食い道楽の話
「秋と言えばメシだよ」
「そうなの?」
言いながら、台所に立つコウヤとカウンターからそれを見るアリシア達。
「試食会ねー…」
「どうなのかな?」
「…んー」
「まあ任せておけって。不味いものは食わせないさ」
そう宣言したコウヤの瞳には炎が灯っている。
…この日、理由はないがコウヤは燃えていたのだ。
このベルデの地でも食すことの出来ない故郷の味を必ずや再現する!
ーー今回はその壮大な決意の第一歩であった。
「それでは第一回、秋の大試食会の開催を宣言します!」
「「おーう!」」…おお」
まず取りかかったのはお好み焼き。
熱したフライパンに作った生地を置いて、しばし焼くこと数分。
ひっくり返す等して焼き上げたそれをフライパンから取り出した後はフライ返しで人数分に切り分け、そして最後に用意したのは、コウヤが市販のソースをベースに調合した特製ソース。
「ぴゅぴゅーっとな」
「「「おおーっ!」」」
…香り立つソースの芳香な風味。
掛けられたそれが熱々のお好み焼きで熱せられ、更にふんわりと皆の鼻をくすぐるのである。
最後にマヨネーズも掛けて、
「コナモンは任せておけ…」
そう言いながら完成した皿を皆の前に置いたコウヤ。
「「「おおお…」」」
興味深げにそれを見る三人。
「それじゃいただきまーす!」
…最初に口にしたのはアリシアである。
「もぐ、! …変わったガレットだね。モチモチしてて中の具も面白いし、掛かってるソースも美味しいし。もぐ、…私は好きだよ」
だから全部ちょうだい! だーめ、と応答をするアリシアとコウヤ。
「口の中でとろけて美味しい…!」
「…ん!」
二人の反応も上々である。
「ふはああははははは!」
喜びの余り高笑いをするコウヤである。
…続いてコウヤが出したのはチリ・ビーンズ。
通常の作り方以外にたっぷりの野菜と、焼いたたっぷりの牛挽き肉を加えたその味は某ウェンディーズの物である。
「これはおかずになるね!」
「おいしい!」
「…ん〜」
お肉たっぷりのその味はお子さまには大人気であった
「ファハハハハハハハハハハっ!!!」
続いての料理も反応がよかったので再び高笑いをするコウヤ。
そうして試食会は進んでいき…
「最後に俺のとっておきを披露しよう!」
「「「おおおーーっ!!!!!」」」
高まる期待の中、そういってコウヤが取り出した皿の上の物を見た三人は、
「…何これ」
「うーん…」
「…んん」
「何って、あんころ餅だよ」
今回の料理の中でも最も手間が掛かったのは何を隠そう、ズバリこれであった。
…とりあえず一口食べさせる
「変な味ーっ」
「う〜っ!」
「…んんんん」
「がーん!」
余りのショックに、燃え尽きたコウヤは灰の固まりにならんかと言うほどの落ち込み様だったという。
* * *
その翌日。
…市場で買った小豆を砂糖を加えながら煮ること数時間。
完成し、こしてこしあんにしたそれを、それぞれ甘く味付けしてカステラ風にして焼いたパン生地とクッキーに挟み、出来上がったのがシベリヤもどきとしるこクッキー。
これはお子さま達にも人気だった。
「オラァッ! 現代っ子舐めるなよオラッ!」
「いきなり何っ!?」
とにもかにも美味しい日々であった。




