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魔封石使いと破壊騎士  作者: ハナショウブ
いざ、王城へ
19/122

リベルト=フォームトン

馬車が止まったのを確認して扉を開けると、大きな門とその先に広がる庭が目に入った。

ティアナの屋敷も大きいと思ったが、ここも同じくらい広そうだ。

1人で降りて、御者に礼を言うと、馬車はもと来た道を戻っていった。フロース家の馬車で送ってもらったので、フロース家の屋敷に戻っていくのだろう。

馬車が戻っていくのを見届けてから解放されている門をくぐる。

それと同時に屋敷の扉が開き、中から執事が1人出てきた。

「クロード=アイリッシュです。リベルト=フォームトンに会いたいのですが」

「お待ちしておりました。旦那様は中でお待ちです」

この屋敷に来たことはなかったので、使用人の顔と名前は知らない。屋敷の主であるリベルトは隣町のフォーンに年に1度父親のログに会いに来るので彼だけはわかる。

「こちらになります」

通されたのは応接室のようだった。広い部屋に1人、ソファに座ってくつろいでいる男がいた。

「久しぶりだな」

「1年ぶりになります」

ソファに座っている男が、この屋敷の主でありログの息子のリベルトだった。去年の今頃フォーンに来ていたが、今年は今回のパーティーの準備で来られないでいた。約1年ぶりの再会だ。

「元気そうだな」

「おかげさまで」

「父も元気にしているかな」

「ええ、相変わらずです」

「それはなによりだ」

ログと同じように穏やかに話す姿は、やはり親子だと思える。ログは緑の瞳に白髪になってしまったが、若い頃はリベルトと同じ茶髪であったらしい。同じ緑の瞳でソファに座るように促してきた。

「フロース嬢は?」

「先に屋敷で降りました。会うのはパーティー当日になると思います」

そう言ってクロードは手紙を2通取り出した。

「1通はログから。もう1通はティアナ=フロースからです」

クロードが王都に行くことになって、ログから手紙を渡されていた。今回のことの内容というより、親子の何気ないやり取りを書いた手紙だ。もう1通は、ティアナから今回の騒動に巻き込んだ謝辞と、協力してくれることへの感謝の手紙になっていた。

渡された手紙を2通とも目を通す。

「3日後のパーティーに参加する理由は、大まかに聞いている。だが、詳しい内容は聞いていないから、夕食後にでも聞かせてもらおうか」

協力するからには内容を把握しておきたいのだろう。ティアナからも許可は出ていたので話すことはできるが、襲撃を受けたことだけは話さないように言われていた。余計なことを話してリベルトまで危険に巻き込むわけにはいかないというティアナとログの判断だった。

「わかりました」

クロードが了承すると、リベルト頷いた。

「それから、父宛ての手紙に書いておいたが、城に行くからには最低限のマナーを覚えてもらうよ」

それにはクロードは顔が引きつるのを感じた。騎士として、伯爵令嬢であるティアナをエスコートすることになった。護衛というのが一番の理由だが、第1王子の元婚約者でもあるティアナが恥をかくことがないように、最低限のマナーは身に着けていく必要があるのだ。

庶民出身の上に、騎士として採用されて数日で王城を出てしまったクロードにとって、貴族のマナーの知識などほとんどない。ログの所に預けられることになってからも、騎士としての鍛錬はしてきたが、貴族社会での知識は教わらなかった。そのため、ここに来る前にログから貴族の振舞い方を教えられてきたが、数日で身につくものでもない。それでも、リベルトはパーティーに行くまでの残り僅かな時間をクロードの教育にあてるつもりでいるようだった。

「お、お願いします」

若干頬が引きつっていたように思うが、クロードは何とか冷静な顔で答えた。リベルトもそれはわかっていただろうが、何も言わずに頷くだけだった。

それからパーティー当日の夕方まで、リベルトのよる貴族マナー講習はスパルタで行われることとなった。


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