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251 対価探し


 少し時間が経ち、時刻は夕食前。

 

 ダンさんと食事をとった後は、他の場所を執事さんに案内してもらったり、フィリアと街を散策したりで、この国のおおよその雰囲気が掴めてきた。

 もちろんこの場所は王都にあたるため、少し田舎に出れば違った雰囲気もあるんだろうけどね。


 まずの第一印象は、建築や装飾がかなり工夫されている。

 もちろん見た目にも拘っていると思うが、何よりも、効率化できるところは効率化している。

 機械が優れているが故の発展の仕方だ。


 何より感動したのは、エスカレーターだ。

 どういう仕組みで動いているのか近くの人に聞いたところ、歯車やらなんやらを組み合わせたらたまたま出来た、と言われているらしい。

 そんなアホな。


 そんでもって動力は何かというと、地下水流を利用しているらしい。

 とてもそうは思えない、現代顔負けのエスカレーターだ。


 うちの国にも是非とも取り入れてもらいたいね。


 そんなこんなで、新しい文化や風景を浴びながら、ひとつの作戦が進行していた。


「てことで、丸投げしていい?」

「くっ……」

「だってややこしいことはフィリアがやってくれるって言ったじゃん」

「そっ、それはっ…! ウチもそう言ったけど!」


 というわけで、フィリアに全てを丸投げする。

 もちろん、この街の潤滑油問題についてだ。


 潤滑油は原油から成分を抽出してうんたらかんたらで作るというのは、なんとなく知っていた。

 それでテアに聞いたところ、なんと原油の在処を知っていて、それがたまたま、テアが封印されていたディスヘルト地底湖だったというわけだ。

 ちなみに時を遡ること100年くらい前、あまりに暇すぎて地中を掘ってたら、地下から大量の原油が出てきたらしい。


 やったね。石油王じゃん。


 冗談はさておき、執事さんの話を聞いたところ、この国の潤滑油の材料になってるのは、原油を作る際に得られる成分で間違いなさそうだった。

 そっからあれがこうなってうんたらかんたら、みたいな話はよくわからなかったけど、とりあえずこちらが原油を用意してあげれば、万事解決ってことよ。

 

 うちの国でも大量の原油を使うとかならまだしも、原油なんてほとんど使われていないから、有り余っている不要なものを譲ってあげるぐらいの感覚だ。

 エコな世界だね。


 ただまぁ、原油はどんどこ湧いて出てくるものではない。

 それに使いすぎても環境に良くない。

 その辺はうまいこと話をしておく必要がありそうだけど。


 ということで冒頭に戻ろう。

 想像つくかもしれないが、フィリアが「面倒ごとはウチが処理するんや」みたいなことを言ってたから、丸投げしたらこの有様になったと、いうわけだ。

 自分で墓穴を掘ったんだから責任とってよね。


「リンちゃんは簡単なことやと思ってるやろうけどさ…」

「いや、思ってない。思ってないからこその丸投げってことだよ?」

「ぐっ……!」


 よし。開き直ってやった。

 これで無敵だぜ。


「けどフィリアが全部処理する必要ないじゃん。帰ってから誰かに任せればいいんだし」

「少なくともここでひと段落はつけとかなあかんやろ?」

「ちゃちゃっとやっちゃえばいいんだよ。あの国王様を見てみなよ」


 なんせ見た目からキッズだ。

 それに私はまだ、駄々こねてトランプしてた姿しか知らない。

 どうせ『助けていただけるのだ! 面倒ごとはこちらが全て引き受けるぞっ!』って言ってくれるよ。


 知らんけど。


 さて、そろそろ噂をしている国王の元へと辿り着く。

 夕食にラーメンを召し上がってもらおうの時間だ。


 冷静に考えれば、ただの部外者の料理人がここまでの待遇なのはちょっと不用心すぎるのでは、とも思うけど。


「失礼します」

『むむっ! やっと来たかっ!』


 扉の先から例のキッズの声が聞こえてくる。

 って、そんな失礼なこと考えちゃダメだ。

 別にバカにしてるわけじゃないのはわかってほしい。

 今朝遊んだ時も、めっちゃ楽しかったし。


 ただ、どうも国王として見れない。

 それだけのことなんだよ。


「リンっ! 遅いぞっ!」


 扉を開けると、国王様が超笑顔でこちらを見つめてきた。


 若い。若すぎるよ。

 私にその若さは眩しすぎるよ。


「これ、ルナ。あんまり無茶を言うものじゃありません」


 あら?

 隣に、異次元のべっぴんさんが座ってはるわ。


 どれぐらいべっぴんさんか言うたら、思わず京都人みたいになってしまうくらいには、べっぴんさんやわ。


 って、どちら様だろう。


「けっ、けどっ! お母様っ!」

「見っともないわ。ほら、ちゃんと座りなさい」


 どうやらお母様らしい。

 めちゃくちゃべっぴんさんだ。


「初めまして。リンと言います」

「あら、初めまして。あなたがリンさんね。聞いていた通り、とても可愛らしいお方ね」

「そっ、そんなっ…私なんて…」


 嫌味のカケラが一つもない表情で褒められた。

 こんなの、私が男なら一発で惚れてしまうよ。


「カレナ様。お久しぶりです」

「まぁフィリアさん!お久しぶりですわね」

「お元気そうで何よりですな」

「あなたの方こそ、ますます美しくもたくましくもなられてますわよ」

「あっ、ありがとうございますっ…!」


 フィリアはすでに惚れてそうだけど。


 ……ということで。


 夕食はキッズとそのお母様の4人で頂くことになりそうだ。

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