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223 水遊び


「やったなぁーっ!」


 ─────ゴガガガガァァッ!!


 とんでもない水流が、まるで覆い被さるようにシーナを襲う。


「わたしだって負けてないわよ!」


 ─────ズザザザザザッ!!!


 反撃と言わんばかりに、セリの作った水流を目掛けてドラゴンの形をした水流…? いや、これは水龍だ。水龍が襲いかかる。


「隙ありっ…!!」


 ─────ビシャァァァッ!!!!!


 水龍がセリが作り出した水流を貫いた途端、貫いた場所から大量の水飛沫がシーナ目掛けて襲いかかった。

 

「ぐっ…なかなかやるわね…」


 どうやらこの回はセリの勝ちらしい。


 うん。


 ……って、これが14歳の水浴びですか?

 どう見ても国家戦争ですが?

 

「リンさんは混ざらなくていいの?」

「私は眺めてるだけで十分。それよりフレアこそ、混ざらなくていいの?」

「あんなの喰らったら旅路が変わっちゃうよ」

「それもそうか」


 にしても相変わらず、どこからあの元気が湧いてくるのか不思議で仕方ない。

 私たちはこう見えても、14歳という年齢にしては結構な長旅をしている。


 王都を出てからストレーンに着いた後、3日ほど滞在してから次にルーズを目指して出発した。

 4日ほどかかったがなんとかルーズに到着し、リィクと合流してそこでも3日ほどルーズの街を楽しんだ。

 楽しんだと言っても、観光名所的なものは特になくて、リィクがおすすめの料理屋に連れて行ってもらったり、ガラス細工を作ったり、街の裏路地を探検したり…

 特に街の裏路地探索はなかなかに愉しいものだったよ。


 以前にこの街でとんでもない悪さを働いていたバルナが捕まってから、少しずつ治安は良くなってきているらしいが、まだまだ、完全に安全な街になったというわけではない。

 というか、この世界で完全に安全な街を探す方が難しいからね。

 そう考えれば、それ相応には落ち着いたんじゃないかと思うよ。


 そして今日はルーズを出発してから2日後だ。

 ここからは、特に目的地がない。

 ゆったりと回り道をしながら王都を目指す旅だ。

 もちろん、地図には単なる木々や川、山などしか描かれておらず、どこに何があるかもさっぱりだ。


 まぁ最悪の場合は、転移を使えばすぐにでも帰れるから、迷子になる心配もないしね。


「そこのおふたりさんたちーっ。あんたたちは今日の晩飯を川から調達するという任務があるんだぞーっ」

「「 わかってる! 」」


 ─────ボガァッッッッ!!


 もうやめてあげてよ。


 川の魚たちが悲鳴をあげているよ。


 もし喋れる魚がいたら、今頃、この川は阿鼻叫喚の嵐に違いない。


「わたしたちはテントだね」

「ん、そろそろ建てるかぁ…」

「場所はここでいいの?」

「いいんじゃない? 程よく涼しくて綺麗な場所だし」

「けど、ここで寝るにはちょっと痛くない?」


 そう言ってフレアは、地面にゴロゴロ落ちている石を蹴る。

 

「こんなの」


 ─────ズンッッッ…!


「こうすりゃいいのよ」

「リ、リンさ…」

「てへ」


 というわけで、岩を砕いてあげた。

 もちろん、テントを張る場所だけね。


「すごい地鳴りだったけど何事!?」

「リンがまた何かやったのかしら」

 

 いやあの、国宝級の防御が付与された制服を作ったとかじゃないんだからさ。

 もうちょっと優しい言い方にしてほしいよ?

 

 とまぁそれは置いといて、我ながら綺麗になったもんだ。

 私が幼稚園児なら、今すぐここで泥団子を作るね。


 もはや、岩どころではなく小石という概念すらないほどの、綺麗な砂になった。

 もうこれはこれで、ベッドとして売れるのでは? と思うレベルだ。

 

「はいこれ」

「おっ?」


 セリが数日分の食糧になる、魚を獲ってきてくれた。

 魚の他に、貝もある。

 

「ねぇリン。適当に獲ってきて言うのもあれなんだけど。毒とかないよね?」

「うーん…何か見たことないのも混ざってるな…」


 まぁさすがに内臓は食べないし、見たことあるやつ以外は加熱もするとして…

 私もこの世界に来て結構な頻度で料理をしているけど、今のところ毒入りの魚は聞いたことがない。

 もちろん、毒入りの魚が市場に売っているわけがないから、見たことも聞いたこともなくて当然なのかもしれないけど。


「食ってダメだったらそん時はそん時でしょ」

「「「 えぇ…? 」」」


 3人揃ってドン引きされた。


「じょ、冗談に決まってるじゃない…あは…あはは……は……」

「あら? わたしには冗談に聞こえなかったわよ」

「わたしも。気のせいだってことかなぁ?」

「リンさん…」


 何気にフレアのセリフが一番傷付くよ。


「あーもう! じゃあこいつとこいつはさよならしてきて!」

「りょーかいっ!」


 生捕にしてあったため、見たことない魚たちは川へと帰ってもらった。


 勝手に毒入りかもしれないというレッテルを張ってしまって、すまないね。

 けどごめん。キミ達を食べるわけにはいかないんだ。


「あとは大丈夫だけど、念のため身だけにしておこう」


 そういえば、普段見慣れた魚でも、生息している場所や食べてる餌によっては、体内に毒が蓄積して…なんてことも聞いたことがある。

 まぁそれは正直分からないから、もし毒入りに当たったら、もうこればっかりは、その時はその時だ。


「じゃあ今日は私の気分で勝手に作りたいの決めるけどいい?」

「いいけど、何を作るの?」

「内緒」

「でしょうね」


 セリとシーナが獲ってきた物の中に、見たことある貝を見つけた。

 ホタテだ。


 これを、あぁすると美味いんだよなぁ…


「じゃあ3人はこれで遊んできなよ」

「「「 これ? 」」」


 土魔法を使い、あるものを作り出した。


「「「 銃? 」」」

「ふふふ。ちょっと惜しいね。これはこうして使うんだぞ」


 タンクに水を入れ、セリ目掛けて発射した。


「つめたっ!? …‥って、水?」

「正解! その名も水鉄砲!」


 というわけで水鉄砲の完成だ。


 これならフレアも安心して遊べるからね。

 もちろん、魔改造禁止だよ。


「結構時間かかるから、3人はこれで遊んでて……って、もういない」


 3人が勢いよく川へ走っていった。


 な、なんだかちょっと寂しくない?


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