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10話 ランク付け戦

 それから2週間。

 発表がされたあの日から、周りはずっとざわつき、ピリピリした空気が漂っていた。

 かく言う私達3人も、徹底的に手抜きして勝つ為、能力や魔力をかなり調整した。


 本番では、どんな攻撃を受けても、気絶するだけで死ぬことのない、特殊な結界を張った上で戦う、トーナメント戦。

 場所は、学園の裏手にある、能力の練習場として使われているフィールドだ。


 戦いの順は、予選、本戦、最終戦。最終戦では、勝ち残った4人がランダムで選ばれた誰かと戦い、また勝ち残った方で戦う。それで勝った方は一位、負けた方は二位と、順位がついていく仕組みだ。

 




 そして当日。学生だけでなく、街の平民も見にきている為、かなりの大所帯だ。この為にアナウンサーも呼んだというから驚いた。

 そして、私は謎にトップバッターなので、控え室から覗いている。


 「…」


 ぼうっとフィールドを見ていると、後ろにいたソラが、


 「ミム。サングラスどうするの?外す?」


 「あ〜…外そうかな」


 言うと、ソラは驚きの声を上げて、


 「いいの?赤目を見られたくないって散々言ってきたのに…」


 「いいよもう。それに…」


 私は一歩踏み出して、


 「この大会では本気を出さないって決めたからね。サングラスくらい外して出ないと」


 ソラの方を向いて言うと、彼女は「そう」と言って、


 「なら、サングラスは持っておくわよ。折角人と戦うんだから、楽しんでくるといいわ」


 「そうだね…。手を抜いて勝ちに行くよ」





 「ふむ…」


 時間になったので、フィールドに入る。

 黄土色の土だけで、障害物はない。そして、場を包むように、死亡を防ぐ結界が張られている。


 「おっと!まず、一年のミム選手が入りました!」


 アナウンサーの高い声が響く。

 私は、向かい側にある入場門を見る。


 「…ん?」


 見知った顔…というべきだろうか。

 向かい側から歩いてきたのは、入学式の日、席を譲れと言ってきた令嬢だった。

 彼女の方は私を見るなり、


 「あらぁ!あの時の平民じゃない!」


 相変わらず嫌味ったらしい言い方をする。

 こんな態度を取られるたびに私の邪精霊が殺気を剥き出しにするから、それを抑えるので手一杯だ。

 まだ、邪精霊は出さない。魔法オンリーでやる。


 「さあっ!公立能力者育成学園のランク付けバトル!開始ですっ!」


 アナウンサーの声が響いた。

 目の前の令嬢は、短めの杖っぽいものを構えている。

 魔力が溜まっていくのを見る感じ、上級クラスの火属性魔法と言ったところか。


 「はあ…いちいち詠唱するなんて…めんどくさいと思わない? …【速度超過(スピードブースト)】」


 私は速攻で令嬢の後ろに周り、思いっきり足で背骨を蹴る。


 「がっはぁ"?!」


 綺麗なほど飛んでいった令嬢を見つつ、私はカリアさんからもらった剣を取り出す。この戦いは武器も魔法も好きに使っていい、自由な戦い。

 私は震えるだけで立ち上がらない令嬢に近寄り、


 「あ〜あ…つまんないの。大口叩く奴は最初で死ぬ。これは決定事項なんだよ?」


 鞘付きの剣で気絶させようと思った。

 けれど、途端に足元で爆発が起こる。


 「っ…よっと」


 爆風で飛ばされこそしたが、くるっと空中で一回転して足をつく。

 さっきのは…罠か?だとするなら…


 「あははっ!引っかかったわね!私の能力は〈罠〉。うまいこと避けれたみたいだけど、次こそは殺すわよっ!」


 「…なら、罠設置前に倒すとしよう」


 私は彼女の後ろに邪精霊を召喚する。

 そして邪精霊に、背中と首を重点的かつ一発で気絶させろと命令。


 「っえ"…」


 令嬢はパタリと倒れる。それと同時に、歓声が巻き起こった。



 邪精霊の気配は、知らなければ対策ができない。まあ、私の能力を調べてたのかはわからないが、遠くからの奇襲すら狙えない、未完成の能力なら、私には勝てない。


 「ふう…終わりかあ、つまらない」


 それだけ言って、私は入ってきた控え室のある廊下に行った。





 「お、ミム。どうだった?満足?」


 壁に寄りかかって、ニヤニヤしつつソラが聞いてくる。

 私は重く息を吐いて、


 「ぜ〜んぜん。楽しくないや。これなら魔物退治してる方がいいなぁ」


 ソラもまたため息をつき、


 「ミムが言うのなら、私やカイトが戦っても手応えないんでしょうね…つまらないわ」


 「ミム。随分とあっさり決着がついたんだな」


 カイトが、廊下を歩きながら言ってきた。

 この後は、ソラが、そしてカイトが、そしてリリスが順に、別の一年と戦う。まあ負ける気はしないので、勝てと祈ることもない。


 「じゃ、勝って来るわ」


 ソラはひらひらと手を振りながら、そう言ってフィールドに入って行った。

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