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248 新たな境地へと


「はい、私のあがり」

「ぐぬぬぬ…」

「リンちゃん強くない…?」

「ふはははっ! この私にかかれば、7並べなど、お遊びでしかないぜっ!」

「もう一回! もう一回じゃー!」

「けどルナ様…後ろを…」


 ルナ様の後ろには、とんでもない形相でルナ様を見つめている執事さんがいる。


 私でもわかる。

 さっさと仕事をしろということだ。


 最初、ルナ様がババ抜きを始めたのだが、永遠にババ抜きだった。

 トランプが好きなのではなく、ババ抜きがよっぽど好きなのだと思って「他のはしないんですね」と言ったら、ルナ様とフィリアが、不思議そうな顔でこちらを見つめてきた。


 どうやら、トランプのルールはババ抜きだけだと思っていたらしい。


 それで私が、じじ抜きや神経衰弱、大富豪や7並べを教えたことにより、予定の時間よりも少しオーバーしてしまったというわけだ。


 ごめんなさい執事さん。


「うっ…うぐぐ…」


 さてさて、それ以前の事を少しまとめると、このトランプはルナ様にとって、立派な公務だ。

 ルナ様がこのトランプを知って以来、まともに仕事にならなかったことから、執事さんがトランプを、'来客した人をもてなすための公務'という位置付けにした。


 というか、封印した。


 だから、ルナ様は私たちが来るのをウキウキで待っていたらしい。 


 とはいえもちろん、トランプだけが楽しみだったわけでもない。

 一緒に遊んでわかったんだけど、かなり人懐っこい性格をしている。


 近所に住んでるヤンチャな歳下妹分と遊んでるみたいだ。


 最初、到着予定よりも少し早かったので街を散策して暇を潰しておくと言ったけど、そんな必要はないと言われた。

 今思えば、単純に出来るだけ早く私たちとトランプをしたかったんだね。


 見た目通りのキッズじゃん。


 さて、ルナ様があまりにトランプばかりで仕事にならないため、来客用の公務として封印したわけだが、実際に封印が解かれてしまった今、ルナ様をいかにトランプから引き剥がすかが重要なポイントとなるわけだ。


「ルナ様、そろそろですよ」

「リンちゃんの言う通りやな、予定よりも長いことしてもうたし」

「うぐーーーっ! 働きたくないっ!」


 間違いない。


 これは時間かかるやつだ。


 ─────ガシッ


 そのとき、執事さんがいつの間にかルナ様の背後に回り込み、おもっきり首根っこを掴んだ。


「行きますよ」

「うがーーっ! はなせーっ! まだリンに勝ててないのだーーっ! 今度こそ絶対に負けな─────」


 ─────バタンッッ!!


 とんでもない国だ。


 執事が国王を鷲掴みにし、引きずり閉じ込め、仕事をさせている。


「どうやった?」

「どうも何も、この世界はまともな国王いないの?」

「ふはっ。まぁ気を抜くところは気を抜く、しっかりするところはしっかりと。メリハリがあってええんやない?」

「今のところ私が見てるのは全部同じ側面なんだけど」

「まぁ、長いこと生きてりゃそのうち見れるやろ」


 さすが国王の側近。

 言葉の重みが違いますねぇ。


「それで、これからどうするの?」

「またお昼どきに戻ってきて、ルナ様に食事してもらうっていうプランでいこか」

「そうね。ここで時間潰しといていいのかな」


 お昼の時間まで、まだ2時間ほどはある。


 街を回るにも少し物足りない気がするし、ここでボーッとしておくには少し長いような気がする。


 ─────コンコンっ


「どっ、どうぞ」

「失礼します、フィリア様、リン様」


 さっきルナ様を鷲掴みにしていた執事さんだ。


 ……この人の前では、しっかりとした態度でいこう。


「お昼はどういたしましょうか」

「あっ、私たちはいきなりお邪魔させていただいたので大丈夫なんですけど、ルナ様に召し上がっていただくものがありまして…」

「そういったことはお気遣いなく、是非とも召し上がってくだされ。ルナ様にご用意してくださったものはこちらでお預かりしておきましょうか?」

「あ、えっと直前まで私が持っていても大丈夫ですか?」

「もちろん、問題ございません。おふたりはどうされますかな?」

「うーん…」


 どうしよう…


「それでは、我が国が誇る職人の技術でも見学されていきますかな?」

「えっ!? いいんですか!?」

「もちろんでございます」

「その、技術が漏れたりとか…」

「リン様はお優しいのですな。しかしご安心くだされ。一度や二度見た程度で出来るようなものではございません」


 そりゃそうだ。

 何十年も努力を積み重ね、幾度とない失敗を繰り返し、そしてその先にこそ、そういった技術は得られるものだからね。


「ではお言葉に甘えさせてもらってもいいでしょうか!」

「もちろんでございます。フィリア様はどうなされますか?」

「せっかくやし、ウチも見させてもらおうかな」

「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」


 これから見られる職人技への興味、関心、そして緊張、色々な感情が渦巻ながら、執事さんの後を慎重についていく。

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