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花火 教え子 川田

 そろそろ、花火が上がる時間となる。僕達は行列に並んでいた、文ちゃんを回収する。


「お姉ちゃん、郁也さん。はいどうぞ」


 文ちゃんよりかき氷が手渡される。僕らはそれを受け取り、ありがたく喉を潤す。

 かき氷を突っつきながら三人で花火の見易い位置へ移動する。

 移動中に僕の図書館で出会った三人組の教え子達と出会う。三人ともおしゃれに浴衣を着こなしていた。


「あー先生。昼間の女の人と一緒だー彼女ですか?え?結婚してた?奥さん?子供まで?」


 図書館でチラ見していた生徒。僕のお見舞いにも率先して来てくれた沢田だ。図書館では遠慮していたらしく、今が攻撃時とまくし立てあげる。

 僕と弥生さん。文ちゃんを見て家族に見えたらしい。文ちゃんには父親みたいな雰囲気を味合わせてもらっているが親子ではない。弥生にしてもこんな大きな子供いるはずがない。迷惑だろう。


「沢田、うるさい。結婚してないし」


「ですよねー大丈夫だよ葵」


「え、私に話を振らないで」


「照れちゃってカワイイ」


 沢田が川田をイジル。全く、何したいんだか。


「パパ、ママ。あっちの方が見易いよ早く早く」


 文ちゃんの言葉に一同固まる。文ちゃんは自分の指差す方に駆けて行く。僕は君のパパじゃないよ。弥生さんの方を見る。彼女は僕に向かい軽く頭を下げる。


「ふ~み~待ちなさい!」


 弥生さんは文ちゃんを追いかけて行った。某アニメの弟を追いかける姉のようだ。


「悪い。はぐれそうなんで僕も行きます。娘とかではないから」


 僕も弥生さんを追った。


「先生。その足だと追いかけれないのでは?手伝います」


「葵、頑張れ、詳細よろ」


 川田より補助の申し出があった。それをちゃかす沢田達。


「僕はいいです。高校最後の花火大会を友達と楽しく過ごして下さい」


 僕は彼女達に別れを告げ立花姉妹を追った。

 立花姉妹はさほど離れた場所にはおらず直ぐに追い付いく。姉が妹にお説教中だった。


「弥生さん。そこまで怒らないで。花火上がりますよ」


「わかりました。帰ってからキッチリやります」


 怒りが収まらない模様。


「僕は気にしてないです。文ちゃんに父親経験させてもらって楽しかったです」


 素直な気持ちだ。文ちゃんの行動にも何か意味があったのであろう。


「楽しいんだって。パパ。今晩は高級ディナーがいいな」


「ふーみー」


「弥生さん怒らない。何が食べたいの?」


「お寿司!」


「さ、お金、足りるかな?」


「文、調子にのらない!」


 本気で怒ってはいない弥生さん。わざとらしく怒られているふりをする文ちゃん。

 家族が出来るこんな会話をするようになるのだろうか?僕も子供の頃は父母と良く絡んだ。大学を卒業し教師になった辺りからお一人様。プライベートで人話した記憶がほとんどない。在るのは弥生との思い出。

 お見合い後、僕を飲みに連れ出した馴染みはこういう事を伝えたかったのであろう。今はわかる。文ちゃんカワイイ過ぎる。目の中に入れても痛くない。そういうヤツだ。


 花火が上がる。皆、空を見上げる。真っ黒な闇に大輪の花が咲く。


「キレイですね」


「ええ」


「来年も一緒にみれたら良いですね」


「そうですね」


「お姉ちゃん、郁也さん。そこは違うよ。『来年も一緒に来よう』だよ」


 文ちゃんに言われ、はっとする。僕は弥生さんに対して受け身の返事しかしていない。来年?僕らは付き合っているだろうか?それでも今は......


「弥生。来年も一緒に来よう」


「ダメでーす。文に言われて直ぐに話すことなんか信用出来ません」


 覚悟して言葉を発したが、弥生さんにスルーされてしまった。彼女の言葉が本気でないこと態度でわかった。彼女は嬉し楽しそうに微笑んでいた。


 花火が終わり、皆帰路に着く。人の流れに任せ僕らも移動する。

 チラッと財布の中身を確認する。高級寿司は無理ぽい。ま、カードが使える店ならなんとかなりそうだが、コンビニに寄って現金を下ろしてから行くのが正解だろう。


「ご飯食べて帰ろうか。高級お寿司だったよね?」


 子供の意見が翻るのは多々あることだ。念のため食べたい物の確認をする。


「そうだよ!新幹線が来るの。ケーキも食べれて一石二鳥だよ」


 文ちゃんが言う、高級寿司とは回る方でした。子供なんてこんな物?結果、助かった。

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