前哨
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反抗作戦も佳境に入り、主力部隊は鉱山近郊の城壁都市、タルクスに入城した。
付近ではランティファールの散発的な攻撃が続いていたため、第四小隊も警備のため歩哨に立っていた。
タルクス失陥直後から始まったその攻撃は昼夜を問わず行われ、それによってセレスティア軍を疲弊させようとしているのではないかとはアミナの推測である。
そしてその日。一面の星空が照らす夜の中、コウヤは町外れの平原の中央でシロガネを立たせていた。
ーー地平線の果てまで星々の輝きで満ちている。
その光景を見て、これなら夜間の歩哨も悪くはないとコウヤは思った。
その時、〈シロガネ〉のセンサーに感有り。
「ランティファールか?」
そう思い、身構えつつ最大望遠で確認…いつまでたっても予想していたロックオン警報は鳴らず、やや肩すかしを食らうコウヤ。
そうして捜索を続けたしばらく後、センサーに引っかかった原因であるらしい高速で移動する黒い何かを発見する事が出来た。
…その存在にコウヤは硬直した。
怪物としか形容できないその外観は、黒色に塗り、潰して角張らせたヤドカリと言った体である。
それが一直線に街の方角へ走っている。
不穏な気配を感じ、コウヤも全力で機体を走らせた。
そして怪物とコウヤが交差する地点、そこに先回りすることに成功したのである。
ーー止めなくてはいけない。
予感めいた何かを感じて、迫ってくる怪物に突き向けるように剣を構える。そして…
瞬間、衝突。
「ぐうううぅっ!」
構えた剣は怪物の表面で逸れて大きな傷を作ったのみで、コウヤは怪物の突進の直撃をもろに受ける格好となった。
「ぐわあっととっ…畜生、挟まれちまった!」
止めることは出来た物の、怪物にのし掛かられた状態である。
身動きがとれず、兎に角ばしばしと剣を叩きつけ続けてみるが、この怪物には全く堪えた様子がない。
「むぎー!」
それでも斬り続けた結果、怪物の体はかなり抉れた状態にまでなったが、動きが鈍ると言うことがいっさい無く、どころかさらに怪物の力は増して、より地面に押し込まれる程であった。
これだけ攻撃をくわえたにも関わらず血は一滴も出ることが無く、生き物ではないのかとコウヤは思った。
さらに〈シロガネ〉を轢いていかんとばかりに加えられるあまりもの馬鹿力がかかり、しかもダメージを受けた箇所が徐々に修復されているらしいことを見て戦慄する。
《そいつの弱点は胴の中にある赤色のコアだっ!》
その時入った一本の通信。
そのエリーゼの言葉を聞くなり、すかさず、
攻撃によってすでに露出していた血のような赤色のそれに、逆手に回した剣を突き立てた。
…赤く輝くコアが砕けた、その時。
静止した暗灰色の怪物の体が一瞬白く光ったかと思うと、次の瞬間には雪を思わせるような白い粒子状に体が分解され、そして風に溶けて消えてしまった。
(…ネウロイかよっ!?)
後に残るは何事もなかったかのように、静寂の中ヴァリアントが一機。
「…いてて、お陰で助かったわエリーゼ」
通信で話しつつヴァリアントを立ち上がらせると、丘陵の向こうから一体の〈ベルトール〉が走ってくるのが見えた。
《ヴァリアントの敵はなんたるか、…士官学校で習ったからな。だがこれは…》
こいつが何なのか、といっても拙い相手には変わらなさそうだなとコウヤは思った。
一方、ランティファールでは鉱山からの応答が途絶えた事で緊急事態が発令されていた。
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