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234 そんなことある?


「この辺りですと、あの森以外で一番近いのは……」


 街を出て、少し歩き、誰もいないであろう森の中へとやってきた。

 レイサさんには護衛がついていたが、街でお留守番している。

 よほど、人目を気にしているらしい。


 そしてレイサさんはと言うと、頭を巡らせ、どこかのスポットを探しているようだ。


 私がご存知の怪しげなスポットなんて言ったら、シーランに点在していた転移装置みたいなやつ以外は、特に思い当たらない。


 もしかして、あの転移装置は他の場所にも行けたり、はたまた別の場所にもあんなのが存在するということ…?


「では、少し歩きましょうかの」

「えっ、あっ、はい」

「あの、わたしたちは待っておいたほうがいい?」


 フレアがレイサさんに尋ねた。


「フレア様でしたら大丈夫でしょう。いずれにせよ、お聞きにならねばなりませんからな」

「えーっと、もしかして国家機密だったり」

「リン殿はご存知でしょうが、実を言うと扱い的には国家機密なのです。領主を引退した今も、ワシがそこの管理を任されておりますので、いずれはワシがフレア様にご報告する手筈でした。故にフレア様はまだ知らないはずですの」

「あのっ、なんの情報かは全く検討もつかないのですが、予定が少し早まったと考えればいいということなのでしょうか」

「そうでございますフレア様。特に規律などに反している訳ではございません、その点はご安心ください」

「ごめんなさい…あの、わたしは…」


 アーニャがとてつもなく申し訳なさそうに尋ねてきた。


「今回の件についてだけで言えば、無関係、というわけにはいきますまい」

「もしかして、盗賊が襲われた時にアーニャも一緒だった、と気付いてたんですか?」

「ほほ。リン殿があのように聞いてくれば、誰しもがそう思いますよ」


 うっ、レイサさんが有能すぎるだけだと思うけど…


「それに、きっとアーニャ殿のお知り合いも今そちらにいるでしょう」

「「「 えっ!? 」」」


 アーニャ達の他にも、捕まっている子がいたらしいけど、その子達も無事なのか。


「しかしながら、お一人でした」

「ひとり…?」

「えぇ。保護した時には、もうそのひとりしかいなかったようです。特に負傷が激しかったため、置き去りにされたのかもしれませぬな」


 全員…とはいかなかったが、1人だけでも救われているのなら、それだけでも喜ぶべきだろうか。


「ねぇフレア、何か予想できる?」

「うーん…わからない…」


 フレアもあまりピンと来ていないようだ。


「あの、ますますわたしが行っていいのでしょうか…」


 アーニャが不安になる気持ちもすごくわかる。


「部外者を連れて参るわけにはいきませんが、アーニャ殿なら大丈夫でしょう。リン殿もご存知でしょうが、入口は定期的に変わりますからな。入口が知られたとて問題はないはずじゃ」

「えぇっと…?」


 入口が定期的に変わる?

 それに、軽く受け流したけど、国家機密?


 さっきからレイサさんは一体何を言ってるんだ?


「さて、着きましたな」

「んーっと…?」


 レイサさんの視線の先には、特に何もない風景が広がっている。


 もしかして…


 探知魔法を使ってみると、目の前には非常に薄い魔力の膜が感じ取れる。

 魔法陣のようで、魔法陣じゃない。


 これは、私かテアじゃないと気づけないレベルだ。


 にしても、肝心の効果はわからない。

 一体なんの膜なんだろ。


「では、アーニャ殿。ここからのことは我々だけの秘密ということにしておいてくれませんかな」

「あっ、あのっ…わたしここで待ってます…」

「そうはおっしゃらず。もし心配でしたら、イオ殿に頼んで、記憶を変えてもらうよう─────」

「えっ!?」


 イ、イオっ…?


 レイサさんは今、イオって言った?


「イオって…」

「むむ? リン殿はお知り合いではなかったのですか?」

「えっ、あっ、知ってます…けど…」


 待てよ…?

 レイサさんがイオを知っている…?

 イオが私のことをレイサさんに話したことがあるということ…?


「レイサさん…もしかしてここって…」

「もちろん。この先にあるのは────」


 なんだか、とてつもなく胸がざわつく。

 もしかすれば、いや、もしかしなくてもだ。


 きっとここは…


「─────エルフ族の集落ですぞ」

 

 ……だってよ。

ついに来ました。エルフ村。

ですが、今は長居する予定はありませんので、話がひと段落ついてから、リンにはまたじっくりとエルフ村を堪能して頂きたいところですな。

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