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悪魔の樹(あくまのき)  作者: 一喜一楽
18/35

(1-15)エッチな妖精

◇エッチな妖精


 司会のお姉さんの声が聞こえる


『続きまして、〝妖精の踊り子〟さんの演技です。よろしくお願いします』


「二人共、あの格好観て」


 梓さんが驚いた声を出して来た。


「フィギュアの衣装みたいだな。ノースリーブだが……」


 苦木さんが応えてくる。ステージを見るとSキューブの衣装は黒色で、凄く薄く透けるような軽い生地の衣装だ。妖精と言うより妖艶の魔女のような感じに見える。


「Precision Opticsじゃ無いよな? あんな製品無かったと思うけど」


 エントリーリストを見るとSキューブは、胡桃だ。と言うことは、髪も交換して来てるんだろう。アップにした胡桃も大人びて悪くないと思った。化粧も施されているし。


「僕等と同じ製品みたいですよ。髪も交換したんでしょうね。何か気になるんですか?」


「樹くん、PO社のワンメイクでローラーブレードのフィギュアやってるのは知ってるか?」


 たしかに競技になっているのは知っていたが興味が無かったので観戦した事もない。その事を伝えた。


「フィギュアの演技は、床で演技するから、転ぶとSキューブがかなりダメージ受けるんだよ、だから普通は、あんな露出度の高いSキューブ用のフィギュアの衣装は無いんだ。語弊があるな、有るけど、売れないんだ。ああ言う衣装を使うのは、Sキューブフィギュアの演技の凄く上手い人だけなんだよ。昨年は一人だけだった。Sキューブ用のローラーブレードは、トウが無いからフィギュアは難易度が高いし転び易いんだ」


 うーん良く判んないな。実際見ないと、どの位難しいんだろうか?


「PO社の大会だと、ダンス、体操、バトルよりも、ローラーブレードの方が圧倒的に盛り上がってるわよ。今は、フィギュア、スラローム、スピードシューティングが行われているわね。凄いわよPO社のSキューブも」


 PO社のSキューブは、指先の制御にステッピングモーターを併用している為、激しい動きを行って手を着いたりすると破損する可能性が有るから、ダンス、体操、バトルにエントリーするユーザーは皆無だ。その分ワンメイクが盛り上がってるんだろう。


「多分、彼女は、PO社推薦のワイルドカードで、出て来てると思うな。この演技順だと予選免除組だけど昨年は居なかったから。でも珍しいなPO社が自社じゃない製品使用者に推薦出すなんて。PO社のSキューブじゃダンス、バトル、体操は無理なのは判るが……」


 PO社推薦のワイルドカードか……夏の四大大会は、そもそも予選に出るのすら難しい。五〇メートル走だけは誰でもエントリー出来るが、他の競技は、小規模の大会から勝ち上がって来ないと予選すら出場出来ない。全国から集まって来るんだから仕方ない。


 僕の場合は、小学二年の五〇メートル走で優勝してるから、一昨年、予選に出る事が出来た。ただ五〇メートル走の優勝だけでは予選には出れない。僕の五〇メートル走のタイムが有ったからだ。真弓に関して言えば、地方大会から勝ち上がっている。今はCC社とTD社のタイトル保持者だから頼めばどの大会もワイルドカードで文句無しに本戦出場出来るだろう。それに対して僕は未だ、予選免除はCC社大会だけだ。TD社の大会はワイルドカードで出場する事が出来るけど。


 と言う事は、彼女(女子高生位かな)は、多分フィギュアのタイトル保持者クラスなんだろう。わざわざCC社の大会に出て来る必要は無いと思うんだけど何か理由が有るんだろうか? PO社の大会に出れば良いのに。


 苦木さんが、彼女の胡桃を見て、


「それにしても、随分とイメージが変わるな、同じ製品なのに」


「なに言ってんの、髪型と化粧で化けるのは人間もSキューブも同じよ、私だって化粧すれば別人のようになるわよ」


「……本当か?」


 苦木さんが、ジト目で梓さんを見つめる。


「何よ!」


 胸を化かした方が……イメージ変わりますよ。良い方向にね。でも寄せる程無いのは……。


 ダンスの方が、かなり盛り上がっていたので演技開始が遅れていた。スタジアムで開催されているから、こういう事も有る。僕は、こっちの方が沢山の観客が居て好きなんだよな。


