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月影の双狼と黒翼―誇り高き2匹の狼と、黒翼の守護者―  作者: アル治
侵す者、守る黒牙

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46/47

第46話  黒翼と双牙

いつも読んでいただきありがとうございます。

風が、止む。

森が、静まり返る。

3つの影が、並ぶ。

 

アルビス。

 

ノワール。

 

ノクス。

呼吸が揃う。

 

今度は――乱れていない。

怒りはある。

だが、燃え尽きていない。

制御されている。

魔族が、それを見る。

わずかに、口元が歪む。

「……ようやく、形になったか」


アルビスが答える。低く。静かに。

「最初から、これだ!」

次の瞬間。動く。

アルビスが踏み込む。

正面。

一直線。迷いなし。

魔族が迎え撃つ。

だが――

読めない。

刃が来る。

軌道が、途中で“ズレる”

黒い、、、背に揺れるもの。

 

“黒翼”

魔族の剣が空を切る。

その内側へ。

入り込む。

一撃。深い。

血が走る。

同時に。

 

ノワール。

低く。

地を這うように。

足を狙う。

噛みつく。

今度は――通る。

「……っ」

初めて、明確な苦痛。


ノクスが来る。

影から。

音もなく。

首へ。

魔族が体をひねる。

 

だが――遅れる。

爪が食い込む。

血が弾ける。

3つの攻撃。

完全に、重なる。


魔族が距離を取る。

初めて。

明確に“離れる”

呼吸が、わずかに乱れる。

「……いい」

低く呟く。

初めての本気の声。

「ならば――こちらも」

空気が変わる。

さらに重く。深く。

魔族が踏み込む。

速い。

今までで最速。


アルビスが迎える。

刃を合わせる。

衝撃。

腕がかしむ。

押される。1歩。

だが――止まる。


ノワールが横から入る。

牙。

だが――

弾かれる。

重い。


ノクスが死角へ。

だが――

読まれる。

弾かれる。

一瞬。

押し返される。

(……ここ)

アルビスが歯を食いしばる。

「……来い」

小さく。

だが、確かに。


ノワールが動く。

正面へ。

あえて、見せる。

魔族の視線が向く。

その瞬間。

 

ノクスが消える。

完全な死角。

今までで最速。

だが――

それでも魔族は反応する。

 

首を守る。

その“防御”を。

待っていた。

アルビスが踏み込む。

 

真正面。

 

黒翼が、大きく揺れる。

軌道が消える。

一瞬の空白。

その中へ。

刃を滑り込ませる。

深い。確実に。急所へ。

同時に。

 

ノワールが噛みつく。

腕を押さえる。

逃がさない。


ノクスが食い込む。

首へ。

迷いなく。

「……ッ――」

声にならない声。

3つが、重なる。

止まる。完全に。

静寂。血が、落ちる。

ゆっくりと。

魔族の体が、揺れる。

崩れる。

だが――まだ立つ。


その目が、アルビスを見る。

ノワールを見る。

ノクスを見る。

「……見事だ」

かすれた声。

 

それでも、はっきりと。

「守る牙……か」

そのまま。

崩れる。

地面に、倒れる。

動かない。

終わり…

風が、戻る。

 

森が、息をする。

ノワールが、ゆっくりと離れる。

 

ノクスも、静かに退く。

アルビスが立っている。

剣を下ろす。

何も言わない。

 

振り返る。

ケンジの方へ。

風が、優しく吹く。

戦いは――終わった。

46話読んでいただきありがとうございます。

次でラストになります。

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