238 ありがとう
すみません、投稿期間が少し空いてしまいました。
確認すると、人数は2人。
そして私は、確認と同時に足を踏み出していた。
─────バタンッッ!!
勢いよく扉を開けた。
「もしかして私たちを襲いにきた人ですかっ!?」
おそらくピッキングなどをしようとしていたのか、部下っぽい方の男が扉の目の前であたふたとしている。
「勝手に開いた!?」
私が開けたんだよ。
見た限りアホそうで助かるね。
「それで? あの子を拐いに来たということで?」
……一向に私の質問に応えてくれる気配がない。
話が通じない相手には、まず1発殴ってみるのも良い手だと、どこかの誰かが言っていた気がする。
「おいっ! お前もう消火したのか?」
「そっ、そんなはずないっすよ……って、火が消えてる…」
私が動き出すと同時に、消火は済ませてある。
幸いなことに火事の規模はそこまでだったから、軽く水魔法で消火してやればちょちょいのちょいだ。
お婆さんの無事は、魔力探知により確認しているが、外傷があるかもしれないので、早めに確認に行きたいところだ。
「ってか、いつまで突っ立ってるんですか? 邪魔だからどい……てっ!!!」
─────ボフッッッッ
2人まとめて風魔法で後方に突き飛ばす。
とてつもない嫌な音と共に、壁へと叩きつけられた。
けどさすがにタフなのか、まだピクピクと動いている。
…タフ?
…痙攣?
まぁどっちでもいいか。
「フレア!」
「見てくるっ!」
皆まで言わずとも、私の言いたいことはわかってくれていたようだ。
幸い、敵が2人しかいないことは把握済みだからね。
フレアが変なのに絡まれる心配もない。
まぁ絡まれたとて私の防御魔法をかけてあるから、そこらの野蛮なやつらでは、服にシワ一つすら付けられないよ。
「わ、私もついていきます…!」
アーニャもフレアについていった。
ここは私に任せて大丈夫だと思ったのだろう。
「さて…」
目の前に転がってるのが、今回の犯人ってことだよね?
よくもまぁベストタイミングで来てくれたね。
ただ可能性としては、アーニャたちをさらったヤツらではなく、単に私たちを街中で見かけて、どこか別口の悪人が私たちをさらうように指示した、と言うこともあり得る。
「殺しはしないから、素直に吐いてくれれば軽くしてあげるよ」
私がまだ優しいうちに、吐いてくれるといいな。
「ボ、ボスの命令…だ……」
下っ端らしき男が声を絞り出した。
「おい…潔く黙って…死ぬのを待て……」
それに反応するかのように、もう1人のリータ格の男が声を出した。
下っ端の男もそれを聞いて黙りこけた。
潔いのはいいことだけど、今その潔さは必要ない。
「名前は?」
「俺たちは…決して……口を割ら─────ッガ…ァッ!?」
アーニャにしたように、死なない程度に喉に一撃加えた。
とりあえずうるさいから黙っててもらおう。
「じゃ、お兄さん。喋れるうちに喋った方がいいよ?」
「しっ、しらないんだっ…!」
「何が? ボスの名前?」
「あ、あぁ…遣いが来る………」
こんな使いっ走りの下っ端程度では、なんの情報も得られないって訳ね。
ったく、この世界はそういうところだけ無駄にしっかりしている。
「じゃ、お兄さん達は森の中で事故に遭った盗賊ってことでいいかな?」
「そっ、そうだ…あの後は体が回復するのを待った…」
「どこで?」
「森の中だ…」
なるほどね。
街にいると思ったけど、森の中で養生してたってことか。
「残りの子達は?」
「もう…いない…」
「は?」
「すでに…引き渡された…」
「誰に」
「わからない…森の中で取引を…する予定だった…」
「顔は見てないの?」
「指定の場所に…縛り付けて放置した…」
「人数が足りなかったはずだけど?」
「そんなことは…知ったことじゃない………こっちだって大変な目に…あったんだ…」
「じゃあ君たちは、取引先からも良くは思われていないってことだ」
「知るか……」
こいつらは仲介役的な立ち位置なんだろう。
お互いに顔が見られないようにしていたか。
依頼料はあらかじめ貰っていたか、子供達を縛り付けたという場所に隠してあったか、そこはまぁどうでもいいが、アーニャを含めて5人以上も配達品をロスしたにも関わらず、きっちりと依頼料は受け取ったと。
まともな仕事なら、とんでもない信用失墜問題だね。
「リンさんっ!」
下の方からフレアの声が聞こえてきた。
「どうだった?」
「無事でしたっ!」
「よかった…」
ひとまず、建物以外は無事みたいだ。
「し、正直に…話したんだ…罪は軽くしてくれんだろう…な…」
「え? しないけど」
「なっ…話と違うじゃないか…!」
「そんなこと言った覚えないけど」
「嘘だっ…!」
「嘘じゃないよ。私は、軽くするとは言ったけど、何を、とは言ってない」
「なっ…」
「軽くするのは、私の憂さ晴らしだよ」
─────ゴボッッッ!
喉に一撃お見舞いしてやった。
これ以上しゃべれないようだ
うんうん。主語って大事だね。




