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229 出発と到着


「というわけで、この子達をなんとか助けてあげたいんだけど」


 目の前には、セリとシーナがいる。

 そして、5人の子供たちも一緒だ。


「いきなりいなくなったと思えば…」

「よくもまぁこんな偶然があるものね」

「ほんとそれね」


 2人は、やれやれといった顔をしているものの、この子達のことは放って置けない様子だ。

 

「けど、さっきリンが言ってたような行動に出るには、この人数は多すぎるわよ」

「あぁ…確かにそれもそうか…」


 子供9人でシーランをぶらぶら彷徨うのも、それはそれで色々とまずいことになりそうだ。

 身分を見せろと言われれば、見られて困るわけじゃないけど、ちょっと困る。


 どっちだよ、って感じだけど。


「なら、わたしとシーナが何人か面倒見とくよ。昨日のアレとかで遊べそうだし」

「なるほど。その手があったか」

「あっ、あの…アレとはなんでしょう…」

「これだよ」


 セリが昨日遊んでいた水鉄砲を出して見せた。


「「「「 すごいっ…! 」」」」


 どうやら、アーニャ以外の4人は釘付けのようだ。

 これは決まりかな。


「アーニャ、1人でも大丈夫?」

「はいっ! あの、わたしはどうすれば…」

「着いてきてくれるだけで大丈夫だよ。そうだなぁ…まぁ観光という名目で行くから、そういう気持ちで」

「でっ、でも…悪い人たちをやっつけるんですよね?」

「まぁ、アーニャがそんなの気にすることないよ。私たちに任せなって」


 もし大乱戦になった場合は、私がアーニャとフレアの2人を守れば良い。

 それで残った4人の子供たちをセリとシーナに任せれば、人数的にもちょうどいいかも。


 まぁ、誤差の範囲かもだけどね。


「いつ戻れるかわかんないから、とりあえずなんか動きがあれば連絡するね」

「りょーかい。あんまりやりすぎないようにね」

「本当よ。一応フレアがついているんだから、あまり面倒になると迷惑がかかるわよ」

「そ、そこまで言う!? フレア…どうする?」

「大丈夫。任せて」

「さっすがフレア。じゃ、リンの面倒をよろしく」

「アーニャちゃんも、この子の面倒しっかり見てあげてね」

「ふぇ、あの…リンさんの…?」

「こらっ! 大人のお姉さんをあんまり揶揄うんじゃありませんっ!」


 待っている4人の子供たちに、セリとシーナが変なことを教え込まなきゃいいけど…


 フラグじゃないよね。


「よし、じゃあ急ぎだから、飛んで行こっか」

「はいっ…! って…えっ…?」


 風魔法をフレアとアーニャに付与する。

 もちろん、飛んで行くためだ。


「だぁっ…ま、待ってくださいっ…!」

「わくわく」

「行くよーっ!」


 身体が宙に浮かぶ。

 子供たちは興味津々で見ているようだが、当の浮いてる本人は、とんでもなくテンパっている。

 

 さて、シーランまでは馬で1日かからない程度だ。

 

 途中に盗賊らしき奴らがいるかどうかもチェックしておく必要があるから、そこまでのスピードは出せないけど、空を飛んでいけば、数時間もかからずに着くだろう。


「じゃ、いってらっしゃーい」

「気をつけて」

「あいさっ!」

「了解しましたっ!」


 フレアもやる気満々みたいだ。


「あわっ…待っ…」


 すまないね。

 心の準備を整えてる暇はないんだ。


「─────どぅわぁぁっ!?」


 絶叫に近い叫び声が、静かな空に鳴り響いた。


 



「どうっ? 慣れてきた?」

「こっ、こんなの慣れるわけありませんっ!」


 上空で半泣きになりそうなアーニャちゃん。

 その横で楽しそうに笑っているフレアちゃん。

 

「どうしてリンさんとフレアさんは平気なんですかっ!?」

「だって落ちないし」

「リンさんがいれば何も怖くないよっ」


 フレアのそれはちょっとわかんないけど、フレアは相当肝っ玉が据わっているため、あんまり参考にならないことに変わりはない。

 まぁ普通に暮らしていれば、空を飛べば怖がるのが当たり前の反応かもしれない。


 いや、待てよ?

 その理論でいけば、ウキウキで空を飛んだ私は普通ではない……のか……?


 そもそも普通とはなんだ…?


 私だって、ちょっと中二病の節はあったけど、元は普通の人間だったわけで…


 けどどう考えたって、今の私はこの世界では普通ではない…


 一体どっちの私が普通なんだ…?


 …ダメだ。

 これ、考えてもなんの意味もないことに、脳が支配されるやつだ。

 私が昔から定期的に陥るやつだ。


「リンさんがまた変なこと考えてる。アーニャも気をつけたほうがいいかも」

「フレアっ!?」

「そっ、そんな…次は何が……」

「教育に悪いからっ! 本当に何も考えてないからっ!」


 しっかりしなよ私。


 次の日寝て起きたら記憶から無くなってるような、訳のわからないことを考えている場合じゃない。

 

 にしても、冗談を交えつつではあるけど、真剣に目を光らせてはいる。

 が、今のところ、盗賊やそれらしき気配はない。


 というか、もうそろそろシーランへと到着だ。

 シーランにあるめちゃくちゃでかい噴水の奥にそびえていた、教会のものらしきこれまたバカでかい建物が見えてきた。


 あそこも気になってたけど、完全にそれどころじゃなかったから、あれがなんの施設なのかは未だに分かっていない。


「ねぇフレア、あれ何か知ってる?」

「あそこには、教会が祀っている神様が置かれていた気がする」

「置かれていた…?」

「うん。なんでも等身大らしい」

「まさかあれ全体に収まってるとはいわないよね?」

「どうだろう。中は教会の人たちしか知らないと思う」

「フレアの父さんも知らない?」

「どうだろう、もしかしたら知っているかも」


 フレアの父さん、つまりこの国の国王だ。

 この国の国王が知っているかも、という推定にすぎないということは、よっぽどレアな代物なんだろう。


 なんせ、ここの教会は国が発展する遥か昔からずっとあり続けたもので、国王の権力と並ぶほどとも言われているらしい。


 たしかに、この間のメズナ達が引き起こした騒ぎでは、教会のトップが出てきてごちゃごちゃするのかと思っていたけど、思いの外あっさりと、まるでそんな事件は無かったことかのようになった。


 暗部だの闇だの言っていたけど、もしかすれば表向きの境界のトップも相当闇が深い説あるよ。


「ちなみにアーニャって身分証みたいなの持ってたり…」

「ごめんなさい…」

「いや、謝ることじゃないよ。気にしても仕方ないことだ」


 となれば、表から門を通って入場するのはちょっと渋いな…


「リンさんとわたしがいれば大丈夫」

「まぁそれはそうなんだけどさ」


 ま、問題ないか。


 上からこっそりお邪魔しよう。


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