部屋の話
ある日のこと。
「〜♪」
ぎしぎしとさせながら猫の足跡亭の階段を上る四人の影…コウヤ達である。
「これより突撃調査を行います!」
「おーっ!」…おー」へいへいよ」
これというのも、だべり話の成り行きでコウヤは部屋を見られる事になってしまったのである。
「とにかく静かにしろよ。寝てる人も居るんだから」
「「大丈夫大丈夫ー♪」」
「やあれやれ…」
そうしている内にも歩みは続いて、
「ここだ!」
扉の前で立ち止まり、
「いらっしゃーいっ!!!」
勢いよく扉を開き!
「コウヤのにおいがする!」
部屋に入ってのアリシアの第一声はその様な物であった。
「せんせーアリシアさんが変態でーす」
「気にしちゃうじゃんやっぱりさー」
尚も鼻をすんすんとし続けるアリシア。
「ううむこれが男の子の匂い…」
「コウヤのにおいー」
「…ん」
「うーん?」
そうと言われてもコウヤには部屋の木の匂いしか感じないのだが。
「嗅いでも何も出てこないぞ」
「いやーあなたの部屋ってあんまり入ったこと無いから…わっ?!」
言い掛けたそんな時、彼女の身体が棚に接触して…
「「「「あ」」」」
その衝撃で飾られていた〈パラディン〉のプラモが転がり落ち、そこに上がり掛けたアリシアの足がそのまま振り下ろされてしまった!
「おまえーっ!!!!!!!!!」
「こ、こんな所に置いとくコウヤが悪いんだよーっ!?」
幸いにも壊れる事は無かったが、アリシアの足下からそれをふんだくる様に救出したコウヤはすっかり涙目になっていた。
「でも、荷物が多いね」
そのノエルの言葉通りコウヤの部屋は荷物が多くて、
「…おもちゃばっか」
「男の子の部屋はロマンに溢れてんですー」
見渡す限りプラモとかそういうので一杯なのであって…
つまりはそう言う事であった。
「さあさあこれで満足したか皆様方」
「まあねー」「うん!」「…」
三人の反応もそんな物であった…が、
「「「…」」」
「な、なにさ」
ずばりその時、コウヤ、ノエル、リリスの三人は一斉にアリシアを見たのである。
「他人だけ見させておいてなあ」
「アリシアちゃんのも気になるーっ!」
「…少し、見たいかも」
「えっえーっ…」
たじろぐアリシアである。
「「「……」」」
「むっ、むーっ」
尚も続いた無言の圧力に、
「…ど、どうしてもなら私の部屋も良いよ?」
どうしてもなら、だけど。と最後に小さく呟いたのだ。
…そんな訳でアリシアの部屋。
「▽ありしあのにおいがする」
「こ、コウヤが変態さんに?!」
慄くアリシア。
「言われてみれば匂うかも」
「うーむ砂糖と汗と主に食いモン由来の体臭だな。あまり素敵では無いにお…「ちぇすとーっ!!?」くべぇっ!?」
実力行使で黙らせたアリシアである。
「やり返しただけだろー!」
「セクハラだよーっ!?」
応酬する二人だったが、
「あっ、猫ちゃん!」
その時ノエルは気付いたのだ。
「ノエルちゃん、この子がミーちゃんだよー」
「おおーっ」
そのアリシアの声に自分が呼ばれたと気付いたのか、子猫のミーはとてとてと歩いてきた。
「猫のにおいもあるかもなー」
「においの話はもういいよ。それよりもさあ、どうよこのミーちゃんの可愛さ!」
「飼い主に似ない可愛さとだけ言っておこうか」
「むーっ!!!!」
再びけんかにもならない言い合いを始めそうなコウヤとアリシアに、
「あはは、困っちゃうね」
そうノエルは、ミーに小さくささやいたのであった。




