ある朝の話
ある日の朝のこと。
「おーい」
いつも通り早く起きた小田桐コウヤは、いつも通りアリシアを起こす為にその部屋の扉を開いた。
…アリシアは寝起きが悪いため、こうしてコウヤが起こすのが日課となっている。
そしてコウヤが見渡すと、彼女らしい部屋の中、そのベッドの上に布団を深く被ったアリシアが寝ていたのだ。
「アーリーシーアーさーんー」
言いながら、近寄って様子を確かめる。…少しぴくりと反応した。
「アリシアーおーきーろー朝だぞー学校だぞー」
「す、すぴー、かー」
…狸寝入りを決め込んだらしかった。
「学校遅れちまうぞー、全く…ん」
ふと目に留まった、無造作に布団から放り出されたアリシアの足。
それを見て、コウヤは、
「…」
…おもむろに足裏のツボを押した。
「ふぎにゃぁあああああっ!!!!!!!?」
尻尾を引っ張られた猫のように絶叫し撃沈したアリシア。
「い、いきなりひどいの…がくっ」
「だって足裏こちょこちょはこないだやったばかりだもんなー」
つまり起きないお前が悪い! とびしっと決めたコウヤである。
* * *
ーー場所は変わって猫の足跡亭、その一階。
「うーっ…まだ足の裏がじんじんするよ。動く度にひしひしと…」
「耐えなさる」
「むー!」
そしてカウンター席に座ったアリシアとコウヤはレイチェルの作ってくれる食事待ちの体勢である。
ホールの中は、同様に起きてきた宿泊客や朝食だけ食べに来た客などでにわかに賑わっていた。
…待つこと一分。
「はい、お待ちどう様っ」
「「おおーっ!!!」」
そうして出された皿の上には、塩コショウの掛かった目玉焼きとカリカリに焼けたベーコンが乗っていた。
「「いただきまーすっ!!」」
「ゆっくり食べるのよー」
そのレイチェルの言葉を余所に、二人はパンと牛乳でかっこんでいったのだった。
そして食事は終わり、
「それじゃ行ってくる!」
「気を付けろよー」
言いながらアリシアを見送るコウヤ。
「…それじゃ、行くかっ」
そうして自身も、馬車鉄道の駅まで歩きだしていったのだ。
* * *




