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合間の風 〜1〜

 昔々…大体、700年前。

 ドカンドカンと音を立てていた土地に、魔界に住むはずの魔物共の咆哮が響くようになった。


 …うるさい。寝られない。

 多分地上の人間共は、異質な存在であっても力でねじ伏せられると、何の根拠もなく信じているんだろう。


 「うるっさぃなぁ…!」


 バカな人間共を見下ろしていても、見えるのは、黄土色のカッサカサの土に、咆哮を上げる魔物、怯えつつも謎に勇気を持って戦いに行く愚かな人間。

 魔物を解析しようとしている連中も何人か。…そんなの、無駄に決まってる。魔物は皆、魔神の保護下。魔神が創り出した生命体。人間なんかに解読できるわけなかろう。


 いつまでも兵器やら原子爆弾やらを使い続けて、魔の心が集まったが故にできてしまった、魔界とつながる"歪み"。魔神達は外に魔物が出て行かないよう止めるので精一杯。そして地球に住む神も、皆んな天罰だ神罰だと言って助けない。


 「アーちゃん…大丈夫かい?随分とイラついてるようだけど…」


 「あぁそうだね。イラついてるよフィル」


 猫の尻尾が上下にパタパタするような感覚。常にイライラしていて、眠れん。

 かく言うフィルリアも、怒りが顔に滲み出ている。感情や縁を司るはずが、人間の感情は常に怒り・悲しみ・恨み・妬み、責任転嫁等その他諸々。本来あったはずの楽観感情はどこへやら。

 

 フィルリアは、近くに置いてあった人間界を覗ける水晶をなぞり、


 「は〜っ…だるいわあ…な〜んで毎回毎回、感情のセーブもせずに戦いに発展してるわけ?今時悪魔も暴力は最終手段の構えなのに…?」


 水晶が写すボロボロの土地と流れる血、悲しみの叫び声を見ながら言う。


 「…」


 いつ、人間どもは、自らができること、可能なことには限界があり、"不可能"が必ず存在していると、理解するのだろう。


 いつ、人間どもは、自分を高価な存在ではなく、道端の石ころ程度の価値だと理解するのだろう。

 そんな考えが湧いてきた人間は、速攻周囲のせいで亡くなっては天使と化す。


 愚かな存在だけが生き残る無限ループの完成である。












 そんな事を思っていたのが、もうかなり昔のことだ。


 魔物を倒せないと理解し、人が減っていくだけの現実。

 それをやっとその目で理解した人間どもは、揃って神に頼み込んだ。


 …正直言って、助ける気なんて湧かない。

 誰が助けるか。そう思ってたけど…


 「アリッカ。一つ、遊びをするのはどうだ?」


 「…遊び?」


 自然や技術を司るフィシークが、言ってくる。

 彼は、「そうだ」と言ったのち、


 「人間どもの思考とかを、俺達の理想に変えて、お前の力で能力やら魔法やらを与えてみないか?」


 「それで…何になるの?」


 「忠実な人間(・・・・・)という名のコマもとい玩具ができるぞ?」


 「…!」


 この、フィルリアとフィシークとずっと暮らすだけの暇な生活に、玩具…?いや、コマ…?


 「…ふふっ!あはははっ!!」


 「っ!」


 「いいねぇ、フィシーク。それ、面白いよ」


 「…! そうか。じゃあやるのか?」


 「うん。暇つぶしの玩具…まあでも、1人いれば、それで十分だな…」


 顎を手に当てて言うと、フィシークは少し考えて、


 「…なら、神に例えてもいいくらい強い能力を持ってて、かつ俺らと話すごとに性格が似てくる人間の子供だけを玩具にするか?」


 「だね。それでいいよ。…でも、性格変えちゃうの?」


 「親近感が湧くだろ?同じ考えなんだから」


 「・・・。それもそっか」


 2人で納得していると、ふと瞬間移動の気配が真横でする。


 「ちょっとちょっと!急に2人で何を決めてるの?」


 慌てながら聞いてきたフィルリアに、フィシークは人差し指を立てて、


 「あぁフィルリア。別に簡単なことだ。人間どもは俺らに助けを求めてる訳だからな。どうせなら、俺らに忠実なコマでも作ろうかと」


 フィシークはひらりと言う。フィルリアは少し考えた後、


 「まあ別にコマを作るのはいいけど…非人道的な使い方はダメね。ちゃんと人権と本人の了承を経てからやることやってね?」


 なんだ、そんな事か。

 私は手をパタパタと振りながら、


 「それは勿論。人間とはいえ、私達神のコマだ。大切にするさ」


 「ならいいのよ。ついでに、他の神とも話さないとね」


 「それは勿論だ。アリッカ、行こう」


 「だね」


 ここから先の星にできた文明と人間なら、多少は楽しめるかな…?

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