12話 終わって始まる
「はぁ…」
前話のような戦いを続けること、1週間。
ようやく予選、本戦が終わった。
ソラが、フィールドに出ている、最終戦に出る人の名前が乗った魔法の壁を見ながら、
「…まあ、予想通りね」
と、小声でつぶやいた。
発表された最終戦の相手は、無論私、ソラ、カイト、リリスだ。
私達は、ゆっくりと体を動かし、学園内に戻る廊下を進んでいった。
ふと、ソラが身を乗り出し、
「まっ、私はミムと当たったら棄権するわ」
そう、当たり前だと言わんばかりに言った。
私は固まったが、カイトとリリスもそれに賛同し、
「俺もミムと当たったら速攻棄権するわ」
「申し訳ながら、私もミムさんに勝てる気はしないので…」
「ちょっちょっ!なんで私が一位になる流れなの?!」
そういうと、ソラは「えぇ…」と呟く。カイトは諦めたような顔をして、
「お前な…能力がどんだけ恐ろしいのか客観視してみろよ」
「??」
言ってる意味がよくわからない。客観視ならしてきたつもりだが…。
ソラは人差し指を立てて、
「まあまず。今回の戦いで、邪精霊を扱える事を見せてしまったでしょう?あのせいでミムと戦う奴は皆棄権の嵐だったじゃない」
「っ…まっ、まあでもさ!私はカイトと戦えば普通に負けるよ?」
言うと、カイトはため息をついて、
「あくまでそれは、お前の能力が使えない状況下で戦ったからだ。使えてたらお前の勝ちなんだよ…」
カイトは、「それに、」と続けて、
「お前が一位に立てば、俺やソラの能力を隠せるし、お前も油断されやすい。…それでお前が本性を出した時の相手の絶望顔を見たくはないのか?」
「絶望顔…」
カイトの言った言葉をソラが小声で反芻する。
私も想像してみる。
「…確かに、そういうのもいいかもね」
ぽつりと言うと、カイトは、
「だろう?…よし!話もまとまったし、昼食いに行こうぜ!」
「おっ、そうだね!私もお腹空いてたからなー」
「お供しますよ!」
私も、それについて行った。
☆
「終わったぁ〜!」
戦い(棄権の嵐)が終わり、私は声を上げた。
結果から言うと、まずリリスと当たり、棄権。その後ソラと当たり棄権。そしてカイトと当たり棄権。
結果、表彰を経て、私がこの学園のランク1になった。
金色のバッチを渡され、それを胸ポケット近くにつける。
これでやっと、つまらない戦いも終わった。明日からは、平和に過ごせる。
「ミムさん…本当にごめんなさい」
それから数日後。
見たことのない制服を着たカリアさんが、頭を下げる。
そして後ろにいる、男性2人。
リリスは明るい声で、
「アレフ兄様、リロイ兄様!どうして公立の学園に?」
わかってなさそうなリリスを横目に、アレフ、リロイと呼ばれた2人は、サングラスを付けている私の方を見る。
かなり濃い紫の髪をした方が近づき、
「お前…なんでサングラスなんてもんしてるんだ?目に模様でもあんのか?」
「ないですけど…それより、こんな廊下で話し合いは目立ちます」
リリスも「はっ!」と言って、
「兄様方、談話室に案内します!ご用件はそこで…」
部屋の方向を指差し、歩き出そうとしたのを、リリスは止められ、腕を引かれる。
「リロイ兄様…?」
リリスとよく似た髪色の男性が、首を横に振り、
「申し訳ないけれど…明日。僕とアレフ兄さん、カリアと、君ら3人で、戦ってもらうよ」
「…は?」
私が声を上げると、カリアさんは大きくため息をつき、
「貴方達にはキツイでしょうが…申し訳ないわね。お父…領主様からの命令なのよ…」
ジェイン様から…?理由はわからないけど…それなら流石にNOとは言えない…。
私達3人は顔を見合わせ、同時に息を吐く。
「カリアさん…手加減した方がいいですか?」
「お願いするわ」
私はそれに無言で頷く。
…正直言って、少し楽しみなのだ。
カリアさんの能力は〈保存〉。きっと、兄2人の能力も強いんだろう。
リミッターを外さずどこまでいけるか…!
「ふふ…楽しみ…♪」
○どうでもいいかもしれない年齢+見た目設定
・長男アレフ(18歳)→黒に近い紫の髪に茶色い瞳
・次男リロイ(17歳)→薄めの紫髪に金色と茶色のグラデの瞳
・長女カリア(17歳)→リリスよりも少し濃い紫の髪に茶色い瞳
・次女リリス(16歳)→薄紫の髪に金色の瞳




