告白
「・・・君が好きだ」
「え・・・」
聞き間違いだろうかと思った。まだ頭がはっきりしていなくて、何か別の言葉を告白に聞こえただけかもしれない。もしくはまだ夢の中なのだろうか。
「倒れたのを見た時、君を失うかもしれないと思ったら、怖かった」
クロードの言葉がまだ続いている間に、ティアナはもう一度言われた内容を反芻した。
好きだと言われた。クロードが自分のことを。
そう理解すると、一気に頬が熱くなるのを感じた。
気づいてはいけない感情だと思っていた。心の奥底に仕舞い込んでおいた方がいいと思った。
自分が見ないふりをしていた気持ちを、クロードも自分に向けて持っていたことに驚く。
返事をしなければと思ったが、どういえばいいのか混乱して言葉が出てこない。そのまま固まっていると、動かなくなったティアナにクロードは顔を覗き込んできた。顔が近かったが、それに対する動揺よりも、告白された事実で頭がいっぱいだった。
「ティアナ?」
クロードの静かな声に視線を上げて初めて顔の近さを理解した。
「あ、あの・・・」
何か言わなければと思うのだが、肝心な言葉が出てこない。それを戸惑っていると勘違いしたようで、クロードは苦笑すると体を離した。
「すまない。今のは忘れてくれていいから」
どこか寂しそうな表情でそう言うと、ベッドから落ちそうなティアナの体をもとに戻してくれた。
「今は休んでくれ」
そう言って離れようとする彼に、ティアナは咄嗟に手を伸ばして腕を掴んだ。ここで部屋を出て行かれては勘違いされたままになってしまう。自分の気持ちさえ伝えられないままになる。
「待って、私」
焦ると言葉が出てこなくなる。深呼吸を2度してから、ティアナは心を落ち着かせてゆっくりとクロードを見上げた。
「私も、あなたが好き」
顔だけじゃなく体まで熱が一気に上がったような気がした。今まで言うつもりはなかった。言っても困らせるだけだと思っていた。魔法騎士と魔封石士という関係以上になれるとは思っていなかったから。
だが、クロードが同じ気持ちでいてくれたのなら、自分もそれに応えなければいけない。今告白しないと後悔するだろう。
「好きよ」
もう一度告げると、立ち上がっていたクロードが床に片膝をついて目線を合わせてきた。
「身分違いだと思わないのか」
「私はそんなこと気にしてないわ」
騎士爵は持っていても、彼は平民出身だ。ずっとそのことを気にしていたのだろう。首を振ると、伸ばされて手が頬に触れる。それに縋るように手を重ねると、ふとクロードが優しく笑った。
それにつられてティアナも微笑むと、クロードが顔を近づけてきた。手が頬に触れたまま、その温もりを感じながら目を閉じる。
そっと優しく唇に触れる感触。すぐに離れたかと思うと、もう一度触れてきた。
優しいキスに、ティアナはそのまま意識を手放したのだった。




