顔
(妹の話)
正月、実家に親戚が集まったときの話。
高校生の妹は、父の弟の娘さんである小学生Tちゃんの遊び相手をしていました。
Tちゃんは自宅からお気に入りの青いタオルケットを持参しており、そのタオルケットをまあ君と呼び、友達に見立ててのおままごと遊びをしていました。
妹は聞いてみたそうです。ぬいぐるみの方が顔もあってお友達みたいでかわいらしいのになんでタオルケットが好きなのかと。
Tちゃんは不満そうに「まあ君には顔あるし」と答えました。
どれが顔なのと聞いてみると、Tちゃんは、タオルケットのシワやくぼみを指して、これが目、これが口と説明してくれました。
妹が「ほんとだすごいね」と話を合わせると。Tちゃんはたいそう喜んでいたそうです。
その後、Tちゃんは、親にお風呂に連れていかれました。
置いていったタオルケットを、妹が何気なく拾おうしたとき、ぬるっと妙な感触がして、とっさに手を引っ込めました。
床に無造作に丸まったタオルケットを見ると、しわや窪み、陰影が、大きな、いやらしい笑みを浮かべた男性の顔に顔に見えました。。妹が触れたところはちょうど口でした。浮かんだ顔は声なくにやりと笑ったそうです。
妹が、「きゃあっ」と悲鳴をあげたもので、家族が集まってきました。
「今、顔が」と妹が震える指で差すタオルケットをみんなが見たときは、ただの青いタオルケットにしか見えませんでした。
実家から帰る間際、青いタオルケットを脇に抱えるTちゃんが妹に言ったそうです。
「まあ君に会えたんだね。かわいかったでしょ」




