フロース家にて
フロース家に到着したティアナは家族に盛大に迎えられた。
襲撃を受けたことを聞いていた家族はティアナの姿を確認するまで心配していたようだ。抱き着いてくる母親を宥め、おろおろする兄に笑いかけて、冷静な態度を取っているようで視線が落ち着いていない父親に帰ってきたことを報告すると、やっと部屋で休憩させてもらえた。
一緒についてきたキースが、細かい報告を家族にしてくれることになったので、ティアナは先に休ませてもらうことになった。この3日間はずっと部屋に閉じこもって魔封石を作り続けていた。
石が完成すると、休む暇もなく移動の準備が進められ、ティアナはキースと一緒に一足先に王城に向けて、フォーンと王都を結ぶ定期便に乗り込んでいた。
森を抜け、町で馬車を待っている間に敵に見つからないように、気配を消す魔封石を2人とも持っていた。エリクスから頼まれた魔封石の1つだ。相手に見つからないようにこっそり町を抜け出すために作るように言われた。
馬車に乗り込んでしまえば外から見えないので気配を消す必要はなくなる。あとは顔を隠せる大きめのフードを被って、王都まで向かえばいい。
王都につくと再び魔封石を使って気配を消しながらフロース家までやって来た。
屋敷についてしまえば、後はクロードとエリクスが襲撃犯を捕まえたという報告が来るのを待つだけとなる。
あの2人ならきっと大丈夫。そう思ってはいるが、心配していないわけではない。
せっかく先に休ませてもらったが、気持ちはフォーンに向いていた。フロース家の馬車は朝早くにフォーンに向かい、ティアナたちが乗ってきた馬車とはどこかですれ違っていた可能性はある。昼を過ぎて到着したが、向こうの馬車も今頃クロード達を乗せてこちらに向かっていることだろう。もしかすると、もうすでに襲撃を受けている可能性もある。
「どうか、無事で」
強化した魔封石を渡して、何度も魔力操作を確かめ、魔封石もクロードの魔力に耐えられていた。彼の魔力制御能力は日々成長している。前のような暴走をさせる可能性は低くなってきていると考えていいだろう。
念のため、エリクスには魔力封じの黒の魔封石を渡しておいた。使う可能性は低いがもしもの時を考えての選択だ。
「信じて待つしかないのよね」
窓の外を見れば、今日は清々しいほどの快晴で、出かけるにはもってこいの日になるだろう。しかし、ティアナは待つしかない。
2人を信じて静かにここで待ちながら、この後に訪れる作戦の準備をしなければならない。
襲撃犯を捕まえることだけが今回の目的ではない。ティアナの縁談をぶち壊すのが最終目標なのだ。
今回の作戦はまだ始まったばかりだ。自分が一番しっかりしなければいけない。
「よし」
気合を入れ直したティアナは、その日の夕方訪れたクロードから襲撃犯を捕まえたことを報告されるまで、心を落ち着かせるために自分の部屋で魔封石関連の本を読み漁っていたのだった。




