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9話 嫌な予感

 「…」


 ぼうっとする視界。

 真っ白で、霧がかかっているような…ただ単に白いのか、よくわからない。

 少しずつ、その空間に物が作られていく。私はそれをじっと見る。

 やがて形作られた…と、思えば。


 「…?」


 私の体はありえないほどふかふかで温かいソファーの上に寝かされ、頭は、誰かの膝に置かれ、撫でられている。

 …まあ、いつも通りだ。


 「…♪」


 "誰か"が誰なのか、それは私達にとっては瑣末な問いだ。

 どうせあの人なのだから。









 「ん…」


 目が覚める。

 辺りを見てみると、あの家の、私のベッドの上。

 久々にあの夢を見たものだ。


 「…ふたりとも、はやぃな…っ」


 のびをして、階段を降りる。

 ソラとカイトは、降りてきた私を見て、


 「おはよ、ミム」


 「ミム、おはよ。今日から二学期だな」


 「うん、そうだね」


 あの不思議空間には、一度行ったきりだ。あそこに長居していると、最悪居心地が良すぎて出ていきたくなくなるのだ。


 そして。今日からは二学期。

 普通に朝食を食べて着替え、学園へ行く。

 



 学園に着けば、自ずとリリスとも会う。

 目が合った彼女はこちらに走ってきて、


 「おはようございますお三方!お元気でしたか?」


 なんだか少し魔力量が多くなったような気がする。

 私は彼女の問いに頷き、


 「勿論。3人とも元気だったよ。リリスも、魔力増えたんじゃない?」


 聞いてみると、彼女は驚き、


 「そっ、そうなんです…!魔物退治で増えたんじゃないかって、父様が…!」


 「へぇ。よかったじゃない。魔法の幅も広がるわね」


 「ええ! …あ、そうだ。今日はこの後、朝礼があるそうですよ。何か、重要な話があるんだとか」


 「…重要な?」


 なんだか嫌な予感しかしないが…。







 「おはようございます皆さん!元気な顔を見れて何よりです」


 数十分後、私達は講堂に来ていた。

 教壇には、入学式で会ったっきりな学長と、何故かいるジェイン様。

 …嫌な予感は、当たりそうだ。


 「さて皆さん!今日は、リストロム領主の、ジェイン様から、とある発表があります。よく聞くように!」


 ハキハキした女性の声が響いた後、声を遠くに届ける魔法を発動させたジェインさんは前に出てきて、一つ咳をする。


 「生徒の皆さん。我が王国では、国立の能力者育成学園でのみ、能力者の強さをランク付けしていました。…ですがこの度、陛下より、公立の学園全てにお言葉がありました」


 「…」


 「公立の学園でも、能力者のランク付けをするように、との事でした」











 「はぁ"〜…」


 ジェイン様のとんでも発表と授業を終え、現在昼食時間。

 大きなため息をついて、机に突っ伏したカイトを見て、ソラが肩をぽんぽん叩く。


 「にしても、ランクの導入なんてね…」


 「あぁ…魔物としか戦ってこなかったんだから、力加減どうすりゃいいんだろうな…」


 沈んだ声で言うカイトに、私も頷き、


 「しかも、トーナメント戦なんでしょ?何処かで絶対当たるじゃん…」


 私がそれを言った途端、ソラやカイト、リリスも顔を上げ、


 「それだけは大丈夫よ。私は棄権する用意があるわ」


 「あぁ。俺もミムと当たったら棄権するわ」


 「申し訳ながら、私も流石に棄権致します…」


 え…そんなに?リミッターは外さないつもりだから、全然カイトでも勝てるはずだけど…?

 カイトは大きくため息をついて、


 「お前な…?自分の能力もう一回見直したらどうだ?」


 「??」


 首を傾げると、ソラもため息をついて、


 「そうよ。邪精霊がいる奴に喧嘩売るバカは殆どいないわ。私も指輪を外さないと勝てる気しないし…」


 「その指輪は、いつか「本気を出す」って決めた相手と戦う時にしか外さないって約束でしょ?今回は外さないから」


 私が言うと、カイトは、


 「じゃあ、この大会では本気で戦わないのか?」


 私は頷き、


 「うん。邪精霊と魔法で何とかするよ。サングラスも指輪も外さない」


 私は一呼吸置いて、


 「…徹底的に、手を抜いて勝つよ」

○不必要であろう解説

学長は物語で出てきた村長の姉であり、能力〈状況把握〉でサポートタイプ。

村長、学長共にジェインの叔母に当たります。が、見た目年齢は40歳くらいでかなり若い。(という設定です)

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