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魔封石使いと破壊騎士  作者: ハナショウブ
新しい魔封石
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占い師の手紙

クロードの光魔法を使えるようになる特訓が始まって数日。ティアナのもとに2通の手紙が届いた。

1通はエリクスからのもので、彼に任せていた調査の結果が書かれていた。ティアナを襲った二人組の男たちの背後関係を調べていたエリクスは、誰の命令で男たちが動いているのか突き止められたようだった。

相手がわかれば、相手が何を考えてティアナと接触しようとしたのか、おおよその見当もつくというものだ。こちらも動きやすくなる。

もう1通はティアナの兄からで、パーティーに向けての準備が整ったことを知らせる手紙だった。これでいつでも屋敷に戻って当日を迎えられる。

問題は、クロードの光魔法の具合が予想より遅れていることだ。数日経っても、彼の手から光球が離れることができずにいる。手を離れて空中に浮かべようとすると魔力が失われて消えてしまうのだ。いろいろコツを教えているのだが、どうしてもうまくいかない。魔力自体は安定的になってきているが、自在に操作させることができないでいる。

「このままだと、ただの騎士として行くしかないわね」

ティアナの王都帰省はクロードも護衛としてついていくことになっている。ログの提案でそのままパーティーにも参加させることになっていた。王城所属の騎士なのだからティアナのパートナーとして参加しても問題はない。ただ、まだティアナが狙われている可能性が高いため、魔術師との戦闘に備えて彼にも魔法を使えるようになってほしかった。それがきっかけだけに、魔法に関して進展しないのは残念な状況だ。

王都には少なくとも2日前には戻っていたい。それを考えると、ここでの魔法訓練の日数も限られてくる。

夕食後に自分の部屋に戻ったティアナは、机の上に3つ目の魔石と、魔封石を作るための道具を広げながら考えていた。クロードの光魔法が進展しないと、3つ目の魔封石を作ることもできない。作ったとしても使い道が今のところない。

とりあえずすべて用意してみたものの、まったく新しい石を作る意欲がわかず、途方に暮れるような形で広げられているだけだ。魔方陣を考えるための紙とペンもそのままだ。

「そもそも、どうして離れちゃうと魔力がなくなるのか、そこから考えないと駄目よね」

クロード本人に聞いてみても、魔法初心者の彼には見当もつかないようだった。

「なにか突破口があればなぁ」

1人うなっていると、扉をノックする音が聞こえた。

返事をすると、シャイヤが封筒を持って入ってきた。

「ティアナさん宛てに、お手紙が届いています」

「ありがとう」

受け取ると、白い封筒にバラの絵が描かれた封筒だった。

「これは・・・」

シャイヤが部屋から出ると、椅子に座りなおして封筒を見つめる。

赤いバラに棘のある蔦が伸びた絵柄。これには見覚えがあった。

『バラは棘のある植物なのよ。私にちょうどいいと思わない?』

そう言っていつも棘のあるバラをモチーフにしたネックレスを身に着けていた女性がいた。黒に近い赤毛を腰まで伸ばし、赤い瞳で誇らしげに語っていた彼女は、ティアナが妃教育を受けていた時に、城で出会った7賢者の1人だ。

占い師、エミリア=ハーディス。

人には見えないものを視たり、占いで先を見通したり、剣や魔法は使えなくても、その不思議な力で王家を導いていく能力を買われた人物。今年で36歳になったはずだが、見た目がティアナとほとんど変わらない。

そんな彼女から手紙が届いたことに驚きつつ中を確認する。

『新しい生活には慣れたかしら?魔封石士としてのあなたはきっと楽しい日々を送れているでしょうね』

手紙の冒頭はそう書かれていた。

『私の占いにあなたが悩んでいると出たの。何か困っているようね』

王都を出てから連絡など一度もしていないし、エリクスから話が伝わっていても、今のティアナの悩みはまだエリクスには伝えていなかった。それなのに彼女はすべてを見透かしているように書いている。

彼女が7賢者に選ばれた大きな理由でもある。

『そこで私からアドバイスよ。王道の考えに乗ってはだめよ。例外なんてたくさんあるんだから。あなたらしく、飛びぬけた発想の転換を期待しているわ』

手紙はそこで終わっていた。

「発想の転換・・・」

王道の考えでは駄目だと書いてあった。その王道とは何を示しているのだろう。

「魔法の王道?今の悩みは、クロードの光球が手から離れられないことだけど・・・離れる必要がない?」

魔術師が魔法を使うときは、想像した魔法を自分の意思で自在に操れることだ。それをしなければ魔法としての意味がない。だが、発想を変えなければいけないとエミリアが助言している。彼女は占い師だ。手紙まで書いて寄こしたのには意味がある。

「もっと、考えを変えなきゃ」

そう呟きながら、ティアナの光魔法の発想は深夜まで続くことになった。


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