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11話 能力戦

 〜ソラ視点〜


 「はぁ〜…」


 始まって早々、私は大きくため息をつく。

 最初こそ、私は力が出せると思って調整してきたが…ミムは、リミッターを外さない選択をした。正直、いい選択だと思う。

 この学園には、私達3人を突破できる能力者はいない。


 「さぁ!第二回戦!ソラ選手対、リーゼル選手です!では、開始!」


 目の前の男性は、いかにもインテリ系って感じがする。

 魔導書らしき本を持っているのを見るに、ミムに似た、能力ではなく魔法で戦いたいタイプなのだろう。


 「ソラさん。対戦よろしくお願いしますね」


 「ええ、こちらこそ」


 では…早速。

 魔法は使えなくしよう。


 「【孔雀石(マラカイト)】」


 「【ファイヤーボール】!」


 途端に、男性の右足に、マラカイトの足枷ができ、ぽすん、という音がなる。

 男性は一気に慌て出し、


 「はっえ…なっ、なんで…」


 「貴方、聞いてなかったの?」


 「え…」


 私はダイヤモンドで剣を作り出し、歩き出す。


 「孔雀石(マラカイト)の石言葉は"強い絆"。効果は"一定技術束縛"。今、私と貴方は魔法が使えないわ」


 「嘘だろっ…!」


 嘘ではない。寧ろ手加減している方だ。

 能力を封じなかっただけありがたいと思って欲しい。

 剣を彼の首に当て、


 「これでも手加減している方よ。束縛されてるのは能力。だから魔法が使えないってだけなんだから」


 「ッ…」


 生徒は私を見つめた後、手を上げ、


 「すみません!棄権しますッ!」


 歓声が上がる。

 ダイヤモンドの剣を消し、思う。

 やっぱり、つまらない。手応えがない。魔物と戦いたいな…。





 戻ると、ミムとカイトに、リリスもいた。

 リリスは明るい笑顔で、


 「どうでした?手応えありました?」


 「全然ないわ…楽しくない」


 答えると、カイトもため息をつき、


 「なら、俺やリリスが戦っても手応えなさそうだな…つまらない」


 「ですね…折角魔力が増えて、色々と試したい魔法もあるのに」


 2人のため息に、私もミムから見たらこうだったんだな、と理解する。

 ミムもつまらなさそうに指輪をいじくっている。


 「ほら、次はカイトでしょ?」


 「そうだな…〈変永〉でどれくらい持つか…試してみるかな」


 カイトはそれだけ言って去っていった。

 リリスが私に近づき、


 「聞きたいのですが…持つ(・・)って、どっちがです?」


 「ああ。対戦相手の肉体と精神が、よ」






 〜カイト視点〜


 「…」


 「初めまして!カイトさん!では早速、やりましょう!」


 俺の対戦相手は、随分と元気そうな女子。

 どうしてこんな相手なのか問いたい。これじゃあ満足に能力使えないな…。


  (しゃーなし…いい感じな手加減でやろう)


 峰打ち程度なら、何か変なことはせずに済むだろう。

 後々の言い訳という概念がなくなるように戦おう。


 「それでは、カイト選手対シェル選手!開始っ!」


 言葉と共に、喉の方に能力を発動させる。


 「はあ…【思想変化】」


 「っ? なにを…」


 俺は、速度を上げて、彼女の肩に触れる。


 「【棄権しろ。お前じゃ俺に勝てないよ】」


 それだけ言った。

 どさりと、彼女の膝がつき、震え出す。そのまま、


 「すっ、すみませんっ!棄権しますっ!」


 また、歓声が上がる。

 中には、絶対に勝てると思い込んでいたのが負けて、悔しそうな生徒もいるようだが、関係ない。

 俺は膝をついている女子生徒に近づき、


 「すまなかったな。怖い思いをさせた」


 「へっ…ぇ?」


 「じゃ、俺はここで」


 流石に、自分の考えをガラッと変えられれば、恐怖心も湧く。

 俺は去るつもりだったが…彼女から声をかけられる。


 「待ってください!私、別に恐怖心はないんです!」


 「っ?」


 恐怖心がない?そんなバカな。

 自分の考えを変えられる、いわば洗脳されたようなものだ。普通怖い。というか、精神が崩壊したっておかしくない。なのに…?


 「何か、勘違いをされてるかもしれませんが…私はただ、自らの弱さを知っただけ。私が女だから、手加減してくれたんでしょう?」


 「…」


 「だから、怖くありませんよ。負けた人が言っても、説得力ないかもですが」


 俺は、何も言わなかった。

 でも、何か行動はしたい。ミムやソラ以外には、言われてこなかった言葉。


 「…ありがとうな。そんな事を言ってくれて」


 「え? いえ!今度は負けませんから!」


 彼女はそれだけ言って去っていった。

 俺も、元いた控え室に戻る。


 「カイト、おかえり。どうだった?」


 普段と似ている、真面目そうな顔をして、ソラが聞いてくる。

 俺は、


 「あぁ。お前らよりも楽しめたな」


 「っ…」


 さっき言われた事は、ミムが少し顔を歪ませる為のタネにした。

 自分はつまらなかったのに、俺は温かい言葉をかけられたという、煽りのタネに。

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