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月影の双狼と黒翼―誇り高き2匹の狼と、黒翼の守護者―  作者: アル治
黒牙と騎士、譲れぬもの

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第24話   静かなる刃

いつも読んでいただきありがとうございます。

少し戦いが続きます、ご了承下さい。

森の奥。 

音が消える。

 

動いたのは――セレナだった。 

無駄のない1歩。 

距離を詰める。 

早い。

 

ケンジの目が追いつかない。 

「っ――!」 

反応が遅れる。 

刃が来る。 

躊躇なく首筋へ。

間一髪。

弾く。 

火花。 

「……速い」 

息が漏れる。 

だが、止まらない。

 

2撃目。 

角度が違う。 

読めない。 

ケンジは無理に受ける。 

衝撃。 

手と腕が痺れる。

体勢が崩れる。 

その隙を見逃さない。

 

セレナが踏み込む。 

終わる―― 

その瞬間。 

影が差し込む。 

ノワール。 

刃を弾く。

 

セレナの目が、わずかに動く。

2対1。 

だが、焦りはない。

逆に冷静。

距離を取る。

構える。

無駄がない。

 

ノワールは体勢低く保つ。

ケンジの前。

フォローするように。

だが違う。

“導いている”

一瞬の視線。

それだけで分かる。

(……動け)


ケンジは踏み出す。

横へ。

同時に、ノワールが動く。

正面から。

挟み込む。

セレナは動かない。

その場で迎える。

ノワールの牙。

弾く。

そのまま、刃の軌道が変わる。

鋭い。

だが――

 

ケンジが入る。

横から。

短剣。

低く。

速く。

 

セレナが身体を捻る。

避ける。

だが、完全ではない。

浅く――切れる。

脇腹。

布切れる。

血。

赤が滲む。

 

初めて。

セレナの動きが、わずかに止まる。

だが――

次の瞬間には、戻る。

振り向きざま。

刃が走る。 

ケンジへ。

速い。

避けきれない。

「っ――!」 

ノワールが入る。

弾く。

だが、完全ではない。 

流れた刃が――

セレナ自身の動きと重なる。

一瞬の交差。

その瞬間。

刃が逸れる。

軌道がずれる。

だが――

完全には外れない。

セレナの体が、わずかに開いた。

 

そこへ。

ケンジの短剣が届く。

「……っ!」

肩。

首に近い位置。

深くはない。

だが、確実に入る。

血が、吹き出て布を赤く染める。 

白い肌を染める。

セレナの動きが一瞬止まる。

出血も。

それだけ。

だが十分。

距離が開く。

3者、離れる。

 

呼吸だけが響く。 

ケンジの肩が上下する。 

(……当たった) 

初めての感触。

だが。

油断はない。

目の前。

セレナはまだ立っている。

赤く染まりながら。

静かに。

その目は、変わらない。

むしろ――

わずかに、鋭くなる。

 

ノワールが低く唸る。

次に備える。

ケンジも構える。

短剣を強く握る。

震えは――ない!

戦えている。

通じている。

だが。

“勝てる”とは思っていない。

それでも――! 

1歩、踏み出す。

 

セレナもまた。

構え直す。

切り替える。

それでも、迷いはない。

 

その奥で。

ほんのわずかに。

視線が揺れる。

一瞬だけ。

遠く。

ヴァルク方。

すぐに戻す。

何も言わない。

ただ、戦う。

冷静に。

確実に。

そして――

空気が張り詰める。

再び、ぶつかる。

24話読んでいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願い致します。

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