100 その後3
中庭へ向かうと、兵士が50人ほどいた。
みんな朝からご苦労様なことだ。
1番先頭にいる、おそらくリエルさんだと思われる人に挨拶してみる。
「初めまして、リン・フォーセルです」
「貴殿がリン殿か。俺はリエルという」
「カイルさんにはいつもお世話になってます」
「ハッハッハッ! あいつの話を聞いている限りは逆だがな。まぁいい、それで、俺たちはどうすればいい? とりあえず国王様の命により集められたが、作戦はリン殿に聞いてくれとのことだ」
あの脳筋、本当に全部私に丸投げだよ。
「えっと、とりあえず8割ぐらいの人数とリエルさんをバルナの屋敷へと送りたいんです。腐っても商業ギルドマスターですから、権利がどうと、うるさい私兵などがいるかもしれませんし」
「ふむ。わかった」
「それから、地下なのか隠し部屋なのかはわかりませんが、捕えられている女性がいるはずです。そういう人たちに接することができる人を重点的に集めてほしいんです」
「ならば、女性が多い魔術師で編成しよう」
「ありがとうございます。残りの人たちは私と一緒にアジトの後処理をしてほしいんです。盗賊被害に遭ったものが置かれているので」
「わかった」
「私の方も終わり次第、バルナの屋敷へ向かうようにします」
作戦を一通り伝える。
これだけの魔術師と騎士がいれば、終わった後はいちいち転移で移動させなくても大丈夫だよね。
するとすぐに編成が決まったのか、リエルさんが声をかけてくれる。
「そっちからここまではバルナの屋敷へ向かう。それ以外はアジトだ」
「わかりました!じゃあ、飛ばしますね」
「な、なぁ」
「どうしました?」
「国王様も言っておられたのだが、飛ばすってなんだ?」
「まぁそんな細かいことは気にしなくて大丈夫です」
「?」
まぁ、結果良ければ全て良しだ。
「みなさーんっ!!」
私は大声で全員へと告げる。
「今から、バルナの屋敷へ向かう人たち、準備はいいですか?」
「「「「「 ? 」」」」」
「良さそうなので行きますねっ! せーのっ」
─────ザッ!!!!!
全員が一瞬にしてバルナの屋敷の前へと転移する。
こういうこともあろうかと、事前にバルナの屋敷の場所を調べておいた。
さすが私。抜かりないね。
「なんだここは!?」「何が起こった!?」「これはもしかして転移か!?」「なんと!?」「失われた英雄様の!?」
個々に様々な感想を漏らしているが、今はそれどころじゃない。
「じゃあみなさん、この魔法は国家機密扱いになってますので、今のことは忘れて仕事してきてください」
「りょ、了解!」
リエルさんの一言で、全員に気合いが入る。
「「「「「 了解っ!! 」」」」」
次はアジトだ。
転移で戻ってくると、こちらもやはり騒ついていた。
「じゃあ次は皆さんの番です! あ、国家機密です! いきます!」
だんだん説明が雑になっているよ私。
我ながら支離滅裂な文章だ。
私はその場にいた全員を、森の中のアジト、小屋の地上部分へ転移させる。
「なっ!?」「これは…!」「やはり転移なのか!?」「はぁ、神よ…!」「俺は今英雄様を目にしている…!」
こちらも様々だ。
そのせいで下にいた盗賊の残りたちがうるさくなってきた。
どうやら10人ほどいる。
今回の仕事はあくまで盗品の整理なので、こいつらに用事はない。
出番は少なめでお願いしよう。
「じゃあ皆さんは、ここにある荷物を整理しといてくれますか?」
「リ、リン様! 下から気配が………」
「それなら私が片付けてくるから大丈夫よ」
「は、はぁ…」
その時、地下へとつながる扉が開いた。
「だっ、誰だ!?」
「侵入者か!?」
「お前ら! 早く来い!」
早々にご退場頂こう。
あ、待てよ?
ちょうどいい訓練だ。
「よし! 戦闘訓練を始めましょう! 全員後ろに下がり、衝撃に備えて受け身をとってください!」
「「「「「…?」」」」」
「早くしないと吹き飛ぶよ〜っ!!」
「ヤバい!」「まずいぞ!」「早く構えろ!」「俺まだ死にたくねぇ…」「リン様の魔法をこの目で見られるのね!」
こちらも様々な感想が出た。
探知魔法を使ってみる。
よし。予想通り、下にいたやつらが全員上がってきた。階段を上り切り、全員が私を半円状に取り囲む。
私が考えることは、建物が壊れないようにすることだ。
魔術学院入学式初日の失態を思い出せ、私。
この世界の壁は思ったより脆いっ!
よし、準備できた。
もうやろう。
─────ゴォォォォッッ!!!
軽く本気の風魔法を放った。
悲鳴を上げる時間すらなく、盗賊の残りカスたちは見るも無惨に吹き飛ばされて壁に激突、地面に突っ伏している。
もちろん、死んではいないよ。
「今の風魔法程度、耐えられないようじゃまだまだだね」
味方には当たらないようにしたが、念のために確認がてら振り向くと、衝撃で地面に倒れているものもいれば、私の魔法に絶句しているもの、なぜか恍惚と私の姿を見ているものまでいた。
異世界も、人間多種多様だよ。
さて、倒れてる残りカスたちはさっさと牢獄へと転移させる。
「終わったから、後はお願いね」
念のため、全体にヒールをかける。
もう最近では、大抵の怪我なら脳筋魔力で治せる。
魔法に慣れたというのもあるかもしれないけどね。
「盗品はたくさんあると思うので、早く整理しないと今日中に帰れませんよ〜!」
「「「「 了解っ! 」」」」
よし。無事に仕事開始だね。
荷物をまとめたら、私の収納魔法で全部運ぶ予定だ。
あくまでこの世界の収納魔法は、収納するものを把握する必要がある。
私が目の前の大量の盗品を収納できないのは、内容が何かわからないからだ。
このシステム、不便だ…。
とは言っても、箱に入ったモノなどは、その内容が把握できれば収納できる。
そのため、今袋や箱に詰められている盗品の中身を調べて、整理してもらっている。
さすがに、ここにある盗品はすべて馬車で運べる量じゃない。
そして私はと言うと、他にやることがある。
記念すべき100話です〜!
内容は、なんの記念にもなってませんがw
これからもお付き合いのほどよろしくお願いしますっ!




