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落下

(教員である父が生徒から聞いたという話)



 小学校からの下校中、青いタオルケットが飛んでいたのを最初に見つけたのはS君でした。


 「見ろ」とS君は空を指さして言いました。


 青いタオルケットが宙を舞っていました。そんなに風が強いわけでもないのに、ばたばたとはためいて、何だか踊っているみたいで楽しそうだなと感じました。


「追いかけようぜ」と言い出したのも、リーダーだったS君でした。

 空を舞うタオルケットを走って追いかけて、みんな妙に興奮してすごく楽しかったのを覚えています。


 しばらく追いかけていくと、タオルケットがだんだんと地面に近づいてきました。


 一番足が早かったS君がタオルケットを捕まえようと両手を伸ばしてジャンプしたんですが、掴んだと思ったそのとき、タオルケットが空に再び舞い上がったんです。


 S君はタオルケットをがっしり掴んだまま空に連れていかれました。僕だったらすぐに手を離して落ちていたと思います。運動が得意なS君だから掴んだままでいられたんでしょう。


 すごく高かったんです。電柱よりも高かったと思います。


 そしてS君だけが落ちてきたんです。

 S君の呆然とした表情が今も思い出せます。


 みんな、僕もですが、泣き喚いているうちに、いつのまにか救急車や警察が来ていました。


 僕らはタオルケットの話をしましたが、信じてはもらえませんでした。


 結局、S君は電柱に登って落ちたことになっています。それぐらいしか落ちるようなところがなかったんです。僕らは電柱に登って遊んでいたのをごまかすために嘘をついているんだって思われていたみたいですね。


 僕ら本当に見たんです。S君を殺したのは青いタオルケットなんですよ。

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