魔法騎士としての一歩
「今日からクロードには、副団長が指揮する隊に入ってもらう」
騎士団の団長室に顔を出したクロードは、そこで団長のグロッグから副団長を紹介された。
「副団長のカイン=レイドロスだ」
団長のすぐ横に立っていた男が挨拶をしてきた。
「クロード=アイリッシュです。お世話になります」
クロードよりも長身で、見下ろしてくる目が鋭い。クロードのことを値踏みするように上から下まで視線が動いていく。
「カインの隊は精鋭ぞろいだ。あとで合流したら確かめてみるといい」
つまり剣を交えてみろということらしい。副団長がまとめる部隊だ。剣の腕もかなりのはずだろう。ここ1年、登城するたびにいろいろな部隊で模擬戦に参加させてもらってきたが、副団長の部隊とは経験がない。どんな相手がいるのか楽しみだ。
「魔法騎士はいますか?」
「1人いるはずだ。クロードが入れば2人になるから、魔法騎士の補充もできてちょうどよかった」
騎士団のほとんどが騎士で占められている。魔法騎士は各隊に1人か2人いればいい。クロードが入って2人になる副団長の部隊は恵まれていると考えていいだろう。
「それから、これは7賢者からクロードに」
グロッグが合図をすると、カインが続き部屋へと入っていき、戻ってくると緑色の布を抱えていた。
渡されたのは魔法騎士としての正装一式だ。7賢者の候補生ということで、普通の魔法騎士の正装より見栄えをよくして、緑を基調とした服に金糸の刺繍が所々にあしらわれている。
「俺のは青の布地に金と銀糸の刺繍がある。クロードが7賢者に正式に決まれば、この正装に銀糸が入ったもっと派手な物になるだろうな。と言っても着る機会はほとんどないと思うぞ」
これは式典で着用するぐらいで、ほとんど袖を通すことのない服のようだった。
「ほとんどが今着ている魔法騎士用の騎士服が主流だ」
緑を基調とした魔法騎士の制服は、騎士団に入った時に支給されたものだ。すぐに魔力暴走を起こしたクロードはほとんど着ることがなかったため、5年ほど経過していても、新品に近い状態だ。体型もほとんど変わっていないので、新調する必要がなかった。
「これで挨拶は終わりだ。あとはカインに任せる」
指示されたカインは頷くと、クロードを伴って部屋を出た。
「私が受け持っているのは第2騎士団第1部隊で、主に王太子殿下の護衛が中心だ。ご結婚されたので時々妃殿下の護衛をすることもある」
両陛下は第1騎士団の第1部隊が担当し、それ以外の第1騎士団は城を護る近衛騎士になる。第2騎士団第1部隊は王太子殿下と妃殿下の担当になる。他にも王子や姫もいるが第2騎士団の他の部隊が担当しているという。それ以外に第3騎士団が存在し、そこに所属する騎士隊は王都全体の警備が管轄になっていた。クロードは王族を護る部隊に所属となる。
随分と重要な場所に配属されたと思うが、7賢者候補生という肩書と彼の力が認められているのだと思えばやりがいがある。
説明を受けながら連れてこられたのはカインがまとめる騎士隊が演習をしている場所だった。
「まずは、君の力を見せてもらう必要がある」
カインの部隊で訓練をしたことはない。クロードの噂くらいは耳にしたことはあるだろうが、実際の能力を確かめたいのだろう。
演習場には15人の騎士たちがいた。集まってきた騎士たちにクロードを紹介すると、全員が値踏みするような視線を送ってきた。実力がなくてはやっていけない部隊だろう。
「よろしくお願いします」
挨拶をしながら、まずはこの部隊で自分の居場所を確保することが最初にやらなければならないことだろう。
内心気合を入れ直していた。




