ち着きを取り戻し、ようやくまともな会話ができそうだ。
しばらくすると、無言でニコニコと眺めていたカレナさんが口を開いた。
「この子が我が国の誇る魔法師よ。ほら、ルアも挨拶しなさい」
「っ…ルア……」
完全に敵意を捨てきれていないせいか、すごく冷たいよ。
さっきはフィリアに甘えたちゃんだったくせに。
「─────っっ!!!!」
急にルアの顔が豹変し、自分の体の匂いを嗅ぎ始める。
ん? 匂いを嗅ぎ始める?
ふと、私は自分の着ているシャツを見た。
というか、なぜか見てしまった。
「あれ、なんか濡れてる」
「やめろおぉぉっ!!」
ルアがそう叫び踏み込んだ。
が、私がシャツの匂いを嗅いだ方が早かった。
一晩も布団の中でもがき続けた結果が。その代償が。まさに言葉通り、汗となり……
「ああああああああああっっっ!!!」「……うっ…」「ううぅっ……」「フィリアぁ……」
ルアの言葉にならない叫びを横目に、私はしっかりとニューロンの隅々まで乙女の香りを染み渡らせた。