 漸く体操競技が始まって音楽が流れ演技が始まる。競技エリアの中心に置かれた胡桃が動き出す。


「うっ!」


最初の動き出しから直ぐに判る。物凄い制御だ。


「おい、これは……」


「この演技、とんでもないわ。私も簡単には真似出来ないわ」


 苦木さん、梓さん二人も直ぐに気が付く。この決勝に出てるSキューブの制御ソフト開発プログラマーならば気付いて当然だ。


 動作は、凄くゆったりに見える。実際スピードが出ている訳では無い。でも目を奪われる。今まで観た事の無い非常に滑らかな動きだ。


 体操としての技に関しては、バク転が有る位。それも、胡桃の柔軟性を活かした直ぐに手を付くもの。でもたったそれだけの動作が非常に美しい。


 指先から爪先、首を傾ける所、顔の表情まで非常に細かい所まで制御している。おまけに、開脚ジャンプに至っては、揺れまでコントロールしている。単に動いて揺れを見せている僕とは大違いだ。


 スピンが何回か有るが、その度にフワッと広がる裾を競技ではあり得ない手で抑える仕草と表情は物凄い。


「この衣装、フィギュアじゃ無いな。たぶんランジェリーの類だろうピンクの店には無かったと思うが」

苦木さんが衣装について指摘してきた。


「そうね、普通は無いブラまで装着してるわ、何処で入手したのかしら。下着は私の胡桃と似たようなレースだし」


 そうなんです。チラって見えるのが、凄いです。おまけに手で押さえて見え難くくしてるから余計見たくなって来るって、男心を非常に擽ります。


「参りました。ため息が出る演技ですね。完全に僕は彼女に負けていますね。この制御は、デーモン・ツリーさんを軽く凌駕していますね」


 苦木さんが僕の言葉に対してフォローしてくれる。


「そんな事は無いと思うけどな、彼女が凄いのは認めるよ。僕達よりは圧倒的だな、でも樹くんやデーモン・ツリーの精密さで他を圧倒する演技は彼女には無いからね。僕からすれば互角だよ」

梓さんが、僕達に対してヒントをくれた。


「この演技は、貴方達では出来ない演技よ」


「梓さん、何故ですか?」


「この演技は、女性じゃないと作れないわ。貴方達じゃ女性が普段どう動けば良いかなんて判ってないしね、あの動きは、バレーとかの魅せる演技を真似しているんだと思うわ。私も魅せるっていう演技は貴方達よりはマシって程度だから今は無理ね」


 そうか、僕も綺麗に見える様にしてるけど、本当の女性の動きは判らないからその差なのか……。参ったな、そんな事考えていなかったし、自分自身かなり自惚れていたみたいだ。この演技なら誰よりも凄い筈って、無意識に参加者を見下している感じだ。自分で嫌になってくるな。反省しなければ。苦木さん、梓さんだって来年は追いついて来るかもしれないんだし。まあ来年は体操に出場はしないと思うけど。


 次のTD社の大会まで二週間。この演技を観て直せる所が有る以上、今の演技を観客に披露する訳にはいかないな。間に合うか? 先ずは真弓に相談しよう、僕では女性らしい動きが判らない。


 彼女の演技が終わった。僕と同様に、スタンディングオベーションが出た。観客は、彼女の演技の素晴らしさが判ってる。後で挨拶に行ってみよう。


 肝心の採点は、僕達よりも低かった。観客からもブーイングが出てるが、気にした様子もなく笑顔で受け答えしている。


 僕にも経験が有るから判るが、この点数になるのは想定していたんだろう。それにまだまだ余力が有りそうだ、多分今日の演技は彼女の全力じゃないはずだ。まさか、体操競技にも悪魔クラスが居るとは思わなかった。それも僕以上と思える程の実力者が。


