読書の秋、のお話
ある日のこと。
「…」
「…」
「…」
「…」
…無言の中、ぺらり、ぺらりと紙のページがめくられる音だけが響いている。
場所はベルデの図書館。この日のみんなはなんとなくここに訪れていたのだった。
「…」
「…」
「…」
「…」
ふかふかとした赤いソファーに横一列で並んで座って、皆は様々の本を読みふけっている。
「……」
コウヤはだいぶ分かる様になってきたとはいえまだまだ字が読めない為、幼児向けの簡単な本で勉強をしていた。
えっと思うかもしれないが、これが中々面白い。
色んな所に作者の遊び心や工夫が凝らしてあって…退屈しないのだ。
「…、」
しかし少し、少々言葉寂しくなって、
「おもしろいかアリシアー?」
「えーっ?」
そうコウヤが訊ねたアリシアが読んでいるのは、巷で人気の少女コミック『ときめき♪プラトニック・ハート』の単行本。
「うーん…逆ハーって奴だねー」
ぺらりぺらりとめくられるページでは、主人公の女の子が五人目の男性キャラと五回目の別れ話をすると言う話の真っ最中であった。
「そ、そっかーお兄さんわからないや。…リリスはどうだって、…げっ」
「…」
次にリリスに目を移したコウヤがぎょっとした物とは、果たして辞典程の装丁と分厚さの、どうも魔法に関する専門書の様だった。
「お、面白いか」
「……」
少し無言を繋げて、
「…まあまあ」
「そ、そうかあ」
ぺらぺらりと難しそうなページをめくっていくリリスに圧倒されるしかなかったコウヤだ。
そして最後にノエルだが…
「ボクねえ、絵本読んでるの!」
「おおっ、お兄さん安心ですよ」
ノエルらしい答えにほっこりしたコウヤである。…が、
「読んであげるねっ。えーと、“ジョニーは言いました。目の前の中年は自殺しようとしています”」
「ずいぶんブラックだなあっ!?」
…絵本は絵本でも大人向けだったらしい。
「ええい子供らしい本を読まんかおまえらーっ!!?」
「図書館では静かに、だよー」
爆発したコウヤだったが熱中するアリシア達には気にも止められず、その後司書さんが注意に来るまで身悶えが続いたという。




