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ロスト  作者: 林 晄史
始まり

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8/25

告白

 初めて会った場所にリンはいた。

静かにベンチに腰掛け、まっすぐに正面を向いている。


 桜の花びらが舞い、雨でも降ったのか、湿った土の匂いと空には美しい月が輝いている。

時折、雲で隠れて辺りが少しかげる。


 その度に金髪が美しく煌めく。


 コウは静かに力強く一歩一歩確かめるように歩いていった。

距離が近付くにつれ、甘い匂いがする。優しく落ち着く香り。


 リンの視線は正面のままだ。

その前に立ち、しっかりとリンを視界におさめた。


「リン、ごめんなさい」


「許しません」


 はっきりと拒否するその瞳は輝いていて、ものすごく怒っていると分かった。

コウは申し訳なさと嬉しさが入り混じって、じわりと涙がわいてきた。


「リンに会いたかった! リンの全てが好きだ。リンが必要なんだ!!」


 青い瞳の輝きがどんどん増して、目の端からきらきらと溢れていった。


「私はお姉さんだ」


「いや……だったかい?」


「嬉しい」


 コウはリンをお姫様抱っこした。

月を見る目が近い。心臓の音が大きく聞こえる。


 全身が熱い。


「俺の心に添い遂げてくれるんだろ?」


「そうだった」


 月が輝きを強めた。

リンが美しく輝いている。


 微笑む瞳は吸い寄せられそうな深みを見せ、たまらずコウはキスをした。


「記憶が戻り、ここにいた経緯も分かった。聞いてくれるかい?」


「もちろん。新居行こ」


 そのままゆるゆる歩いていく。


 ほほをなでる度に嬉しそうに微笑むリン。

時折、つっつき返してくる。


 そういえばかなり可愛いのだった。

ほほつつかれたことを思い出した。


「リン、この先も心配をかけ、時には泣かせることもあると思う。だが約束する。決して1人にはしない」


「分かった」


 柔らかに微笑む。

コウは心がほぐれて解けて、はにゅはにゅしてしまう。


 このゆるやかさが愛おしく大切なのだ。


 新居が見えてきた。

小高い丘の上にあり、庭に桜が一本植えてあった。


 木製の西洋家屋。でかい犬でもいそうな感じだ。


 空からシンが降ってきた。

地面を貫き土煙を上げる。


「おかえり」


「ただいま。シン、待たせたな。やろうか」


 にこやかに見上げるシンに笑顔でコウは告げた。


「記憶が戻ったんだなーっ! よかったよかった!!」


 シンはむじゃきに笑う。


 さて、こいつとも決着をつけなくっちゃな。

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