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魔封石使いと破壊騎士  作者: ハナショウブ
魔石調査
101/122

一緒のベッド

明日の朝から魔石が発見された場所に行くことになっていたので、夕食を済ませたティアナたちはすぐに休むことにした。クロードから、ティアナが別の場所で寝ることが決まったことを伝え、カインとエリクスもクロードの母親の家ならばと了承してくれた。

再びお邪魔することになったティアナは、クロードに母親の家まで送ってもらう。それほど離れた場所ではなかったが、護衛として来ている以上、夜道を1人で歩かせるわけにもいかなかった。

何度も往復させていることに申し訳なさを感じながら家に行くと、エリーは笑顔で迎え入れてくれた。

「お世話になります」

「そんなに気にしないで。私が使っている部屋になってしまうけど、遠慮なく使ってちょうだい」

彼女が普段使用している寝室を勧められ、部屋に入って眠るための準備をしていると、リビングが騒がしいことに気が付いた。

「・・・一緒に・・・・」

「寝る場所が・・・」

どうしたのだろうと思いながらも、剣かをしているほどの言い争いにも聞こえなかったので、とりあえずベッドに入ってしまおうと考えていると、突然部屋の扉が開かれてエリーに押し込まれるようにしてクロードが入ってきた。

「それじゃ2人仲良くね」

クロードを残して部屋の扉が閉まる。

何事かと驚いている間に、押し込まれたクロードと目が合った。

「ど、どうしたの?」

「いや、それが・・・」

気まずそうにクロードが視線を彷徨わせる。

「護衛なら、ティアナを1人残して帰るのは良くないと言われて」

「うん」

彼の言葉に頷いて先を促す。しばらく視線を彷徨わせてから、クロードが意を決したように言ってきた。

「一緒に泊まっていけと言われた」

「・・・泊まるって、ここに?」

部屋の中に男女が2人。ベッドは1つ。そこから導き出した答えに顔が一気に熱を持ったのがわかった。

「な、なんで、どうして。私たちのこと、知って・・・」

「落ち着け」

2人の関係は話していない。先にクロードが手紙で伝えていた可能性もあるが、紹介された時のエリーの反応は何も知らないようだった。混乱して慌てるティアナに、クロードは深呼吸するように促してきた。ベッドに座るように言われて腰掛けると、その隣に彼も座る。

「俺は何も話していない。だけど、母親の勘だとか言って気が付いていたらしい」

「そうなの」

その事実に驚くしかない。

そこから会話が途切れてしまった。エリーに知られた恥ずかしさもあるが、このままさぁ寝ようということには当然なれなかった。

どうしようか考えていると、クロードの手がそっとティアナの手に触れてきた。

彼を見れば、どういうわけか別の方向を見ていて視線が合わない。

「クロード?」

「最近、ティアナが側にいる時間がなかったと思って」

触れている手にわずかに力がこもった。

王都に戻ってきて、城で働くようになるとティアナは魔術師団へ行き、クロードは騎士団で仕事をしている。建物自体も違うため、当然のように顔を合わせる機会がほとんどなくなった。

フォーンにいた頃は毎日顔を合わせていたし、何日も一緒にいられない日などなかった。

空いていた手で彼の手に触れると、やっとクロードがこちらを振り返った。

「こうやって触れるのも久しぶりなのね」

新しい仕事を与えられて毎日が過ぎていく。クロードがいないことを寂しいと思う時間がなかったことに気が付くと、少しだけ罪悪感が芽生えてしまった。

「明日から魔石調査だし、今日はもう寝ましょう」

そう言って彼の頬にキスをした。ちょっとした罪滅ぼしの意味も込めていたが、顔を離すと驚いている彼と目が合った。

「おやすみなさい」

悪戯が成功した子供の気分でベッドに潜り込んだ。あとから恥ずかしさも湧き上がってきたので毛布を頭まで被って顔を隠した。

「俺は、試されているのか?」

毛布を被っていたため彼の呟きを聴き取ることはできなかった。

2人で寝るためできる限りベッドの端によって目をつぶると、ベッドが軋むのを感じた。諦めてクロードの横になったのだろうと背中越しに考えていたティアナだったが、次の瞬間体を包み込まれる感覚に驚いて固まってしまった。

「クロード」

我に返ってから体の向きを変えると、途端に彼の手がティアナの体を強く抱きしめた。すぐ目の前にクロードのすました顔がある。

驚きもあったが、物理的にも身動きが取れなくなってしまう。どうしたらいいのか悩んでいると、じっとこちらを見ていたクロードがふわりと笑った。

「おやすみ」

そう言って目をつぶるクロードは、しばらくすると規則正しい寝息を立て始めた。

安定した呼吸音に、次第に悔しさが込み上げてくる。

確実にこちらの反応を見て楽しんでいた。これはもしやキスの仕返しだろうか。

このまま眠るには悔しいなと思って、彼の胸に抱きつくようにして顔を埋めてみたが、安定した心音と少し高い体温に包まれると、ティアナは次第に眠りに落ちていった。


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