第23話 交わる前線
続けて読んでいただきありがとうございます。
森の空気が変わる。
削るだけの戦いは、終わった。
倒れた兵士。
血の匂い。
そして――
残った者たち。
ヴァルクが1歩、踏み出す。
「……遊びは終わりだ」
低く。
その瞬間。
空気が、張り詰めた。
アルビスが動く。
静かに。
前へ。
ケンジの前に立つ。
守るように。
だが、その目は――
冷たい。
ヴァルクの前で止まる。
距離は数歩。
「そこから先は……」
「通さない」
視線がぶつかる。
1歩も引かない。
ヴァルク問う。
「なぜ味方する?」
剣を構える。
「獣は駆除する」
その時。
横から動く影。
バルカス。
焦りを滲ませながら、距離を詰める。
「団長の邪魔は――」
その前に。
止まる影。
動けない。
目の前。
ノクス。
いつの間にか、そこにいる。
音もなく。
気配すらなく。
ただ――立っている。
バルカスの喉が鳴る。
「っ……!」
足が、勝手に止まる。
逃げたい。
だが、動けない。
ノクスは、
ただ見ている。
それだけで十分だった。
戦場が、分かれる。
その裏。
セレナが動く。
静かに。
誰にも気付かれないように。
後方へ。
回り込む。
視線はヴァルクへ。
ほんの一瞬。
唇が、わずかに動く。
「……ヴァルク様」
小さく。
誰にも届かない声。
それは――
祈りにも似ていた。
そして。
そのまま視線を切る。
任務へ。
迷いはない。
それを。
ノワールは見逃さない。
影の中から。
静かに。
全てを。
動き出す位置。
流れ。
全てを把握する。
1歩。
踏み出す。
その横に。
ケンジ。
短剣を握る。
呼吸を整える。
「……行くぞ」
小さく。
ノワールは答えない。
だが。
動く。
それで十分だった。
2人が、同時に走る。
セレナへ。
一直線に。
中央。
アルビスとヴァルク。
動かない。
だが。
圧がぶつかっている。
見えない衝突。
空気が軋む。
ヴァルクが口を開く。
「……強いな」
静かに。
「お前は、ただの獲物じゃない」
アルビスは答えない。
ただ、見据える。
その奥に。
冷たい光。
1歩。
踏み出す。
同時に。
ヴァルクも動く。
左右。
別の戦場。
ノクスとバルカス。
距離は近い。
だが、埋まらない。
圧倒的な差。
バルカスの額に汗が滲む。
剣を握る手が震える。
「くそ……っ」
ノクスは動かない。
ただ、待つ。
来るか、来ないか。
それだけ。
さらに奥。
セレナが振り向く。
迫る気配。
ケンジ。
ノワール。
2つ。
無駄のない動き。
セレナの目が細くなる。
静かに、構える。
刃が、わずかに光る。
森の中。
全てが、止まったように見える。
だが。
次の瞬間には、
全てが、ぶつかる。
息を呑む。
音が消える。
そして――
戦いが、
本当に始まる。
23話読んでいただきありがとうございます。
次から戦い多めになります。