 演技を終わった彼女が、僕達の方へ近寄って来た。後で挨拶に行こうと思っていたから、とても好都合だ。


「こんにちわ」


 妖精さんが僕に向かって挨拶して来たので僕が応えた。


「えっと、こんにちわ。〝妖精〟さんで良いですか?」


「ええ、構わないわそれで。中学二年よ名前は勘弁してね」


「嘘!」


 梓さんが、驚いた声を上げる。そりゃ驚きますよね、どう見ても、年上に見えますもん。身長も胸も。妖精さん、凄い美人です。可愛いじゃなくて美人でメガネ。もう少しで巨乳な感じだけど。歩いてる時の揺れが絶妙です。顔を埋めたい。近くにいてフワッとする香りも素敵です。これで僕より二つだけ年上なんだもんな驚くよ。梓さんが凄く睨んでる。怖いな……。


「君は、凄いね、PO社からのワイルドカードなのかな?」


「ええそうよ、良く判ったわね、苦木さん」


「そちらは、塩地さんですね」


「私の事は名前で良いわよ、梓って言うの妖精さん」


「妖精さんって昨年と一昨年の、フィギュアの優勝者よね。大学生が主体のPO社のワンメイクで小、中学生が二年連続で優勝してたの私も観てたわ、今さっき思い出したの」


 そうか、あの動きはフィギュアの動きを入れてるんだ。それにしても二年連続って凄いな。


「ええ、そうですよ」


「何故このCC社の大会に出て来たの? わざわざSキューブを換えて。大会ならPO社の体操でも良いんじゃないの? 大学生の中じゃ巨乳が目立たないからこっちに来たの? 全く歩きながら揺らさないで欲しいわ」


 梓さん、怖いです。絶対梓さんの前で揺れの話しは厳禁だな。


「きょ、巨乳は関係ないです。私は周りの友達より少し大きい位です」


「それで、CC社の大会に来た理由は何まだ答えて無いわよ。別に私の縄張りでも無いけどなんか、気分悪いわ特にその胸が!」


「PO社のフィギュアは今年はデモ演技するだけでつまらないので、体操を始めたんです。まあPO社の体操競技もエントリーしていますけど、体操の大会は、CC社の方がレベル高いですから」


 フィギュアでボスキャラ(大会の勝敗には関係ないけど演技だけ披露して皆の目標になるって)に成っちゃったんだ、凄いな。たぶん真弓も今年ボスキャラ認定されるだろうな……。


「それに、こちらの大会なら、樹くんに会えそうだと思いましたので」


 へっ? 僕目当て? なんか嬉しいかも。お姉様って呼んでも良いかな? 聞いてみよう。


「妖精さん、お姉さまと呼んでも良いですか? 僕良い弟になりますよ」


「えっと、それはちょっと……弟もいらないわ」


 えーっ! 残念。


「じゃあ、師匠と呼んでも良いですか?」


「何故、師匠なの?」


「だって、師匠の演技は凄いですから、あの計算された胸の揺れ。チラっも裾を押さえる事で敢えて、見えそうで見え難くして、片手でのバク転もわざと観客の横を向くようにして手で裾を押さえてするなんて、男の子の視線を意識した恥じらいの表情まで作っていたじゃないですか。なのに凄い露出度の衣装を着せている。もう完璧です。師匠と呼ばせて下さい。ところで師匠、今日の師匠はやはりSキューブとお揃いの黒色のレースですか?」


「な、な、なんで判るの、バカっ! 何聞いて来るのよ!」


「「「えっ?」」」


 中二だよね?


