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伊藤家

誤字報告ありがとうございます。


今後とも宜しくお願いします。

 川田の案内で住宅地を歩く。歩きながら彼女は伊藤のことを話してくれた。


「昴は地頭はいいんですけどね。どうもひねくれ者で」


「そうだよな」


「私に接するようにすれば、物凄くモテるはずなんですけど、嫌われ者を演出しているようで」


 幼馴染みのせいか、川田の伊藤への評価は高い。僕の認識とも概ねあっている。


「先生、ここです」


 ほんの数分。伊藤の家に着く。川田家より三軒隣。ホントのご近所さんだった。

 川田は伊藤の家のチャイムを押す。誰も出てこない。留守のようだ。川田は建物の上の方を見ていた。


「仕方ない。突然だし今日は帰るよ。え、川田どうした?」


 川田はポケットから鍵を出す。伊藤家の合鍵のようだ。


「先生。昴いますよ。私、いつでも入れるように合鍵貰ってますから」


 真面目な川田がイタズラっ子の顔をする。伊藤のことを面白がっているようだ。


「不法侵入で捕まるのは問題なんだけど」


「大丈夫です。私が許可を貰ってます」


 玄関を開け、伊藤家に侵入する。彼の玄関には何処かで見たことがある若い女性のハイヒールがあった。


「伊藤のご両親は?」


「おじさんは海外出張中。おばさんはいるはずだけど。買い物かな?」


 そんな会話をしていると川田はトントン階段を上がって行った。僕はそれにはついて行かす。玄関で待つことにする。


「キャーーーな、何してるのぉぉおー」


川田の悲鳴が聞こえた。僕も階段を駆け上がる。上がったが、何処が伊藤の部屋なのか解らすキョロキョロしていると、伊藤が顔を出して来た。


「や、やあ。斉藤先生。おはようございます」


「おはよう。川田の悲鳴が聞こえたんだか」


「ノックもせずに開けるから、俺のエロコレクション見てびっくりした見たいだな。なぁ、葵」


「う、うん。先生ごめんなさい。私、下に行くから昴も、あとから来てね」


 伊藤は川田が悲鳴をあげるような、エログッツ(グッズ)を使い、気持ち良いことでもしていたか。女の子にはトラウマになるかも。


「伊藤の部屋に入るのは久しぶりだったか?若い男なんてそんなもんだ」


「......」


 慰めたつもりだかなんのフォローにも成らなかった。川田の顔が赤い。言葉も出てこないようだ。しばらく待つと伊藤もこの部屋にやって来た。


「で、先生は何しに来たのかな?」


「今日、川田の進路について家庭訪問したからさ、ついでに寄った。お母さんはいないのか?」


「母親は、友達と旅行に行った。東北三大祭り見るとか」


「そうか、残念。ちなみに伊藤は何かやりたいこと見つかったかな?」


 伊藤と川田が僕の家に泊まりに来た日に散々、『やりたいこと見付けろ』と話していた。


「高校卒業して、フリーターかな?」


 伊藤の答えは変わらない。


「現実的で否定はしない。でもな、フリーターの前に普通に就職ってのもあるぞ。あと一浪して大学もあるからな」


「なあ、みんな、大学行けと言うけど大学に何がある?」


 みんな?複数系。いろんな人に大学行けと言われているのか。


「履歴書に大卒ってかける。川田のように国家資格を取りに行く?」


「俺には必要ないだろ」


「それは本人次第だし。大学でも就職でもフリーターでも相談しろよ」


 大学については少し考えているように聴こえる。大学は行ったほうが選択肢が広がるから行ったほうが良いとは思うが、伊藤の場合、それを説明してもピンとこないだろう。やりたいことを見つかった時なら動くだろう。まだ暫く辛抱して待つとしよう。


「じゃあ、帰ってくれる?」


「もうちょっと。村山先生に進路の相談とかしてるのか?」


「お、おう」


 伊藤の返事に間があった。村山先生には進路相談していないのか?でも、駅前で会ってたよな?花火も一緒だった。うん?あとで村山先生に確認が必要か。


「そうか、なら進路についてはあとで村山先生に聞いてみるよ。じゃ帰るわ。お邪魔しました。川田ありがと」


 伊藤との話し合いは終わる。ま、なんとなくわかっていた結果だった。立ち上がり帰るのことにする。


「川田?」


「先生。私、昴と話あるから、先に帰って下さい」


「わかった。二人とも仲良くな」


 二人に見送られ外にでる。今、伊藤は一人のはず、玄関にある女性ものが気になった。


「伊藤ってお姉さんいるのか?」


「いねえな」


「そっか。お母さんずいぶんと若い靴を履くんだな」


「そ、そうなんだ。ばばあの癖に若いのが好みなんだ」


「今、誰かに家にいるか?」


「いない。早く帰れよ」


「わかった。わかった。邪魔したな」


 明らかに嘘をついていた。気にはなったが、川田を信頼し、僕はこの場を後にした。




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