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魔封石使いと破壊騎士  作者: ハナショウブ
結界石作り
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結界石の違和感

呼び出されて4日目。

2日間図書館で調べものをしたティアナは、この日は朝から壊れた結界石の前にいた。

「何か気になることでもあった?」

案内をしてくれたリーンが後ろから声をかけてくる。

「全部ではないですけど、ある程度の魔方陣はわかりました。今日からは、魔方陣を組み上げるための順番を調べておきたいと思ったんです」

図書館の談話室に2日間引きこもった結果、結界石の中に描かれている魔方陣の半数以上が見つかった。やはり古い本を借りられたことが良かった。解放されている場所の本では見つからなくても、禁止区域の本から魔方陣が見つかっていた。それらを紙に書きだしてディランと共有しながら、魔方陣の組み合わせなども話していった。

はっきり言ってディランは優秀だった。書き出された魔方陣から発揮される力を予想し、組み合わせていた魔方陣もちゃんと覚えていたので、ティアナとの話し合いは実にスムーズに行われた。最初のわだかまりなどどこに行ったのか、2人の話し合いはどんどん白熱していき、一緒に調べものをしてくれていたエルヴィンが途中で止めてくれないと、図書館の閉館時間まで語らいそうな勢いになってしまった。相手もティアナの魔封石に対する情熱と知識量を理解してくれたようで、談話室が真剣な空気に包まれていた。

「ティアナは新しい結界石を作る方向でいくことにしたんだね」

「修理より、新しい物を作る方が向いていると思ったからです」

依頼内容には結界石の修理、または結界石そのものを新しく作り直すかして歪んだ結界を元に戻してほしいということだった。ティアナは目の前にある結界石と同じものが作れないかと考えて、魔方陣を調べていた。

一方のディランは修復を得意としているらしく、今ある壊れた結界石をそのままに、それを補助できる魔封石を作って結界の歪みを治す方法を考えていた。修復と言っても、壊れた魔封石を元の状態に戻すことはできない。砕けた石や、壊れた魔方陣を治すことはできないが、それらを補助して、今までと同じように力を発揮させるための魔封石を作ることはできる。だが、そのためには壊れた魔封石のことを理解していないと駄目だ。そのためディランも結界石のことを調べていた。

2人とも最終目標は一緒だが、途中経過の道のりは全く違う。作るべき魔封石が違うのだ。

ディランは今日も調べものをするために図書館にいるはず。

ティアナはリーンに頼んで結界石をもう一度見せてもらうことにした。

「調べ終ったら、実際に試作品を作ろうと思っています。材料は用意してもらえたんですよね」

「それは大丈夫。作業部屋も用意したから、邪魔されずに1人でできるよ」

魔石はリーンの方で魔術師団が管理し所有している物から選んでくれている。まだ試作段階なので、結界石ほど大きな石を使わず、小さな石の中に魔方陣を描いてその効力を確かめるつもりでいた。

「まだまだ時間がかかりそうだね」

「結界石がこれ以上壊れる前に作りたいと思っていますが、どこまで仕上げられるかわからないですからね」

今のところ結界石は最初に見せてもらったときと変わらない。中にある魔方陣への影響も最小限と思っていいだろう。ただ、いつひびが大きくなったり、魔方陣が壊れてしまうのか予想がつかない。

「もっと詳しい資料が残っていればよかったんだけど」

リーンも結界の歪みを見抜いてから魔封石のことを調べてみたそうだ。だが、魔封石のこともそうだが、魔封石士のことがほとんど記録されていないことに困惑したらしい。

「まるで意図的に魔封石士のことが記載されていないように思えるほどだね」

簡単な内容で存在だけが書かれていることが多く、魔封石士自身の詳しい内容を見つけられなかった。

あまりにも記述がないことから、リーンもティアナと同じように意図的に隠されているような気がしていた。

「それさえも確かめる方法がありませんし、今は残された資料で魔封石を作るしかないですよ」

ため息をつきつつも、ティアナは前向きに魔封石を作ることを考えていた。魔封石の中に描かれた魔方陣の中には、ティアナが知らない魔方陣も含まれている。それがどんな効果をもたらすのか、実際に作って試そうとも思っていたのだ。新たな発見が出てくるだろうし、楽しみに思っている部分もある。それを正直に言ってしまうと、国の一大事を抱えているリーンは複雑な心境になるだろう。そのことは内緒にして、結界石と向き合った。

両手で魔封石を包み込むようにかざす。目を閉じて中に描かれた魔方陣を視ていく。

1つ1つは単純な魔方陣が多い。それが重なり合い、組み合わさって魔法が連動し、別の効果を生み出せるようになっている。

描かれている魔方陣は全部で10個。それは初日に確認しているし、各魔方陣の形は頭に入っていた。だが、それ以外にティアナは魔方陣を眺めながら違和感があった。その違和感は初日にも感じていたのだが、今もそれがなんであるのか掴めていない。それに、図書館で調べた限りでは、描かれている魔方陣の1つ1つが結界を生み出すようなものではないことにも気が付いていた。ディランともそのことについて話をしたのだが、組み合わさることで結界を作るための魔法が成立している可能性を上げただけで終わってしまった。

さらに魔力を流し込んで、魔方陣の魔力の流れを読んでみる。魔方陣にも魔法を発動させるために一定の魔力の流れが存在する。普通の魔法だと、魔術師が自在に魔力を操作して好きなように魔法を操ることが可能だが、魔封石の場合、描かれた魔方陣が一定の魔法を生み出す構造になっている。そのため、発動される魔法には規則性が生まれ、魔方陣の魔力の流れから、ある程度ではあるが、どんな魔法を発動させられるのか調べることが可能だ。これは魔力操作に長けた人間でないとできない。

魔力を流すのをやめて目を開ける。

「どうだい?」

後ろで様子を伺っていたリーンが声をかけてくる。

「とりあえず、再現できるところを再現してみます」

違和感の正体がわからないままだが、ティアナは今視た魔方陣を再現して、結界石を作ってみることにした。だが、それで結界石が完成するとは思えなかった。


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