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249 職人技

大変期間が空いてしまい申し訳ありません……

社会の波に揉まれておりました……

何も言わずに失踪することはありませんので、気長にお待ちいただけると嬉しい限りです!


 ─────カンッ!


 ─────ギィィィッ!


 ─────ゴンゴンゴンゴン!!


「すっげぇ…」

「何回見てもすごいもんやなぁ」


 私とフィリアは、目の前にいる職人たちの仕事ぶりに、完全に見惚れている。


「お二方、熱くありませんかの?」

「全然大丈夫ですっ!」


 執事さんがそう心配してくれるのも無理はない。

 とんでもない熱気の中、ひたすらと鉄を打ち続けている人もいれば、かなり繊細なガラスを加工している人もいる。


 こういう加工をするときって、とんでもない集中力が必要になりそうなもので、こういうのは1人でやったりするのが定番なのかと思っていた。


 ところが、見た感じ数人の職人が同じ空間で作業している。


「ここはどういった工場なんですか?」

「ここはまぁある種の家みたいなものです。この者たちは兄弟なんですよ」

「兄弟みんな合わせて職人さんってことですか?」


 ということはつまり職人一家…?


「あぁ、その通りだ」


 そんな中、鉄を打っていた職人の人が手を止めた。


「あっ、ごめんなさい…お邪魔したみたいで…」

「なに、構わないさ。そろそろ休憩しないとな。女房に怒られちまう」


 そう言って、一角にある部屋を見つめた。


 どうやら、その部屋で奥さんたちがお昼ご飯の準備などをしてくれているらしい。

 あまり働きすぎると、奥さんがお怒りになるというわけね。


 いい制度だ。


「あの、リンって言います」

「リンか。隣の嬢ちゃんは、この間も来てたよな?」

「その時は名乗ってなかったんで改めて。フィリアといいます」

「フィリアかい。あの時は悪かったな」

「いやいやウチの方こそ、お仕事中お邪魔してもうて申し訳なかった」


 フィリアは以前に来たと言っていたが、どうやらそこまで仲良しこよしになったわけじゃなさそうだ。


「あの時は締切が間近でな…余裕がなかったんだ。すまない」


 締切………

 社会人になり、聞きたくなくなった言葉ランキング入賞ワードだよ。


「俺はダンという。ところで今更だが…」


 ダンさんが執事さんの方を見た。


「あんたが一緒ってことは、お客人かい?」

「えぇダン殿。こちらはグレイス王国からお越しになられた方たちでございます」

「そら遠いところから、ご苦労さんなこった」


 ……と、思うじゃん?

 いずれ少し時が経てば、直通になってるかもね。

 

「それで、どうしてこんなところに?」

「どうしてと言われますと、興味があったとしか…」

「やめときな。可愛らしい嬢ちゃんたちに、こんな暑苦しい仕事は似合わねぇよ」

「もっ、もちろん仕事にしたいだとか修行したいとかじゃないですよっ!? 本当にここにいるだけでも熱気がすごくて今にも倒れそうなのに…」

「ははっ、冗談さ。どれ、やってみるか?」

「私でもできるんですか…?」

「仕事にしなきゃ楽しいものなんて、世の中にはたくさんと転がってるもんだからな」


 たしかに。


 好きで始めたことも、仕事になればそのうち嫌になってくるなんてのはあるあるだ。

 逆に、なんでもかんでも、少しやる程度なら、どんなコトだってちょうどよく楽しんで終われそうなものだ。


 意外なところに自分の趣味が転がってる可能性がある。


「これをもって、思いっきり打ち付けてみろ」

「し、失敗したら台無しになるんじゃ…」

「なに、そんなことは気にする必要ないさ」


 どれぐらいの強さで打ち付ければいいんだ…?

 ここはいきなり叩くよりも徐々に力を解放していった方が……


 ─────カンッ


「ど、どうですか…?」

「手を抜いておるな。もっと本気で構わんさ」


 バレてたみたいだ。


 ─────カンッッッ!!


 我が身に宿る力の5%を解放した。

 

「なかなかやるじゃないか。案外筋がいいかもな」

「ふぅ…よかった…」


 ちょうどいい塩梅になったようだ。


「だがしかし、いい剣を作ろうと思えば、もう少し強く打ち付ける必要がある。どれ、こんな感じだ」


 ─────キィンッ!!


「おぉっ…音が違う…」

「はっはっはっ! 綺麗に叩くことができれば、もっと甲高い音が鳴り響くんだ」


 これが職人との格の違いというやつだ。

 ただ単に、力任せに叩けばいいというものではない。


 ますます私に向いてない気がするよ。

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