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魔封石使いと破壊騎士  作者: ハナショウブ
余談その3
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余談6

「帰ってきてから、なんだか雰囲気が変わりましたね」

テーブルに置かれた紅茶を飲んでいると、窓の外を眺めながらシャイヤが言った。

「ん?」

ログは首を傾げてから、彼女の視線を追った。外には庭が広がっていて、その中央にクロードとティアナが魔封石を見ながら何やら話し込んでいた。

「どちらの話だい?」

「2人共ですよ」

ログの質問にシャイヤが振り返って呆れたように言ってきた。

「まさか、気づいてなかったんですか」

「・・・・・」

ログの反応に彼女が盛大にため息をついた。そこまで呆れることはないだろう、と思ったが、実際クロードとティアナの雰囲気が変わったかと聞かれても、そこまで変わっていないような気がしていた。

「ちなみに、どう変わったのかな」

「2人とも雰囲気が柔らかくなりました。特にクロードがティアナさんを見る目が優しいですね」

説明を受けても、ログはぴんとこなかった。

2人が初めて会ったときは、クロードがティアナを拒否するように冷たくしていたが、魔封石を作ることを決めてから、2人の間にわだかまりがなくなっていた。それくらいはログにもわかった。

今回城に召集されて戻ってきてから、2人の雰囲気がまた変わったらしいが、そこは気づけないでいた。

「確かめたわけじゃありませんが、あの2人お互いに自分の気持ちに気づいたのかもしれないですね」

「おや、シャイヤは2人が惹かれ合っていたのを知っていたように聞こえるが」

「確認はしていませんよ。でもそうだろうなとは思っていました」

ログは全く気付いていなかったが、シャイヤは2人をよく見ていたようだ。もしかすると、女性の方がこういう機微には敏感なのかもしれない。

「こういうことは確認したほうがいいのかね」

「そっとしておくべきですよ。2人が話したくなるまで待つ方がいいと思います」

2人の雰囲気に気が付いたシャイヤが言うのであれば、そうするべきなのだろう。今は気づかないまま見守っていてあげるのが一番だ。

「クロードも7賢者の候補生になったことだし、これから環境が変わっていくだろうね」

7賢者の候補生として、クロード=アイリッシュも魔法騎士として選ばれた。城に招集された理由をログは聞かされていない。何か特別な事情があったようなので、こちらから聞くような真似はしなかった。

その代わり、クロードから候補生に選ばれたという報告は受けた。

それと同時に1通の手紙がログに渡された。相手は騎士団長を務めるグロッグ=ダイナからで、クロードの教養の勉強をログに任せたいという内容だった。魔法騎士としての力は認められたものの、平民出身のクロードが7賢者としてやっていくには、教養が必要になってくる。特に7賢者の中で騎士という役職は社交界に顔を出すことが多い。そこでマナーやダンスを習得していないと恥をかくのは本人だけではなく、7賢者全員になってしまう。それを防ぐために、フォーンに滞在している間は、クロードのマナー教師としてログが選ばれた。

「リベルトから教わったことは、その場しのぎの付け焼刃だったからなぁ」

一度パーティに参加することになったクロードのために、息子のリベルトがスパルタでマナーを叩き込んでいた。その時はそれでよかったが、これからの将来を考えるとしっかり学ばせる必要があるだろう。

幸い、ダンスに関しては相手役をティアナがしてくれることになった。女性パートはさすがにログでもできない。

2人の関係が良い方向に変わってくれたのなら、ログは喜びながらもそっと見守っていくのが一番だ。

「そのうち、いい報告が聞けるといいね」

庭で何かを話し合っている2人を眺めながら、ログは静かに紅茶を口にした。


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