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7話 謎の決闘

 魔物の対処が終わり、森の中で一息つく。

 と同時に、カリアさんがやってくる。


 「その…貴女の邪精霊ってどうしたの?」


 「ああ。昔、色々あって」


 「色々…」


 リリスが小声で反芻する。

 事実、私達3人が10歳の時、この邪精霊をゲットしたのだ。

 その色々には、秘密にしておきたい物事が含まれているから、隠しているだけ。


 私は、自分よりも背の高い邪精霊の頭を撫で、


 「でも、いい子ですから安心してください。闇属性が使えるので、頼りになりますよ?」


 「やみ…大丈夫?本当に」


 「大丈夫ですよカリア様。ミムの能力は一級品なんで」


 カイトが私の肩に手を置いて言う。

 どうやらそれで納得してくれたらしく、カリアさんはリリスの方を向く。


 「リリス。いい友人を持ったのね」


 「っ! はい!頼りになるいい人達です」


 



 それから、リリスが弱点を把握して伝え、私、ソラ、カイト、カリアさんが倒す、のを繰り返していた。

 やがて、太陽が傾く頃、ようやく広い庭に戻ってこれた。


 「はあっ…疲れた…」


 私がぐったりと言ったのを皮切りに、ソラが


 「能力久々に使って…魔力が…」


 疲れてる風に言っているソラに苦笑いし、私は屋敷の方を見る。

 「ふうっ」と一つ息を吐くと、ふと肩に手が置かれる。

 その方角を見ると、カリアさんが怖いくらいの笑顔を向けて、


 「ミム…と言ったかしら。私と決闘しなさい!今ここで!」


 「は…」


 その場の空気が凍りつく。

 最初に動いたのはリリスだった。


 「姉様!何言ってるんですか!いきなり戦いなんて!」


 「…リリスを守れるかどうか、それを個人的に確かめたいのよ」


 イラついたように言ってくるカリアさんは、自身の腰につけていた2本の剣のうち一本を抜いて取り出して、私の足元に投げる。

 それをカイトが拾い上げ、私に渡したのを見ると、

 

 「さぁ、私と本気で戦いなさい。勝ったらこれまで通り、リリスと自由に過ごすといいわ」


 「なら、負けた場合は私は関わらないようにしましょう」


 しれっとそう言うと、カリアさんは一瞬驚いた後、剣を構える。

 私も、カイトから習っていたような、簡単な構えを取る。

 …正直に言えば、勝つこと自体は簡単。でも、本当の実力を出して、周りに怖がられるのが嫌なのだ。


 「はあ…一撃で終わらします」


 「…。できたらいいわねっ…!」


 一気に速度を上げて、私の首元に剣が来る。

 勿論想定済みだ。


 「【時空系統魔法 巻き戻し】」


 「…え?」


 一瞬にして、首元の剣は構えた時の状態に戻っていた。

 カリアさんの顔は一気に青ざめ、地面に膝をつく。


 「なっ、何それ…ッ。時空系統魔法なんて…そんな、馬鹿みたいに魔力を消費する魔法を…?」


 「私達3人は魔力を増やす特別な訓練をしてまして」


 ふんわりとした言い方をしつつ、私は手を前に出し、


 「【創造系統魔法 創造】」


 カタン、と音が鳴る。

 カリアさんの首元には、キラリと輝く短剣があった。

 彼女は諦めの笑顔になり、


 「…ごめんなさい。私の負けよ」


 「そうですか」


 決着が早くついてしまった。もう少し抵抗してくれても良かったのに…。

 この思いは心だけに留めて、私は魔法を解く。

 短剣がなくなったカリアさんは立ち上がり、


 「ごめんなさいね…我ながら、嫉妬してしまっていたわ。リリスが、私達を頼らなくなって、それで頼るようになったのが、あなた達で……かっこ悪いわね。ごめんなさい」


 「…はあ。相手してもらったのが、ミムでよかったと、そう思うのなら、いいですよ」


 今まで静観していたソラが、ハッキリと告げる。

 カリアさんはにこりと笑って、


 「ふふ、わかったわ。私の能力の〈保存〉も、きっとあなた達の前じゃあ、能力の概念にすら入ってなさそうだものね」


 「っ…」


 その言葉にどきりとしたのは、隠し、私は剣を彼女に渡す。

 カリアさんはそれを見た後、


 「いいわよ、持ってて。貴方にあげるわ」


 「っ! でもこれ、大切なんじゃ…」


 彼女はけらけらと笑い、


 「いいわよ別に!剣なんて沢山あるし。それに貴方、邪精霊だけで戦うつもりなのなら、物理面で心配があるわ。持っておきなさいな」


 「…。そうですか。ありがとうございます」


 剣を受け取ると、カリアさんはより一層笑い、


 「さっ!屋敷に戻りましょう?お風呂入らないと!」


 「っ!ミムさん達も行きましょう?」


 リリスが聞いてくる。

 私とソラは顔を合わせ、


 「わかった!行こうか!」


 「あ…でも、カイトはどうするの?」


 「ご安心を!男性用の風呂もありますから!」


 リリスの悪意なき言葉の後、カイトは小声で、


 「俺、1人か…」


 呟いたその言葉は、ソラの手が軽く肩を置かれることで消えていった。


 




 カリアさんは、私の手を取り、


 「ミム。リリスを頼んだわよ。能力戦闘ができないあの子は魔法が頼りなの。あなた達で、守ってちょうだいな」


 私は握られた手を自身の手で包み、


 「わかりました。守れるだけ、守ります」


 カリアさんはまた「ふふっ!」と笑って、


 「さっ、中に入りましょ!」

 

 








 その後は、ずっと魔物狩りの毎日だった。大体2週間くらいだろうか。

 ジェイン様とカリア様が手を回してくれて、ランクはあっという間にCになった。依頼もより多く受注できるし、助かる。


 魔物狩りが終われば、美味しい食事とお風呂に入れる。

 私達がずっと指輪をつけているのを、カリアさんは気になったようで、聞いてきたが、リリスに聞けとだけ言って会話は終わった。


 本当にリリスから理由を聞いたのかは、定かじゃないけど…まあ、牽制にはなるだろう。

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