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魔封石使いと破壊騎士  作者: ハナショウブ
新しい魔封石
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光球の練習

新しい魔封石での魔力安定の訓練を数日続けただけで、クロードの魔力の安定力が良くなっていくのは目に見えてわかった。今まで不安定なままにしていたせいなのか、コツが掴めるとコントロールも安定的になってきた。ティアナが離れていても問題ない。

「もう次の魔封石に切り替えても良さそうね」

訓練以外ではまだ黒の魔封石を持ち歩いているが、この調子なら今の魔封石でも私生活に支障がないだろう。

「新しい魔封石、できているのか?」

庭で魔力のコントロールをしながらクロードが尋ねてくる。ほかに意識が向いても魔力にぶれがない。本当に驚かされる適応力だ。

「昨日完成したところなの。今度は光属性の魔封石よ」

そう言って新しい魔封石を見せると、魔力を静かに収めたクロードがじっと魔封石を見つめる。

「これからは魔法を使った訓練に切り替えるわ」

「魔法を使うのか?」

「これができないと魔法騎士とは言えないわよ」

魔力を安定させるだけでは意味がない。そこから思った通りの魔法を使えるようにならなければ、目指している魔法騎士にはまだなれない。今は魔力を持った騎士でしかないのだ。

今まで使っていた魔封石を受け取って、新しい魔封石を渡すと、クロードはしばらく石を眺めるだけで動こうとしなかった。魔力は安定したが、魔法を使うことには不安があるのだろう。

「まずは光球を出してみましょう」

いきなり攻撃性のある魔法は危険なので、安全性の高い魔法から訓練をすることにした。

魔封石でも光を放つ物はあるが、魔封石自体が光る物だ。それに比べると魔法での光の球は自由に思った場所に移動可能になる。高い低いに限らず、魔力調整で光度も変えられる。まずはここから始めることにした。

「まずはお手本ね」

そう言ってティアナは右手を差し出した。手のひらを上にして意識を集中させる。

「光よ」

呟きと同時に手のひらに小さな光の球が現れる。軽く手を振ると光の球はふわふわと彼女の頭の上を漂い始めた。

「これをやってみて」

同じものをやってもらおうとクロードを見ると、彼はなぜか感心した顔をしてこちらを見ていた。

「魔法、使えるんだな」

「当たり前でしょう。魔封石士は魔術師より魔力が劣るだけで、魔力操作が得意な魔術師と言ってもいいくらいなのよ」

何をいまさらと思ったが、よく考えてみれば、この町に来てからティアナが魔法を使っている姿を見せたことは一度もない。襲撃を受けた時も、魔封石で対応しただけだ。それが魔封石士の戦い方なのだ。

「やってみて」

促すとクロードは緊張した面持ちで頷いて魔法石を握りしめた。

手のひらを上にして右手を差し出す。意識を集中させるためにじっと手のひらを見ながら呟いた。

「光よ」

すると、彼の手のひらより大きな光がいきなり現れた。

「わっ!」

「大丈夫」

すかさずティアナが光球に手をかざした。すると大きな光が少しずつ小さくなっていき、ティアナが放った光球と同じ大きさになった。

「まだ、魔法のコントロールができてないわ。これから少しずつ慣らしていきましょう」

魔力は安定的になったが、今度は魔法自体が不安定だ。一度も魔法を自分の意思通りに動かせたことのないクロードには、すべてが初めてのことなのだ。

「手を振ってみて」

言われたとおりにクロードが手を振る。すると手のひらから離れた光球はふわりと宙を舞ったかと思うと、そのまま地面に落ちて消えてしまった。

「これは・・・」

ティアナはその光景を見て静かに呟いてしまった。

「時間がかかるかも」

手のひらから離れた瞬間、光球が完全にクロードの魔力と切り離されたのが分かった。魔力を失った球は地面に落ちて消えてしまう。当然の結末だが、魔法を使う上では困ったことになる。

魔法は自分の思った通りに魔法を外に放出する能力だ。体から離れてもその力が維持されなければ、攻撃するにしても身を守るにしても必要なことだ。だが、クロードはまだそこまでできていない。今の状況を見る限り、まともに魔法を放つには時間がかかりそうだ。

「とりあえず、謝っておく」

「気にしないで。何年もまともに魔法を使ってこなかったんだから、これは仕方のないことよ。たぶん」

こんな光景は今まで見たことがなかったので、ティアナも少し戸惑った。幼いころに魔法診断を受けて、魔法の訓練を受けるようになった頃を思い出す。もともと魔力操作が得意なティアナは、魔法を覚えた時から魔法操作は長けていた。周りにもクロードほどの不安定な魔力の持ち主もいなかったので、魔法が離れると失敗する人を見たこともないし、教えたこともない。

「明日からは光球の訓練ね」

まずは小さな魔法をしっかり扱えるようになるところから始めることになった。予想外の展開に、この調子で1ヶ月を切ったパーティーに間に合うのか、少し不安になるティアナだった。

それを察したのか、クロードも申し訳なさそうな、不安そうな、複雑な表情で頷くしかなかった。


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