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230 この間ぶりのシーラン

 

「ここがシーラン…」

「あれ、フレアは初めて?」

「うん。すごく綺麗な街並み」

「だよね。私も最初来たとき感動しちゃったよ」


 アーニャはともかく、フレアもシーランは初めてらしい。


「リンさんっ…」

「怖い?」

「はいっ…」


 シーランは宗教国家のような場所だ。

 さまざまな装束に身を包んだ人で溢れかえっており、アーニャが怖くなってしまう気持ちもわかる。


「手繋いでいいよ」

「あのっ…お願いしますっ…」


 アーニャと手を繋いであげると、フレアもアーニャのもう片方の手を握った。


「すごく安心ですっ…!」

「そりゃ良かった。絶対に危害はないよう守ってあげるから、堂々としててね」

「はいっ!」


 今回は、あえて透明化などの魔法は使っていない。

 なぜかといえば、アーニャの姿を野蛮なクズ共が見た時に、何か行動を起こしてくるに違いないと踏んでいるからだ。


 やつらだって、あくまでペーペーに過ぎない。

 何か元締め的なボスがいて、きっとアーニャ達を逃したとなればタダじゃ済まないだろうから、もう一度捕まえようとしたりするはずだ。


 こちらが透明化していては、私たちがやつらを探すだけになってしまうからね。

 向こうからも見つけてもらおう、という算段だ。


 とはいえ、もちろん私たちも出来ることはする。


 まずは冒険者ギルドだ。


 とりあえず受付に聞いてみよう。

 裏からこっそり行くのもいいけど、やつらに気づいてもらうため、色々な行動を起こして、多少目立つ必要がある。

 

「あのぉ、リーシャさんと知り合いなんですけど、会えたりします?」

「紹介状などはございますでしょうか?」

「そういうのは全くないんですけど…」

「困りましたね…マスターに会うには、あらかじめ身分確認や内容の詳細などを提出して頂く必要があります」


 ですよね。


 知り合いだから、で押し通るとは思ってなかったよ。

 名前もみんな知っているわけだし、知り合いです、なんて情報だけで通してしまったら、セキュリティもクソもないからね。


「名前を伝えてもらったりすることは…」

「すみません。そういったことも出来ないようになっているんです」

「そうですか…」


 てか、どう考えても私たちみたいな子供が、ギルマスと知り合いだなんて思いもしない。

 子供のいたずらだと思われている可能性が高いね。


「何かご用件がありましたら、わたくし共がお聞きしますが?」

「あーっ、まぁ、うーん…」


 それでは身分証をご提示ください、なんて言われようもんなら一巻の終わりだ。


「リンさんっ…さすがに怪しいよっ…」


 フレアから小声でツッコミが飛んできた。


「けど身分証なんて見せたら大騒ぎになるじゃん…」

「た、たしかにそうだけど…」


 よし、ここは当たり障りない程度に聞いてみよう。


「あの、この辺で盗賊たちが事故に遭った、なんて情報知ってたりしませんか?」

「いえ…そういった情報はまだ入ってきておりませんが…」


 ですよね。

 事故があった付近からシーランが近いとはいえ、情報として入ってくるには少し遠いからね。


「それと何か関係があるのでしょうか?」

「いやっ、あのパパがそれで困ってて…何か情報があればって…」

「そうでしたか…すみませんが、ギルドとしてはそういった情報はありません」


 よし、少し同情を買ったぞ?


 …これは今がチャンスではっ!?


「それで、あのっ、リーシャさんに…助けて欲しくてっ…」

「だっ、大丈夫ですかっ!?」

「ぐすっ…パパぁっ…」

「こ、困ったわ…どうしましょう…」


 泣いてるふりして顔を覆い、チラッと横を見る。


 アーニャは真顔。

 フレアは失笑。


 どうしてよっ!

 私がこんなに頑張っているのにっ!


「なんの茶番だ?」

「ギ、ギルマスっ!」


 おっ?


「こら、ノーナ。こんな子供を泣かすんじゃない」

「いえ、しかし…この子達がどうしてもギルマスに会いたいと…」

「なに?」

「規則でダメとお伝えしているんですが…知り合いだからと…」

「こんな子供…知らない……が…………」


 まずはアーニャに目が留まったのだろう。

 こんな子供知らない、と言おうとしたが、横のフレアに目がいくと、何やらひっかかることがあったのだろうか、言葉が詰まり始めてきた。


「確かあの時の晩餐会に…」


 晩餐会が何かはわからないけど、フレアは一応お姫様だから、冒険者ギルドのギルマスとなれば、何かしらの機会に一度はフレアのことを見ているのかもしれない。


「いや、気のせいか…」


 リーシャさんが私たちの元に歩み寄り、泣いている私の頭をポンと撫でた。


「あまり泣いてちゃ、せっかくの可愛らしい顔が台無しよ。ほら、顔あげ─────」


 リーシャさんが私の顔を覗き込んだ。


「げっ!?」

「げっ!?ってなんですかっ!? ひどいっ!」

「だっ、なんでこんな茶番をしてるのっ!?」

「いや、色々とわけがありまして…」


 本当に知り合いだったことに驚いたのか、受付のお姉さんもあたふたとしている。


「とっ、とにかく奥においで…」

「ありがとうございますっ!」


 なんとか、程よく目立ちつつ、リーシャさんに会うことができた。


 ……程よく?

実は、某ウイルスの餌食となっております。

感染力がとんでもないと実感しました。皆様もお気をつけください…

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