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122 肩書きの正しい使い方


 あれから日付が変わった。


 昨日すぐにノインさんの元へと行ったところ、ここ数週間の検問名簿を見せてもらうことができた。

 他の街から来た人はここに全て記録されている。

 しかし、これといって怪しい人物はおらず、これ以上探すのは時間的にも難しいという結論に至った。


 セリにも報告し、家族会議をした結果、セルニアさんとセアは王都にあるサリナさんの屋敷へとお世話になる事が決まった。


 イリアさんは、私たちと共にこのお店に残る。


 2人とも居なくなれば、明らかに怪しくなってしまうため、イリアさんには残ってもらうことになったのだ。


 最初はセルニアさんも残ると言って聞かなかったが、セルニアさんには剣術や魔術のノウハウがない。

 それに対してイリアさんは、現役を離れた身とはいえ元冒険者だ。

 間違いなくイリアさんの方が強い。


 まぁそういう問題ではないのかもしれないけど、それを言ってしまえばイリアさんを危険に巻き込むつもりも毛頭ないし、もしもの時はすぐに転移を使い避難させるつもりだ。

 

 この話をサリナさんにしたとき、大親友であったイリアさんを困らせている男に対して、あまりにも冷静さを欠いてキレていた。


 そのため、サリナさんは丁重にお留守番してもらうことにした。

 見張りつけとかないとヤバいぐらいキレてたよ。


 ないとは思うけど、シーナを使って無理やり転移してくる可能性もゼロではないため、シーナにもきっちり言い聞かせておいた。



 さて、なにはともあれ時刻は夕方だ。

 日が暮れ始め、人通りも少なくなりつつある。


 店の中には緊張した面持ちのイリアさんと、カレーを美味しそうに頬張っているフィリアさんがいる。


 私が呼んだ。


 私1人だけで座ってるのも不自然かな……ってのは建前だ。

 正直なところ、フィリアさんとはもう少しきちんと接してみたい。

 ちなみに、昨日頼みに行ったんだけど、喜んでオッケーもらえたよ。


 改めて、この人ほんとに謎だよ。


 さてさて、私がフィリアさんと接したいからという理由も大きいが、もちろんそれだけが理由で呼んだわけではない。

 盗賊の件もそうだったが、私相手では素直になってくれる可能性が極めて低い。


 フィリアさんを連れてこれば、男も素直になってくれるはずだと考えた。

 

 というわけで、目の前にいるフィリアさんに、肩書きのお手本を見せてもらう。

 気を張ってはいるのだが、カレーを頬張っているためフィリアさんの顔がとろけている。

 そりゃこんなに美味しいカレーのレシピ、奪いたくなるわけだ。


『リン。来るぞえ』

『ありがと』


 しばらくすると、テアが人の気配を察知し、教えてくれた。


「フィリアさん、来ますよ」

「了解や」


 すると、店の扉がゆっくりと開いた。


 ─────ギィィッ


 とにかく優先事項は、イリアさんの身の安全だ。

 私は男に思考を集中させたいので、テアに防御魔法を使ってもらいイリアさんを護ってもらっている。


「……レシピは用意できたか」


 男は、隅の方にいる私たちに気づいてない。

 認識阻害、使ってないんだけどなぁ……

 

 ここは予定通り、イリアさんに答えてもらう。


「……ごめんなさい。やっぱり渡すことはできないわ。あれは夫が苦労して考えたものなの。たとえ脅されても、そう簡単に渡すわけにはいかないわ」

「チィッ! お、お前! こ、この店がどうなっても、い、い、いいのか!」


 うわぁ〜。

 聞いちゃった。こりゃ現行犯だ。


 今更ながら、男が私たちに気づいたようだ。

 どうしてこういう類いの人たちは例外なくアホなの。


「だ、誰だお前ら!?」

「ウチらのことはお気になさらず。話し、続けてもろてええよ」

「な、なにを……くっ、この……お、俺を……俺をからかってるのか…!!」


 男は、後ろ姿しか見えていないフィリアさんに苛立ちを見せ、ブツブツなにかを唱え始める。


 すると突然、男が叫びだす。

「お、俺は! ま、魔法だって使えるんだぞ!!」


 は〜い! もうアウトだこれは。

 問答無用でアウトだ。

 よく人前でそんなことできるね。


 もちろん男のちゃちな魔法がテアの完全防御を突破できるわけもないが、咄嗟に男に向かって魔法を放ち、男の魔法を阻止する。


「なっ! く、くそっ!」

「はーいそこまで。もうバッチリ見てたから」


 私たちは立ち上がり男の元へと歩み寄る。

 

 私が男を取り押さえようとしたが、真っ先にフィリアさんが体術で押さえ込み、なんとも器用に縛り上げた。


 さすが宮廷魔術師団の団長だ。

 正直言って、早すぎて見えなかった。


「ウチのことは知っとるやろかぁ?」


 フィリアさんの顔を見た男は、一気に青ざめる。


「フ、フィリア様……」

「あらぁ? 名前まで知ってもらえとるなんて、光栄なこっちゃやなぁ」


 フィリアさんの笑顔が怖いよ。


いつも誤字報告助かっております!

今回なんですけど、訳あって身体中バッキバキで思考回路停止しながら投稿したので、誤字あるかもしれません。。。

すいません。。。


このようなご時世です。皆様もお身体には十分お気をつけください。


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