「くっ! さすが巨乳ね。そこだけは負けたわ。黒パン女め、白の方が正義なのよ! 樹くんも言ってたわ」


 そこだけって色ですか? それとも…いや言うとマズい。


「黒? ですか、想定の範囲外でした。妖精さんSキューブもランジェリーで、露出癖有りですか? その年で随分アダルトですね」


「ち、違うわよ」


「樹くん、全くぶれないな。尊敬するよ」


「褒めてくれて有難う御座います」


「心から褒めてる訳じゃないよ、少し呆れてもいるけどね」


「それで、妖精さんは、樹くんに会いに来たのかい? 目的は?」


「昨年、ここの大会に初めて観に来て、樹くんの演技は凄いなって、古いモデルであの演技は神業だと思ったんです。多分今年はTD社のSキューブで出場して来るとだろうなって、それで樹くんと競技で戦ってみたいなって」


「それで、どうだったんだ実際に、同じ競技に出てみて」


「本当に凄いと感じたわ、デーモン・ツリーの演技を超えて来るとは思って無かったけど。呆れる程の制御ですね」


 妖精さんは、僕の演技みても余裕だ、負けてるって全然思って無い。多分妖精さんも同じ演技が出来るんだろう。それに加えてあの表現力だ。


「言動は既に変態さんですが……小学生なのに……」


「変態ですか……師匠、僕凄いショックです」


「師匠とは呼ばないで欲しいわ。弟子にするつもり無いもの」


「残念です。いろいろ女性の身体の事、教えて欲しかったのですが……」


「な、何を教えて欲しいって?」


「妖精さんが思ってる事と同じだと思いますけど……」


「変態!」


「なんでですか? 今日のSキューブ制御の女性らしい動作が知りたかっただけなのに……非道いな」


「えっ、そうなの」


「そうですよ、妖精さんは別な事だと思ったんですか?」


「そ、そんな事ないわよ。樹くん」


「まあまあ、樹くんあんまりからかわないで、未だ中二なんだし可哀想だから。それで、妖精さんは、樹くんのと同じ競技に出て満足したのか? 未だ余裕が有りそうに見えるけどな」


「樹くんは、TD社の大会には出られるのですか? 出ないならPO社の大会に出ませんか? PO社の方でワイルドカード用意出来ますよ。多分この大会の優勝者は樹くんでしょうから」


 今回は、様子見で出場した様だな、本命は次の大会でって所か……女性らしい動きに加えもう一段凄い演技にしないとダメそうだな……参ったな、これ以上の演技は考えていなかったよ。


「TD社の大会は出場します。PO社の大会の体操競技は今回は出るつもり有りません」


「では、TD社の大会で会いましょう。私が勝てば弟子にしても良いわよ」


「じゃあ、負ければ弟子にしてくれるんですね。なら簡単だな」


「あっ、今の無し。私が勝ったら、樹くんを好きに出来る」


「なんでもして下さい、今からでもOKです」


「やっぱ、それも無し。うーんどうしよう……」


 まあ手助けしておこうかな。


「じゃあ、僕が勝ったら? どうします?」


「何か一つ言う事を聞くわ」


 えっ聞くだけ? 実行してくれないの? 聞くだけなら言葉責めをしなきゃ。やる気が出てきたぞ。何かしてくれるならパフパフして貰おう。中学生の女の子にパフパフなんて、インモラルすぎるかな?


「判りました。それで良いですよ。覚悟しておいてくださいね僕の責めは厳しいですよ」


「な、何する気なの?」


「それは後のお楽しみと言う事で秘密です」


「物凄く不安だけど判ったわ。それじゃあね大会で会いましょう」


 そう言って妖精さんは控室に向かって行った。


「彼女、樹くんの演技観ても凄い余裕だな。樹くんは勝てるのか? 彼女は確実に今の君の演技を超える自信が有りそうだが……」


「あんな女に負けちゃダメよ、お姉さんなら、私がなってあげるわ。黒パンより年上だし」


「……」


「何よ、樹くんも巨乳が良いの? 非道いわ」


 梓さん可愛いよね。表情がコロコロ変わるしネコみたい。今のままちびっ子のほうが可愛いかも。梓さんは、どちらかと言うと妹かなぁ……年上だけど。


「梓ちゃん、話を逸らすな。それで樹くんは勝てそうかい?」


「うーん、難しいですよね。現時点では全く勝てる見込み有りませんね。あと一週間ですからね……困ったな」


 TD社大会の一週間後だけど、その一週間後のPO社の大会なら間に合うかな……それだと逃げてる感じだし……さてどうするかな。




よろしくお願いします。

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